番外編 神話



カシュクラン帝国やその他の国で子供の頃に必ず聞かされる物語がある。


それは神話。


国によって少しずつ違えどほとんど同じ内容だった。

リーシャも耳が腐るほど聞かされて例え貧民層でも帝国の民に知らない者はいないと言われている物語。


創造神セリンの物語ーーー






昔むかし、世界には何も無かった。

静かで誰にも邪魔されない。

暗い暗い空間だけがあるそこに、なんの前触れもなく、光が産まれた。


何年も何年も光は輝き

やがて光から一人の神が産まれた。


その神はセリンと言う名前で、この世界のただ一人の神である。


セリンは産まれてすぐ天を創った。

そして天を二つに分けて昼と夜を創り出した。


やがて地を創り

植物を創った。

夜空に輝く星に乗り創ったばかりの地におりたつと

小さな小屋を作り、そこで暮らした。


セリンは一人で暮らす。


そしていつか何か自分と同じ動く者が欲しいと思い

生物を創った。

その時に生まれた聖獣ローシェンという狼のような生物はセリン生涯の友となる。


少したち自分と話ができる者が欲しいと思い

100人の天使を創り出した。


天使達と共に暮らしセリンは幸せであった。

やがて天使が4歳になった頃

天使達を守るためと精霊を創った。


火の精霊 ディアロス

水の精霊 セレンティーナ

土の精霊 ドンランディアン


彼らは天使達とすぐに親しくなり親友となった。


天使達が5歳になった時

セリンはそれぞれの天使に一人ずつ天使を創った。


2回目に産まれた天使達は1回目に産まれた天使達を姉や兄としたり、逆に1回目に産まれた天使達は2回目に産まれた天使達を妹や弟と思い大事にした。


やがて生涯共にいる2人組となるのだ。




1回目の天使達が10歳に2回目の天使達が5歳になった頃。

セリンは魔法を創り、天使達に授けた。


その頃のセリンや天使達の家はセリンが一人で住んでいた小屋ではなくて小さな城になっていた。


そこはセンターランドと呼ばれる地で、センターランドの中心である城には魔法のクリスタルで出来た木があった。



ーー10年が経ち天使達はすっかり大人になった。

セリンは天使達に教えられることを全て教えある時、全員の天使200人を集めこう言った。


「私は今から『人間』を創る。私達と同じように自分で考え、話し、物を作ることができる生き物だ!我が子供たちよ!君たちは人間をおさめ、導き、この世界を発展させよう!人間は君たちの民であり臣下であり友である!その事を忘れるな!

この世界は広い。私は最初に産まれた天使を『王』とし、100個に分けそれぞれ治めてもらおうと思う!次に生まれた天使は兄や姉を支える存在となって欲しい!」


セリンは自分の血を全員の天使に与え

最初に産まれた天使と

次に産まれた天使の100個のペアにそれぞれ自分の持ち物を少しずつ与え世界に旅立たせた。





やがて何年も何百年もたち

今も最初に産まれた天使の子孫が王となり

次に生まれた天使の子孫は王を支え


天使の子孫たちが対立をしたりした事もあったが、今も天使達は国を収め続けているのだ。


セリンは神界に戻り女神ディシアディアと結婚した。





ーーそんな感じだったと思う。


ロンデンヴェル大公家は2回目に産まれた天使の子孫。

リーシャにも大公家の血が流れているとするならば自分も天使の子孫なのかと考える。


しかしこの話を思い出す度思う。



ーーこのセリンという神は神様のくせに妙に人間じみている



と。

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