リースに関しての報告
フィラジア子爵家からの報告から数日。
あれからアグルス様はリースの行動を把握するため、調査のための人を雇ったようです。すでにいくつかの報告を受けており、それから多少状況が読み取れてきました。
「あれは、どうやら複数の貴族の物に物を貢がせているようだな」
「そのようですね」
夜、寝室の中でアグルス様とその報告の内容を確認していきます。
報告に上がってきた内容は、リースが関係している貴族家の当主や令息に物を買って貰っているというものでした。
元よりリースは物を良く買い替える子でした。無理に買ったというのにドレスは1度しか着なかった、何てこともざらにありましたね。
こう言ったことは侯爵家や王族に連なる公爵家などでは別段おかしい事ではありませんが、フィラジア家は貴族として子爵の位です。商家の流れを汲んでいるとはいえ、そんなことが出来るほどの資金力はない家なので、そうそう買い替えると言うことは出来ないのです。
そんな中、どこで買ったのかもわからないドレスをいくつも持っていたのは、今回報告に上がっていたように、他の家のかたから貢いで貰っていたのでしょう。
どうあれ、あの子は見目が良いのでそれなりにモテはするのです。まあ、リースの性格を知れば大半の方は遠ざかっていくのですが、一部の方はそれでも良いという事なのでしょう。
「大半は問題のない家だが、いくつか警戒しておいた方がいい家もあるようだな」
「どの辺りの家の事でしょうか」
「ここからこの辺りまでの貴族家だな。この報告を寄こした者も、それがわかっているからこのようにまとめたのだろう」
アグルス様が目の前のテーブルに広げられている報告書の一部を指して説明してくれます。そして、指し示している場所は他の家名が並ぶ中で、少しだけ離れた位置にまとめてありました。
なるほど、確かにいくつかの家は私も把握している、あまり良い噂を聞かない家の名ですね。しかし、リースは何でこのような家の者と関りを持っているのでしょうか? どこかで会って繋がりを得たのでしょうけど、子爵家の令嬢が容易に繋がりを持つのが難しい地位の方も居るようなのですが。
「報告から読み取ると、今はあれが主導権を握っているようだが今後はどうなるかはわからないな。特にエングシル侯爵は、おそらく現段階では餌を与えて油断を誘っているのだろう。どうあってもあれの手に余る相手だ」
他の相手は子爵家や伯爵家の令息ばかりで、当主が相手をしている訳ではないのですが、エングシル侯爵家は何故かその当主がリーシャの相手をしているようです。エングシル侯爵家にも令息が居たはずなのですが、何か理由はあるのでしょう。今はまだ、それが何なのかはわかりませんけれど。
「とりあえず、今回の報告内容はフィラジア家にも伝えておこう。おそらくあちらも独自で調査しているだろうが、情報の確実性を高めるためには必要だろう」
「ええ、よろしくお願いします」
少しでもお父様たちに安心して欲しいところですが、リースが関わっている以上この件が落ち着くまでは無理でしょうね。
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