第2話

どのくらい経ったのだろうか?春夫が目を覚ますと、自分たちの周りに人だかりが、できていた。誰かが呼んだのだろう。警察官、救急車もすでに、待機していた。「大丈夫ですか?どこか痛むところありますか?」緊急隊員が、声をかけてきた。足が凄く痛む。額も衝突した弾みで、ハンドルに当たったか、血が、出ているようだ。「育美!!大丈夫か!!」「俺より子供を、お願いします。」育美は、横で、ぐったりしている。そして、間もなく、俺と、育美は、救急車で、搬送された。相変わらず、育美は、気を失っていて、全く呼びかけにも、反応しないのである。10分くらい、走ったのだろうか?引き受けてくれる病院が、見つかり、待ち構えてくれていた病院スタッフに、ベットに寝かされ、俺と、育美は、別々に、治療室に向かった。結局、俺は、足の骨折で済んだが、育美は、亡くなった。恵は、すでに、病院にいた。亡くなったことを、医師から告げられると、地面に、泣き崩れた。「くそー!!こうなったのは、俺のせいだ!ドライブなんてしなければ。あの、石川が、訳のわからない話を、持ってくるからだ!」春夫は、悔やんだ。春夫は、何度も、死のうかと思った。退院して、包丁を持ち出して、死のうかと思うが、なかなか実行できず。恵にも、止められ、明日こそは。と、思いその夜眠りにつくと、育美が、夢に出てきた。”お父さん、死なないで。この事故で死んだのは、パパのせいじゃないのよ。生まれる前から、そうなる宿命だったの。そして、本当は、瀬戸夫妻のところに生まれてくるはずだったの。親を、間違えたのも、事故じゃなく、全部決まっていたことなの。だから、あの看護婦のおばちゃん責めないで。こうなることは、前世の因縁だと思う。最後に、もう悲しまないで。何年後したら、また、会えると、思うから。それまで、こっちで、元気にしてるから。それまで、さようなら。”これを機に、もう2度と、育美の夢を、見ることは、なくなった。決して忘れることは、ないのだが、月日が、少しずつ、氷が、解けるように、悲しみ、絶望感を、和らいでくれるのである。やがて、3年が過ぎ子供を、授かった。そして、生まれた子供は、女の子。よく見て見ると、右側の首のところに、赤いアザがある。育美?育美と同じだ。そして、生まれたばかりの赤ちゃんが、話せるわけが、ないのだが、どこからか、”パパ、私、育美よ。近いうちに会えるっていったでしょう?今度こそ、本当に、パパの子よ。また、可愛がってね。”そう聞こえた。と、同時に、春夫は、気を失った。

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転生 健さん @87s321n

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