第二章 色々なごちゃごちゃした事
第十一話 ドンデ王国とセナーラン王国の秘密
ーコツコツと豪華な服を着た男が歩いていく。
今の俺を表したらこう書くだろう。
クールに同じ歩幅を保って歩いているが
内心、スキップして飛び跳ねたいところだ。
ついにセナーラン王族の“いきのこり”を見つけたのだ!
ここ2年間、兄弟達は皆セナーラン城の跡地を探りイレークスがどこかに隠されてないかだとか王妃や王族が使った魔法の痕跡を調べまくっていた。
でも俺は違う。
茶髪青眼の少女を探したのだ。
あの方ーー元セナーラン国王の弟は俺だけに教えて下さった。
きっと俺の能力が高いことを見込んでくださったのだろう!
あの方は第一王女が生きていると言った。
そしてイレークスの鍵はその王女が握っているのだと。
あの戦争の時、謎の病で国王は寝込み
死の淵にあった。
その病は何をしてもその病が進行し、死ぬ時までは死ねない病らしい。
6歳の王太子と宰相はセナーラン国王が死ぬと混乱している他の国へ出向き説得していた。
城に残ったのは死にそうな国王と王妃と茶髪青眼の1歳の王女。
それと王の妹1人。
セナーランは唯一、第二の天使のいない国だからそこは心配しなくてよかった。
他の王族はもう既にどこかへ嫁いだりして
王族では無くなっていた。
あの方はイレークスは国王だけが使えて
まさにその時、国王が何か出来る状態ではない事が重要なのだと言った。
それからは早かった。
まず、王族が全て死んだ時セナーランの民が持ち上げて国王にしたりしようとしないように
あの方が事前に調べあげたセナーランの王の血を継ぐものを身分の低いところから殺していった。
簡単だった。
あの方が言うにはセナーラン王族は他へ嫁ぐときや王族では無くなる時に薬を飲まされるらしい。
なんだったかな?確か…
“イュデンシクュミカャイ”ってやつをゼロ?にする薬らしい。
ま、つまり王の血を引く者としての資格を失うわけだ。
その者達は力が半減しあの方が言うには
“セナーラン王族最大の強み”を失う。
だから国王達ほど強くない。
出来る限り早く皆殺しにしてまだ状況も掴めないような時に王太子を殺した。
あの方が発明した
“全ての物を燃やすことが出来る炎”で王太子の乗る馬車とその周りを囲むように燃やしたのだ。
その後すぐに城にあの方の炎を撒き
王が死ぬ時に王の妹へイレークスの所有権が渡らないよう、全力で王の妹を殺してから
王妃と王女を殺す予定だった。
でもそこで誤算が産まれた。
兄弟達は知らないし、あの方と俺しか知らない事だが恐らく我々が王の妹を殺した丁度その時に国王が死に所有権が1歳の王女に渡り
そして何らかの方法で我々が魔法をロックしたのをすり抜けて王妃が王女を外に逃がしたのだ。
俺はこの2年間ずっとずっと
今5歳の“茶髪青眼”の王女を探し続けた。
ついにカシュクラン帝国で王女が見つかったのだ!!
あの方はイレークスが手に入ればあの方がかかっている呪いを解き、あの方が知っている
「この世界の魔法の秘密」
を話せるようになるらしい!
そして俺は王になる!
しかし王女のそばにはロンデンヴェルが居るらしい。
念の為にここ“ドンデ王国”の第2の天使をできるだけ連れて行こう。
ここで失敗したら終わりだ。
時間をかけて完全なる準備をしてから実行しよう。
その為には…そうだな。
彼らはこの国の主要な人物だし他の兄弟達についている人もいる。
だから…半年ほどかかるだろう。
◇◇数日後… アイリス共和国◇◇
「ドンデが何やら騒がしいです」
「そのようだな」
彼は夕焼けを見ながら彼に話しかけた弟子に答えた。
彼は40代くらいだろうか?
弟子の方は10代前半に見える。
彼らが立っているのはテラスのようなところで、そのテラスは白くてとても綺麗だった。
そこからは海が見えて海に写った夕日が紅く輝いていた。
彼も彼の弟子も同じ形、同じ色の動きやすそうな服とその上に真っ白な薄いローブを着ていた。
ただ1つ違うのは下に来ている服の腰に師匠の方にはには透き通るような水色、弟子の方には紺色の細い紐のような物が巻かれている事だ。
師匠ならドンデの事について何か言ってくれるかもと期待した弟子だが無頓着な彼の様子にムッとする弟子。
「あの無能な第三王子がドンデの第2の天使達をこそこそ集めてるんですよ?!このままじゃ本当にイレークスとセナーランがドンデの物になってしまいます!」
「だからどうする?」
「え?」
「自分の頭で考えろ。ほとんどの人がセナーランは悪 ドンデは正だと思ってる。
あの戦争の後圧勝したドンデは裏切り者のセナーラン王族を国内、国外に連れて行って最近起こっていた異変は全てセナーランのせいだといくつも証拠を上げて宣言したからだ。」
「だから何ですか?!イレークスとはまた別件でしょう!」
「そうだったな。お前はあの戦争の頃、丁度私と一緒に北部の大戦争止めに行っていたからな。知らなくても仕方ない。しかしちゃんと情報収集はしておきなさい。」
「…何があったんですか?」
「裏切ったセナーラン王族がイレークスが実は悪魔の持ち物でそれを使って世界を征服しようとしていたと言ったんだ。いくつも偽の証拠を見せていた。あれは10数年前から準備してたんだろう。そして皆すんなり信じてしまった所を見ると何か魔法を使った可能性もある。」
「…」
「いいか?我々アイリス騎士団は平和の象徴。大義があると言っている国に我々が行く事は出来ない。それに元々アイリス騎士団はセナーランとカシュクランが発祥。ドンデに行ったら“敵討ちをしようとして平和を崩した”なんて言われて今度こそ終わりだぞ。それにセナートゥスが黙っちゃいない。」
「…セナートゥスなんて!全ての国をまとめて話し合うための場所なんて言いながら、議員は皆 賄賂と賄賂と賄賂の事しか気にしてない!」
「その賄賂を貰ってる国がドンデだからダメなんだろう。」
「…なんであの戦争の時アイリスはセナーランを守らなかったんですか?
ここアイリス・ベースはセナーランのすぐ隣だし戦争中なら大義はセナーランにあったはずです。」
「その1、ほとんどのアイリス騎士団員が北部の戦争を止めに行っていた。
その2、セナートゥスが加勢を禁じた。
その3、ドンデがドンデの天使達を危ないと思ったアイリス騎士団員1人につき数人送った。もっとも、ドンデはセナーランと共謀していると思ったから襲ってしまった等と言って襲った者は責任を取って死んだとされているがな。」
「そんな…」
「だから我々は何も行動出来ない。
…まぁしかしドンデが“平和”に反する事をしているという証明が出来れば別だがな。…よく覚えておけよビニン。お前一人が突っ走ってドンデを阻止しようとしても何にもならないし何も出来ない。チャンスが来るまで待て。我らは平和の象徴。本物の悪を許さない。」
「…はい。師匠。」
そこへこれまた白いローブに紺色のリボンを着たビニンと同じくらいの歳の子供がテラスの入口のところから手を振ってこう言った。
「師匠!ビニン!訓練場でポーラが待ってるって!新しい作戦考えたから今度こそ俺たち3人でマスターに勝つって張り切ってましたよ!」
「ふーん?それは楽しみだ」
師匠と呼ばれた男とビニン、そしてビニンと同じ位の歳の子供が訓練場へ向かって行った。
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