現代II 其の6


「お前は吸血鬼かぁぁーっっ!!」


悠真は、思わず、そう突っ込んでしまったのが、声に出てしまっていた。


「あれ?声が出た?なんでだ?」


「???」


わけが分からないでいる俺が、不思議がっていると、蓮(蓮の別人格)は、そんな、俺に気づいていたようで。


「…魔術が解けたようだな。」


蓮(蓮の別人格)は、魔術を解くために?悪魔の女子の首筋にキスをしたようだった。


その女子はというと、蓮が、腕の中にすっぽりと包み込むように抱いている。


悠真は、その二人の姿を見て、面白くなくムッとした。


悪魔の女子は、蓮のキスに、悲鳴を上げるほど、相当な衝撃を受けたようで、とにかく目が♡になって、蓮の腕の中で気絶している。


(なんだか、女子にムカつくなんて、俺って、なんだか、変だ…。まるで、いつも、俺に嫉妬してる女子達と、一緒じゃないか!)


悠真は、苛立つ自分の気持ちを抑えるかのように、深く、深呼吸をした。


少し落ち着いた悠真は、蓮(蓮の別人格)に話しかける。


「…蓮、お前は、誰なんだ?今の蓮は、俺の知っている蓮じゃないことは、分かってる。俺に分かるように、説明してくれよ。」


悠真は、冷静に、そう言ったが、胸中は、穏やかではない。


(蓮が、二重人格なんてのも、有り得ないが、今、他の女子と、俺の目の前でキスした事なんか、もっと、有り得ない!!)


蓮(蓮の別人格)は、悠真の気持ちを知ってか、知らずか、気絶している女子を屋上に寝かせ、悠真を見た。


「……。そうだ、お察しの通り、俺は、"蓮"ではない。どこから、話したらよいか、わからないが、ククク、俺は、吸血鬼ではなく、"悪魔"だ。」


蓮は、口元に手を当て笑いを堪えている。


「!!、やっぱり!そうか!蓮は、天使…いや、違う。堕天使なんじゃなくて、ほんとは、悪魔だったのか?!」


悠真はパニックっているが、蓮(蓮の別人格)は、冷静だった。


「……。混乱しているようだな。簡単に言えば、お前の言うヤツ(蓮)は、以前は天使で、神に叛き堕天した堕天使だ。そして、俺はヤツに、単に取り憑いている"悪魔"にすぎない。」


(蓮に、悪魔が取り憑いたー???)


「なんで、蓮に悪魔が取り憑く必要があるんだよ?」


しばらく二人の間に沈黙が続いた。


口を開いたのは、蓮(蓮の別人格)からだ。


「…契約をしたからだ。」


「契約?」


「そうだ、ある契約をヤツ(蓮)と交わしたんだ。」

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