第7話 誰も追いつけないスピードで
プロローグ
サブリナはオルステッドさんとともに、街道を急ぎ進みながらも、眉間にシワを寄せながらずっと考えていたことがあった。
「師匠のカタキをとっていいのだろうか?」
あの二人組、師匠を殺した二人組はストレイボウとアリシアといったか?
殺しても足りないくらい憎い。奥歯をかみしめてなんとかこらえる。
しかしあの二人組はオルステッドさんの旅の仲間。オルステッドさんとしては助けなきゃいけないと思っているだろう。
わからない。オルステッドさんが望むようにしてあげるべきなのか? それとも復讐を果たすべきなのか?
「こんな時、師匠ならどうするかしら? ワタシの師匠なら?」
サブリナには答えが出せなかった。
そんなモヤモヤを抱えながら、トアールの町へ向かっていた。
1
王都ゴータニアでハッシュがストレイボウに殺されてからまだ一週間と経っていなかった。
街道を進んでいたオルステッドさんとサブリナだったが、ようやくトアールの町に到着しようとしていた。
「ここね」
サブリナの指さす方を見て、オルステッドさんは膝を落とし愕然とした。
既に町は滅んでいた。がれきの山と化していたのだった。
モンスターに蹂躙されたとか、ピサリオの時のように襲撃を受けたとかではない。
おそらくあの惨状はストレイボウとアリシアの手によって引き起こされたのだろう。
「立って、オルステッドさん。止めないと」
オルステッドさんは差し出されたサブリナの手を取り立ち上がった。
「うん。行こう」
サブリナとともに、オルステッドさんはトアールの町だったものへと進んでいった。
この破壊されよう、星を落とす魔法「メテオ」を使ったのだと、オルステッドさんは確信した。普通なら魔法使い十人がかりで城などを襲う時に使う戦略破壊魔法だが、ストレイボウ一人でメテオを唱えたのだろうか?
そして、町の中では虐殺の爪痕が残っていた。老いも若きも男も女も、生き残った者全てが無差別に殺されていた。
その攻撃に慈悲の心は無かった。背中から斬られている者も多かった。
これがあの優しかったストレイボウと母性あふれるアリシアのやったコトなのだろうか? オルステッドさんは犬笛と剣の柄を触る。
「ひどい」
サブリナも思わず口にしてしまうほどだった。二人は魔族以上の驚異となっているのかもしれない。
オルステッドさんとサブリナは、魔導水晶貯蔵庫に向かいながらも生存者を探していた。
しかしそんなもの居やしなかった。
厄災。
そんな言葉がサブリナには浮かんできた。
しかしこれはあくまで人為的なモノ。憎いあの二人が引き起こしたことなのだ。
サブリナはオルステッドさんとともに魔導水晶貯蔵庫へと足を運んだ。
たどり着いた魔導水晶貯蔵庫は、なんとか原形をとどめていた。おそらくストレイボウはこの貯蔵庫だけをハズしてメテオを放ったのだろう。
オルステッドさんは馬車が通れるほど大きな扉を開いた。
悲鳴が響いた。
最後の生存者が、アリシアの手によって、斬り捨てられた瞬間だった。
「アリシア、来たぞ」
こちらを見たアリシアは、血まみれではあった。しかしキズを負っている形跡は無い。その血は全て返り血のようだった。
「ん? ああ、オルステッドさんか。どうした? 魔王ゲルヴェールの軍門に下る気になったのか?」
オルステッドさんは首を横に振る。
「そんな気は無いそうだ。ストレイボウ」
「なら、その小娘と一緒に、ちょっと遊んでいってやるよ。オルステッドさん」
オルステッドさんは迷いながらも、腰の剣を引き抜く。同時にサブリナも剣を抜いた。
オルステッドさん、サブリナ、アリシアは同時にお互いへ向け駆けた。
オルステッドさんは上段からアリシアの頭めがけ剣を振る。
アリシアは黒い剣で受け止める。
「まだまだ迷っているな? オルステッドさん」
サブリナはそんなアリシアの左側にまわりこみ、剣を叩きつけようとする。しかしアリシアの蹴りによりサブリナは吹っ飛ばされた。
「もうちょっと強くなってから来な」
壁に叩きつけらる前に、サブリナは体勢を戻した。
