愛の告白とは
「最終の門」
「ですね」
道中、また護衛の二人が立ちふさがったけれど、同じ様に退けた。メイラ様、何気に怖いかも。帰り道に拾って帰りましょうって、余裕しゃくしゃくだった。
「あの方はもう先に入ったのでしょうか」
「どうでしょう、見てみますね」
扉を開けると、部屋の真ん中でむくれた顔をするソフィーがいた。
「まったく、先についたのは私ですのに……」
どうやら、先行しても意味がなかったようだ。
『揃いましたね』
優しくてきれいな声が天からふりそそぐ。
『それでは、愛を大きな声で語って下さい!!』
…………え?
『聞こえませんでしたか? ではもう一度。愛を大きな声で語って下さい!!』
…………聞き間違いじゃなかったらしい。
『やっぱり、三人くらいの愛宣言聞きたいですよねー。愛の精霊マナとしては!』
あれ、原初じゃなくて? 愛の精霊さんなんですね。この国の神様、マナさんって。
『おーい、順番は誰からでもいいですよー。はやく、はやくぅ』
何だろう、このさっきまでのはりつめた緊張感からのこれって……。
「ぷっ、あはははははは」
メイラが笑いだした。ちょっと、私まで我慢出来なくなっちゃう。
「私からいきますわ!」
ソフィーが叫び、靴をならす。メイラを黙らせるつもりだったのだろう、その行動はきちんと伝わりメイラは笑うのを止めた。
「失礼、あまりにとっぴすぎて気が緩んでしまいました。どうぞ」
ふんっと鼻を鳴らし、ソフィーが天の声の方を仰ぎ見て、話し出した。
「私はルミナス様を愛し、この国を愛し、この国を素晴らしい国に導くものになりますわ! その為にはマナ様のお力添えが必要ですの! どうか私にお力を」
ソフィーはドレスの裾を持ち上げて優雅にお辞儀をする。
「では、私も……、そうですわね。私はルミナス様を愛していますわ。出来ることなら、隣でルミナス様のする事を支え、時にしかり、時にほめて差し上げたいですわ」
クスクスと笑いながら、メイラが告げる。なんだか、すごく楽しそう。向こうで、勝ったという表情をソフィーが浮かべていた。うーん、これは私はメイラの方が好きだな。うんうん、と首を振っているとメイラがポンと肩を叩く。
「さぁ、エリナ様」
メイラに促され、私も愛を語れとせっつかれる。
え、でもどうしよう。私、ルミナスのこと、好きでも何でもないんだけど……。
「わ、私は…………」
愛を語れだから、名前を言わなければ嘘じゃないよね。じゃあ、その……、アルテに対してでもいいんだよね……。それじゃあ、いきます!!
「好きになってしまいました。絶対に彼を幸せにします!!」
あれ、なんか違うくない? プロポーズみたいじゃない?
顔を真っ赤にしながら、自分の声が空に吸収されていくのをぽけーっと眺めていた。
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