きみは魔法使い
「えいっ!」
2歳になる息子がオモチャのステッキを振る。
去年、遊園地に行った時に買ったものだ。
園内で決められた場所にかざすと
キャラクターの声とともに
ステッキとオブジェがキラキラ光る。
いわゆるスタンプラリーのような
遊びもできる優れものだ。
家に帰ってからも息子は
夢中で魔法のステッキで遊んでいる。
ただ、光って音が鳴るのはステッキだけ、
それに反応するオブジェはないのだけれど。
僕は息子が少しでも楽しめるようにと考えた。
まず、要らないチラシを細かく切り刻んだ。
息子の掛け声とともに
それを頭上から振りかける。
すごく喜んでくれた。妻には怒られた。
もう少し掃除しやすいものをと考えた。
部屋のライトのリモコンを隠し持ってみた。
息子の掛け声とともに
部屋の明かりを何度もつけたり消したり。
すごく喜んでくれた。妻には怒られた。
僕は今度は力技でいこうと思った。
息子の掛け声とともに、抱き上げて
空中を飛ばせてみせたのだ。
息子は泣くほどに喜んでくれた。
妻は危ないと言ったが、
しまいには一緒になって笑っていた。
僕もつられて笑っていた。
「えいっ!」
その掛け声とともに、
家の中に笑い声が生まれる。
きみは本物の魔法使いなんだね。
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