そこへ追い打ちをかけるように、ストレイボウの爆裂呪文バスターボムが放たれる。
モロに食らったサブリナは、木っ葉のように吹っ飛んだ。
「おうおう、いっちょ前に叫んじゃって。相変わらず可愛いなあオルステッドさん」
アリシアは空いた手でオルステッドさんを殴りつけ、地面へ埋め込んだのだった。
オルステッドさんは魔力をコントロールし、背後の守りを固めた。
一瞬の差で、アリシアのけたぐりがオルステッドさんの背中へ嵐のように押し寄せる。
バスターボムを受けたサブリナは、剣を杖にしてなんとか立ち上がり、再びアリシアに飛びかかろうと力を溜めていた。
そこへストレイボウのバスターボムが飛んでくる。
サブリナは避けようと試みたが、体が反応しなかった。バスターボムの直撃を受けたサブリナは倒れた。
一方でけたぐりを受け続けたオルステッドさんは、DDシステムを起動させようとした。
「ストレイボウ」
アリシアは埋まっていたオルステッドさんを蹴り上げ、上空へと飛ばした。
「フッ」
ストレイボウは三度の爆裂呪文バスターボムを発射。
バスターボムは防御姿勢の取れないオルステッドさんの目の前で破裂した。
「ナイスショット」
アリシアの言葉に、ストレイボウは恭しくお礼をした。
オルステッドさんは入り口付近の壁をぶっ壊して、外まで飛んでいった。
「じゃあアリシアやるぞ」
するとストレイボウは、貯蔵庫一杯にあった魔導水晶を、転移魔法ウインディウイングによってどこかへと転移させた。
「魔導水晶はコレで足りたかな?」
アリシアの問いにストレイボウは肩をすくめる。
「わからん。しかし、鉱山に行けばまだあるだろう」
そして、二人は魔導水晶の発掘鉱山へと足を運んだのだった。
オルステッドさんが気がついたのは、アリシアとストレイボウが鉱山へと向かった三十分後。サブリナにたたき起こされてからだった。
「オルステッドさん、ヤツら鉱山に向かった」
オルステッドさんとサブリナは、ボロボロの体を引きずって発掘鉱山へと向かったのだった。
2
オルステッドさんとサブリナは、鉱山の中へと入っていった。
鉱山の中は薄暗かったが、所々置いてある松明のおかげでなんとか見通せた。
それにしてもアリシアとストレイボウはどこにいるのだろうか?
オルステッドさんはサブリナとともに、体力回復のポーションを飲みながら二人を探した。
オルステッドさんとサブリナはみるみる内に回復していった。
「そうね、これでまた戦えるわ」
サブリナは剣の柄を握り直した。次こそ倒す! その決意とともに。
更に歩くこと二十分、二人は発掘現場の最奥部へと到着した。
「いた」
サブリナの指さす方にはオルステッドさんの身長を三倍してもあまりそうな、巨大な魔導水晶の前に立っているアリシアとストレイボウがいた。
「これだけ上物の魔導水晶を送れば、ゲヴァース様も邪神カオスをこちら側へお呼びすることが出来るだろう」
アリシアはそれに同意する。
「させない!」
サブリナは二人に向かって叫んだ。
「これはこれは勇者ハッシュの弟子、オルステッドさんも一緒か」
「フッ、やはりオレたちに殺されたいようだな」
「もう終わりにしよう。オルステッドさん」
本日二戦目が始まった。
アリシアは二人の上段からの攻撃を剣で受け止める。
二人を払いのけたアリシアは、一旦離れる。そしてストレイボウは炎魔法ファイアボールをオルステッドさんに向け放った。
オルステッドさんはファイアボールを切り裂いてやりすごす。
「フン、さすがオルステッドさんだ。何? もう迷いは捨てたって? ならこれはどうだ!」
ストレイボウは呪文の詠唱を始める。この呪文はオルステッドさんにも覚えがあった。
オルステッドさんは詠唱中のストレイボウに向かって駆ける。
アリシアはストレイボウの援護に向かう。
「させない!」
サブリナはアリシアに斬りかかる。アリシアは足を止め舌打ちをする。
その間にもオルステッドさんはストレイボウに向け突進している。
「デストレイル!」
上位の闇魔法デストレイル。ストレイボウの杖の先から発せられる漆黒のビームが、オルステッドさんを襲う!
オルステッドさんは立ち止まり、魔力を剣に集中する。緑に輝いたオルステッドさんの剣は、ストレイボウのデストレイルを受け止めたのだ! ストレイボウは苦虫をかみつぶしたような顔をし、オルステッドさんに初級炎魔法ファイアバレットを連打する。
「アリシア!」
オルステッドさんが振り上げた、緑色のに輝く剣はアリシアの漆黒の剣に受け止められた。 アリシアの剣はジュッと肉が焼けるような音を立てた。
アリシアはオルステッドさんを斬り払う。
「強くなったなオルステッドさん」
剣をおろしながら駆けてくる声はとても優しいモノだった。一瞬だが、オルステッドさんの知っている、元のアリシアが帰ってきたのかと思ってしまった。
「しかしここまでだ」
ストレイボウとアリシア、オルステッドさんは動きを止める。
「「「DDシステム、スタンバイ」」」
それぞれ目を輝かせた。
サブリナはDDシステムを使った三者に対応するよう、残る魔力を完全解放した。
アリシアはまずサブリナをつぶしにかかった。相手はたかが人間。改造人間である自分が、本気でかかればすぐ倒せるだろう。
しかしそれは誤算だった。サブリナはアリシアの剣を受け止めきり、すぐさま反撃してきたのだ。しかもDDシステムを使っている自分とほぼ同じスピードとパワーで。
アリシアは必殺の連続剣を放つ。しかしサブリナはオルステッドさんと協力し、十二連撃を全て受け止めたのだ。
アリシアは思わず間合いを取る。
しかし二人が追い打ちをかけないわけが無い。
ストレイボウは氷魔法シルバーファングを放つ。サブリナは右足の周囲を凍らされた。サブリナが凍結を打ち破っているその間も、オルステッドさんはアリシアに打ち込んでいた。
アリシア、ストレイボウの二人を相手に、オルステッドさんは押していた。
オルステッドさんは気合いとともに、全魔力を剣に集中する。
オルステッドさんの剣は更に輝きを増し、黄金に輝いた!
アリシアは黄金の剣を自らの剣で受け止めようとする。
しかしオルステッドさんの想いがこもった一撃は防御したアリシアの剣ごと頭を思いっきりひっぱたいたのだった。
「「オルステッドさん!」」
サブリナとストレイボウが同時に叫ぶ、オルステッドさんは振り向き、詠唱を完了したストレイボウを見る。放たれた魔法はストレイボウが使うことが出来る最強の対人魔法。「闇魔法ブラックアビス」だ。
しかしオルステッドさんの黄金剣はメテオの使い手が放つ魔法を切り裂いていく。
ストレイボウは驚愕した。自らが使える最高の魔法を切り裂かれたのだから。
我に返ったストレイボウだったが、次の詠唱の暇を与えてもらえなかった。勢いが消えないうちに、オルステッドさんは黄金の剣でストレイボウの顔をひっぱたいた。
アリシアとストレイボウは壁に叩きつけられ、気絶した。
サブリナが剣を収め近寄ってくる。
「やったわね、オルステッドさん」
オルステッドさんはその場に膝をつく。
「アナタの今の剣、師匠の剣に似てたわ」
オルステッドさんはニコリと笑うと、その場に前のめりで倒れた。同時に剣に宿っていた黄金の輝きも消え、クリアブルーの刀身に戻った。
気がついたら、二人がオルステッドさんの顔をのぞき込んでいた。
サブリナとアリシアだ。
「お、起きた起きた」
アリシアはオルステッドさんの頭をやさしくなでる。
「そうだ、アリシアだよ」
オルステッドさんはきしむ体をなんとか起こす。ストレイボウは入り口の方を見て、魔物が来ないか警戒しているようだった。
「起きたかオルステッドさん」
もう泣かないと決めていた。しかしオルステッドさんの両の目からは止めどなく涙が流れていた。オルステッドさんにはわかったのだ。二人が元に戻ったと。
「ごめんなオルステッドさん」
「オレたちはゲヴァースに捕まって、再改造を受けたんだ」
「そう、回路を頭に埋め込まれたんだ」
