第28話 最後の暗器
レイランは次々と武器を出しボスオークの気をツバキから反らしながら戦っていた。花びらが散り幻想的にも見えるその光景はファンタジー映画のワンシーンにふさわしい。
しかし、実際は怒り心頭のオークに苦戦しているのが現実だ。スピードは完全にレイランが上回っているがボスオークに対する決定打がない。数々の武器を用いるがそのどれもが強靭な肉体に弾かれ握られれば簡単に粉砕されてしまう。
「はぁ……はぁ……」
レイランの体力も確実に落ちており動きは徐々に鈍くなっていた。だが、レイランの瞳にはまだ鋭い光が残っていた。
「なるべくなら使いたくなかったけどここまで来たら奥の手を出すしかない……」
最後の武器『二郎刀』を取り出した。
二郎刀は大刀に近い武器だが道教に出てきた
レイランの身長ほどある刀は取り回しも悪いがこれを最後の武器にしているのは理由がある。
ボスオークは棍棒を拾い強烈な一振りで襲い掛かる。地面に容易にヒビを入れるほどのパワーはレイランの武器を壊すことなど造作もない。しかし、二郎刀は棍棒の攻撃を完全に防いだ。
「さすがにこの武器までは破壊できないみたいね」
二郎刀は確かに棍棒の攻撃を防いだがボスオークは棍棒を叩きつけてきた。自身の破壊できないものにより怒りを燃やしたボスオークは力まかせに何度も何度も二郎刀に攻撃をする。すでにレイランではなく武器に対して執着している。
その攻撃に伴いレイランの体力を削っていき身動きを取れなくさせていった。
想定外のことに対処しきれず膝を付いてひたすらボスオークの攻撃に耐え抜く。
このままではじり貧となり勝利への望みはかなり薄くなる。いまだツバキのチャージは済んでおらずいつまで待てばいいかも定かではない。
「何か……何か一つきっかけさえあれば……」
その時、ボスオークの目に一発の弾丸が当たりもがき始めた。
「レイランさん離れて!」
ヤマトの声が聞こえレイランは即座にボスオークの前から離れる。それと入れ替わりで手榴弾が投げ込まれさらにアサルトライフルによる追い打ちをかけていく。
その間にミハルがレイランの手をひっぱりヤマトのほうへと下がるの援護。
「ミハルーやっほー!」
「ツバキそんなとこでなにしてるの!?」
「武器チャージしてるのー」
「やっぱりさっきのはツバキだったんだ。――レイラン、いままでよく頑張ったね。ここからはみんなで戦うよ」
ついにミスチェフテンタクルスとの戦いを終えた二人と合流し四人によるボスオーク討伐が始まる。
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