転生
健さん
第1話
俺は、山本春夫。女房は、恵。そして2人の間に、6歳の女の子がいる。今年で、小学校1年生だ。名前は、育美という。春夫、恵夫婦は、この子を、すこぶる可愛がった。育美の右側の首のところに、3センチの赤いアザが、ある。このアザは、生まれた時から、ついていて、今に、自然と、消えるだろうと、思っていたが、ついに、今日の、今日まで、消えることは、なかった。女の子だから、不憫に思い、一度病院に、診てもらったが、先天性のものなので、このアザは、消えないとの事で、落胆した。これも、個性かと、自分に言い聞かせた。育美のお産の時に立ち会った看護婦が、いる。今年で、60歳になり、定年だ。名前は、石川はるみという。実は、彼女、この日まで、良心の呵責で、悩んでいた。育美が生まれたその日は、もう1人、ほぼ、一緒の時間に、生まれた赤ちゃんが、いた。瀬戸俊彦、美保夫婦の子供だ。同じ女の子。本当は、育美は、この瀬戸夫婦の子供なのだ。当時、その日は、看護婦の手も足りず、忙しさのあまり、手違いで、お互いの赤ちゃんを、あやしてるときに、抱っこしていたのだが、ベットに寝かせる時に、取り違えてしまったのだ。2人を、寝かせた後、違う業務を、任されたが、ひょとしたら、間違えたかもしれないと、思ったが、そのままにしてしまったのだ。石川は、辞める機会に、今更、謝っても、どうにもならないのだが、それぞれの夫婦に、謝ろうと、考えていた。彼女は、6年前のカルテ、資料を、何とか見つけることが、できた。6年前だから、それぞれの住所は、変わってるかもしれない。そうだったら、素直に、諦めようと、思った。石川は、まず、瀬戸夫妻の家に、行ってみた。やはり、そこには、なかった。探偵でも、頼もうかと、思ったが、やめた。しかし、山本夫妻の家は、そこにあった。2階建ての、分譲住宅だ。石川は、早速、躊躇なく、インターホンを、押した。「どちら様でしょうか?」恵が、言った。「お久しぶりです。6年前にお産の担当をした、看護婦の、石川と言います。」恵は、玄関ドアを、開けた。「あの時は、お世話になりました。」奥から、春夫も出てきた。「いや~、久し振りですね。よく、家わかりましたね?」「当時の、資料から調べまして、、それで、、、ちょと、お話が、ありまして。」「さあさあ、中へどうぞ!」居間に通されて、やがて、恵が、紅茶を、持って来た。右側に、春夫、左側に恵が、座った。「実を言いますと、謝りたい事が、ありまして、、」「はあ?なんでしょうか?」春夫は、怪訝な表情で、聞いた。「単刀直入に言いますと、当時、ベットに寝かせる時に、一緒にいた、瀬戸様のお子さんと、間違えてしまったんです。本当に申し訳ございませんでした。」石川は、土下座して、額を、畳になすりつけた。すると、春夫は、「何を今更言っているんですか!!育美は、うちの子だ。」春夫は、怒り狂った。「私も、もう定年でして、気持ちの整理をしたくて、この6年間、地獄の日々でした。」はるみは、涙ながらに、言った。恵は、放心状態であった。すると、”ただいま~”と、育美が、学校から、帰ってきた。春夫は、たまらなくなり、「育美、お父さんと、ドライブ行こう。」「ほんとー!やったー。」春夫は、石川に会わせたくなかったのだ。早速、車に乗り込み、出発した。春夫は、頭の中では、そんなことは、あり得ないと、錯乱状態だった。育美は、春夫の顔色うかがいながら言った。「パパ、どうしたの?顔青いよ。」「何でもないよ。」気がついたら、海岸線を、走っていた。すると、反対車線から、反対車線から、こちらに向かって来た!どうやら、居眠り運転のようだ、春夫は、何とかかわしたが、ガードレールにぶつかってしまった。バーーン!!春夫は、しばらく気を失った。
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