アリシアは指で回路の大きさを指し示す。ティースプーンの頭くらいの大きさのようだった。
「でもそれはオルステッドさんの黄金の一撃で破壊された」
ストレイボウはオルステッドさんに向き直って鼻をかいた。
「すまない、オレはしょうきにもどった」
「ワタシはあまり信用していない」
ズバリ言うサブリナだった。しかしそれも仕方ない。相手はハッシュを殺した張本人、「オレはしょうきにもどった」等という、いかにも裏切りそうな台詞を信じるわけにはいかなかった。
「もしもその時はオレたちを後ろから刺すといい」
「そうさせてもらう」
「サブリナ、魔力ポーションを持っていないか? オルステッドさんに飲ませれば、すぐに回復する」
サブリナはため息をつきつつ、アリシアの言葉に従い、魔力ポーションをオルステッドさんに飲ませた。 魔力ポーションを飲み干したオルステッドさんは飛び起き、拳を振り上げて元気をアピールした。
「おお、元気になったか」
アリシアとサブリナは手を叩き喜んだ。
しかしすぐにくらっとめまいがして、オルステッドさんは倒れた。
「そんなに早く戻るわけない」
ストレイボウは肩をすくめる。
サブリナは自らも魔力ポーションを飲みつつ、オルステッドさんの回復を待った。
五分後にはオルステッドさんは元気になり、走り回れるほどになっていた。四人は鉱山の外へと歩き始めたのだった。
歩きながらサブリナは考えた。
師匠ならどうする?
よくわからない。コレばかりは本人聞くしか無い。でも師匠ならきっと「許しなさい」と言うんじゃないだろうか? そんな気がしてきた。
師匠の性格からして、「コイツらを殺せ! 恨みをはらせ!」とは言わないだろう。その一点だけは確信が持てた。
許すべきか殺すべきか、サブリナはよくよく考え、とりあえずアリシアとストレイボウの様子をうかがうことにしたのだった。
3
四人は鉱山の外に出た。日差しは強く、夏はそこまで来ているようだった。
「やっぱりポンコツだったか」
鉱山の入り口にある岩に外套をまとった魔族の男が一人座っていた。
「ゲヴァースにも困ったもんだな」
魔族の男はため息交じりに立ち上がり、傍らに置いてあった、自身の身長ほどもある大きなメイスを軽々と持ち上げた。
「じゃあ廃棄するか」
魔族の男は外套を取ってダークグレーの軽鎧姿になり、巨大なメイスをかまえた。
「ブロークじゃないか」
アリシアは剣を抜き、細身の魔族の男に剣を向けた。
アリシアの剣は、漆黒のものではなくなっていた。オルステッドさんの黄金の一撃を受けたことで、クリアブルーの刀身を持つ剣に生まれ変わっていたのだった。
「オルステッドさんとサブリナはやらせないよ」
四人はそれぞれ武器をかまえた。
アリシアは剣をブロークに向ける。
「DDシステムのチャージは出来ているんだ、さっそくやらせてもらうよ」
「「「DDシステムスタンバイ」」」
システムを使える三人は、目をそれぞれ輝かせ、アリシアとオルステッドさんはブローク向け飛びかかった。
ブロークはそれを見て、ニヤリ笑った。
「危ない!」
サブリナの叫びもむなしく、飛びかかった二人はメイスの一撃によって吹き飛ばされた。
「な!」
思わず声を上げたストレイボウが見たモノは、ブロークの体から発せられている紫の炎だった。
「オプティマスダークネスオムニポテントシステム。通称『オディオシステム』オレは必要ないと言ったんだがな、ゲヴァースのヤツがつけろとうるさいからつけてみたが、いいモノだな」
「魔族用のDDシステムというワケか。だが、そうであったとしても、オレたちは負けない!」
ストレイボウはファイアボールを放つ。
しかし、ブロークの巨大なメイスによってファイアボールはいとも簡単に打ち返された。
打ち返されたファイアボールは無防備なストレイボウを襲ったが、それを切り裂いたのは、サブリナの剣だった。
