第3話 ステータス画面見れるのって普通じゃない?
ガチャリ…
「あのーすみません! ギルドってここですか?」
俺は、薬草を採ってくるという納品クエストを完了させ報酬を貰うためにギルドに訪れていた。
因みにリリーエルは村の規模が小さくギルドは冒険者の集い場ではなく、村役場としての機能を持ち合わせた村で一番立派な建物として位置づけられている。
「はーい、受付はこちらでーす!」
奥の方から受付を担当している女性の声が聞こえてきたので取り合えず行ってみるか。
「あの、依頼の報酬を受け取りに来たんですが」
「依頼完了の手続きですね。依頼書と冒険者カードの提出をお願いします」
冒険者カード?
聞きなれない単語だな、ゲームにはなかった。
「えっと、冒険者カードってなんですか?」
「もしかして、冒険者登録はお済ではありませんか? ではまずそちらの方からご案内しますね」
そう言って受付のお姉さんが奥から手のひらサイズの羊皮紙を持ってきた。
「こちら右上の方にあります〇で囲われている所に1滴でいいので血液を落としてください」
説明と共に鋭い小さな針を渡された。
これで血を採取をしろという事だろうか……
ナニコレ恐ろしい。そう思いながらも俺は針で指先を少し傷つけ血液を羊皮紙に落とした。
「うわっ! なんだこれ……」
血液が羊皮紙をうねうね羊皮紙を辿ってみるみるうちに情報が書かれていく。
「では、ここにご自身の名前を記入してください。これで冒険者登録は完了です」
言われた通りに名前を記入した所で俺はある事に気づいた。
これ……ステータス
―――――――――――
冒険者カード
名前:アルバート=グランフェル ♂ 18歳
Lv1 HP:20 MP:20
STR:G ATK:G DEX:G
INT:G DEF:G AGI:G
スキル なし 次のLvまで残り…5EXP
―――――――――――
「あ、あのこれってステータスですよね?」
「え?はいそうですけども……あっステータス情報の書き込みが終わったんですね」
「こちらの情報は冒険者カードにしか記載されませんので紛失の際は近くのギルドまで再発行という形になっておりますので気を付けてください」
受付のお姉さんはそう説明してくれたが、これもゲームと違う点なのかな。
取り合えず聞いてみるか。
「自分のステータス状況を教える際は音声認識で出てくる奴を使ってはダメなんですか?」
俺はステータス画面を開きお姉さんに見せつけるように説明してみるが――
「はい?……すみませんが音声認識のステータス確認ですか?……」
ん?
もしかして俺の開いていくステータス画面が見えてないのかな?
「い、いやここに出ている奴ですよ」
「あー…えーと」
受付のお姉さんは俺の言っている事が理解できない様子でいる。
てかやめてよその顔……完全に俺不審者扱いされてる。
うーんどうしたものか
なんで通じないんだろう?
皆一度は開くものじゃないのか?
ステータス画面ぐらいは――
「ねぇ! それってあなたもしかして心眼持ちの冒険者って事じゃない!?」
後ろから俺に興味津々な元気で明るい声が近づいてくる
「あら、珍しいですねサラさん。こんにちは」
「あっどうも!ご無沙汰してまーす!イェイ!」
俺が後ろを振り返るとそこには薄紫色のショートヘヤ、笑顔でピースしている女性が現れた。
なんでピースポーズ?……
「ねぇ君!駆け出しの冒険者だよね!今冒険者登録してたし!パーティーは誘われたりしてる?君いくつ?どこすみ?てか冒険してる?」
顔が近い!
なんだよそのどこかで聞いたことあるフレーズは。
「いや、あのえっと俺はクエストの報酬をもらいに……」
「うんうん!そうだよね~!ロマンだよねクエスト攻略!でなんのクエストしていたの?討伐クエスト?ダンジョン攻略!?」
圧がすごい……
「こーら!サラさん、アルバートさんが困っていますよ」
「あっ……ごめんごめん!ついテンション上がっちゃって」
ナイス受付のお姉さん!
助かった……
「でさ、アーモンド君!」
「アルバートです……」
「君、他の人のステータスも見えたりする?」
他の人のステータス?
そういえば試してなかった。
でもどうすれば…物は試しだやってみよう
「ステータス!……ってうわぁ!?」
ドスン
そうすると俺は他人のステータス画面を見たい意識をもって言ってみると。
目の前に出てくる情報量の多さにびっくりして尻餅をついてしまった。
「その反応!やっぱり心眼持ちだね!でも使い慣れてはいないのかーこの年齢ならもう慣れていてもおかしくないと思ったんだけど」
そう言いながらなんのためらいもないしサラは俺の冒険者カードを覗き見ていた。
「あのサラさんその心眼ってなんなのですか?さっき私もアルバートさんに説明されたんですが分からなくて」
「ん?心眼は自分や相手のステータス状況を確認出来る特殊体質のギフテットの一つだよ!」
「あらギフテットですか!」
ギフテット……俺の知らないこの世界の仕組み……
「あ、あのギフテットってなんなんですか?」
俺は恥ずかしながらも立ち直ってサラさんに聞いて見る。
「君なんも知らないんだね。ギフテットっていうのは神様からの
才能、特殊体質か…そういえばあの文字化けしたあれもギフテット……
でも心眼とかいうギフテットを獲得したなんてログでなかったよな?
謎が深まるばかりだ。
「いやーでもまさかこんな所で逸材を見つけられるなんて……やっぱり私ついてる?」
サラさんは俺の冒険所カードを手に取ってなんか独り言を言ってるし……
この状況どうしようか……
※※※※
数分後
「そういえばミルトさん、外にあったあの大量に薬草が積まれた荷車どうしたの?」
「え?荷車ですか?いや私は特に何も聞いてませんけど……」
受付のお姉さんの名前ミルトさんなんだ……
荷車、やっぱり目立ってたかな説明しておかないと
「あれはあの――」
俺は雑貨屋のクエストで起きた事情を話した
「ップ!……アハハハハ!」
大声でサラさんが笑い始めた
「ア、アルバート君、キミなんのクエストやってたかと思ったら納品クエストか!しかも100回分受注しようとした?ちょっと待って腹痛い」
ギルド全体に響き渡るサラの大笑いで俺達は一瞬にしてギルド内の注目の的になってしまった。
「そんなに笑わないでくださいよ……恥ずかしい」
「ああ、ごめんね!いやあの薬草の量……アハハハ!」
周りの目が気になってしまって俺は視線を逸らすようにちょっと下を向いた
「でも気に入ったよ!うちのもしよかったらうちのパーティーにこないかい?」
「ギフテット持ちは大歓迎だしなんと言ってもアルバート君、キミと一緒だとこれからの冒険が楽しくなりそうだ!」
そう、サラは笑顔で俺に手を差し伸べてきた。
「別に嫌じゃないですけど……俺まだサラさんの事何もしらないし」
つい手を出されたから俺も少しやる気なさそうに手を出してしまった。
そんな急な提案今すぐは決めれない……
「私の事?そんなのこれから一緒に旅をすれば嫌でも知ることになるんだしさ」
「じゃあ決定ね!アルバート君、
無理やり握手を交わしてくるサラさん
どうやら俺はパーティーに入る事になったらしい。
ずっとゲームではソロでやってきた俺がパーティーに入るのは不安が大きいけどなんかこの人とならちょっとだけ旅をしてもいいんじゃないかと思ってしまった。
転生ペナルティ重すぎて今にもログアウトしたいです どら @hopidesa123
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。転生ペナルティ重すぎて今にもログアウトしたいですの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます