現代II 其の7


「ある契約とは、なんなんだよ。」


悠真は、蓮(蓮の別人格)に、詰め寄った。


「…それは言えないが、お前は自分の事を知らな過ぎるな。」


「えっ?」


「なんにもヤツ(蓮)から、知らされていないようだ。」


蓮(蓮の別人格)に、そう言われ、思い返してみると、蓮は、確かに何か言っていた。


(…エクス…テ?なんだったっけ?わけがわからん。)


悠真は、蓮が言っていたことなど、まともに受け入れられなかったので、よく覚えてはいなかったが、


「…蓮は、俺が天使だと言ってた。」


悠真は、それだけは、記憶に残っていた。


「…だけど、そんなこと言われたってさ…そんな、非現実的なこと、本気で信じられるわけないだろっ!」


悠真は頭を抱えてしゃがみ込む。


パニックっている頭の中を整理しようと、悠真は、必死に考えはじめた。


「……。」


その様子を眺めていた、蓮(蓮の別人格)は、

ほくそ笑んだ。


「…そうだな。しかし、お前がそう思っていようが、そう思っていまいが、それでも川原悠真、お前が、天使の魂を持つ人間には、違いないんだ。」


蓮(蓮の別人格)は、そう言って、しゃがみ込んで、考えてる俺に近づいて来て、耳元で囁いた。


「…やっと、見つけたんだ、俺の"獲物"(アイツの魂)を。」


(えっ??獲物??)


目が点になっている悠真だが、次の瞬間、蓮の瞳がギラリと光り、悠真の視線とぶつかった。


「わわっっ!!!」


悠真は、蓮(蓮の別人格)の鋭く光った眼光が、心臓にでも刺さったかのように驚いた。


「…れ、蓮!?」



その時、はじめて俺は、蓮(蓮の別人格)に、恐怖を感じて腰をぬかす。


すると、蓮(蓮の別人格)は、俺の首に何気に手を伸ばしてきた。


「?!な、何して…!」


そのまま、蓮(蓮の別人格)は、俺を持ち上げて、俺の首を絞める。


「…っくっ!!!」


蓮(蓮の別人格)に首を絞められ、高く持ち上げられた、悠真は、蓮の腕を外そうと、蓮の手首を掴む、が、苦しくて、足は、ジタバタと空を空回りしている。


「!ー!ーー!!」


(なんで、なんだ!?)


(これが、蓮の別人格の本性なのかー!)


蓮(蓮の別人格)は、悠真が、苦しんでいる姿を見て、喜んでいるように微笑んでいる。


「ククク…アイツの魂を、返して貰おうか。川原悠真。」


(…アイツの魂??……。)


「さっき言っただろう?川原悠真。お前の中には、天使の魂が宿っていると。そう、アイツの魂が、 お前の中にいるのだ。俺の目的は、別だが、アイツの魂を持つとは、その魂を欲しがる奴らに、命を狙われるということだ。」


(…なんで欲しがられるのか…)


「なぜなら、あの、女(悪魔の女子)がさっき言った通り、お前の魂を持てば、神や悪魔にだって、契約し、世界を支配できるからだからだ。」


屋上には、その悪魔の女子が気絶したまま横たわっている。










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