「油断しないで」
「すまない」
気を取り直したストレイボウは、手始めに女神の加護をサブリナに付与した。
「体が軽く……」
サブリナは次の瞬間には既にブロークに襲いかかっているオルステッドさんたちに合流して、剣を振っていた。
「力が互角なら、手数で勝負だ」
次の呪文の準備にかかりつつ、ストレイボウはブロークに杖を向ける。
三人の剣を受け、防戦一方に見えたブロークだったが、メイスを一振りしただけでオルステッドさんたちを引き剥がした。
「互角でもないから」
三人は一旦間合いを取る。その間に、ストレイボウはオルステッドさんとアリシアにも女神の加護を付与する。
「コイツ、ゲヴァースくらい強いんじゃないのか?」
ストレイボウは思わず一歩退きそうになる。オルステッドさんは首を横に振る。
「ああ、「対ゲヴァースのたたき台になる」か、そうだなオルステッドさん!」
鼓舞したところで、オルステッドさんは息を吐き、体に流れる魔力をコントロールする。DDシステムにより強化された体を更に強化したのだ。
「来ないならこっちから行くぞ!」
飛び込んできたブロークは、オルステッドさんにメイスをたたき込む。
緑に輝くオルステッドさんの剣は悲鳴を上げたが、なんとかメイスの攻撃を防ぎきった。
背後に回ったアリシアとサブリナは上段と下段から同時攻撃を仕掛ける。
「その程度」
ブロークはメイスを振り回そうとする。しかしメイスはオルステッドさんによって抱え込まれ、動かない。
ブロークはメイスを放し、サブリナとアリシアの攻撃をかわした。
アリシアは舌打ちし、サブリナはすぐさまブロークへと向き直す。
しかしブロークはサブリナとアリシアを蹴り飛ばし間合いを取ったところで、メイスを抱えて放さないオルステッドさんをぶん殴った。
しかし何度殴られようともオルステッドさんはメイスを放さない。放したらまた振り出しだ。勝機を失ってしまうかもしれない。
「デストレイル!」
ストレイボウの闇魔法がブロークが振り上げた拳に当たる。
ブロークの左手が吹き飛んだ。辺り一面に魔族特有の青い血がまき散らされる。
思わず左手をかばいながら、ブロークは五歩後退する。
四人はメイスを取られないような位置で集結しアリシアは剣を向ける。
「どうする? まだ続けるか?」
「そうなってはバランスも崩れ、今までのような戦いは不可能だろう」
ストレイボウは回復魔法ヒールタッチで、オルステッドさんを回復しながらも、ブロークに投降するよう勧めた。
「こうなったら……」
三人とももうすぐDDシステムの限界時間が来そうだった。しかし、ブロークはまだ何かをする様子だった。
「自爆するしかねえ!」
ストレイボウは三人の前へ出た。
ブロークはシステムを暴走させ大爆発した。
魔導水晶鉱山は吹き飛んだ。
オルステッドさんはサブリナをかばい、アリシアは二人をかばい、ストレイボウは全力で魔力障壁を作って、なんとか生き残ることが出来た。
エピローグ
四人は四人ともが体力も魔力もほぼほぼ残っていなかった。誰からいうでも無く、四人は地面に腰をかけた。
「少し休憩しよう」
うなだれながらストレイボウは言ったが、オルステッドさんは何かに気づき、すぐに立ち上がった。
そして決意し、フラフラの足取りで歩き始めたのだった。
「オルステッドさん、どこへ行くの? ゴン高地? わかったわ」
「そうだな、オレたちに立ち止まることは許されない」
以前だったら一番先に休憩していただろうに。
オルステッドさんの成長を見たアリシアは、思わず笑みをこぼす。そして、サブリナとともに立ち上がった。
オルステッドさんたちは向かう。再びのゴン高地へ。
つづく
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