KACの運営が出すお題で短編小説を書いてみたけどPVが全然伸びなくて少し寂しいです——でも最後まで頑張ります

どこかのサトウ

 私と読者と仲間たち

 エッセイを書くことになるとは夢にも思っていなかった。お題がそれ向けなので、これも良い機会、挑戦してみようと筆を取ることにした。


 私は時間ができるとよく小説サイトを利用している。

 剣と魔法のファンタジー小説が好きで、恋愛、ラブコメ、SFのランキングをチェックしては、自分好みの長編作品を探している。


 ある時、ふとこういう作品が読みたいと思った。だがどこを探してもぴったりな作品は見つからなかった。

 これはもう自分で作った方が早いと思って書いてみた。

 恥ずかしながら、気に入っている。だが残念なことにどれも未完成な作品ばかりだ。

 作品を通じて誰かに伝えたいことはあるかと問われると、私は「ない」と答えるだろう。あったとしても釈迦に説法に違いない。

 近所の本屋へ足を運べば新しい本が山のように積まれ、小説サイトには次々と新しい作品がアップロードされている。

 それと比べれば、私の作品にはほとんど価値はないだろう。でもせめて最後まで書いて、完成させたいとずっと思っていた。いや、今も思っている。


 そんな時、カクヨムで見つけた。


 KAC2021 1回目お題「おうち時間」 締切:3月10日 午前11:59


 それはお題に沿った1200から4000文字程度の短編小説を投稿してみないかというカクヨムからのお知らせだった。

 編集者4人からの挑戦状という文字が、デカデカとサイトに表示される中、申し訳ない程度に書かれていたそれを偶然発見し、面白そうだと思った。

 短編小説なら、もしかしたら書けるかもしれない。何を書けば良いのかは運営が用意してくれる。それに対して起承転結を考え、キーボードを叩いてスパッと物語を終わらせれば良いのだ。

 私は参加してみることにした。そして二つの目標を掲げることにした。


 ・とにかく作品を完成させて公開する

 ・すべてのお題を達成し、皆勤賞を目指す


 続けること、やり遂げること。継続は力なり。そんなことは分かっている。でもできないのが私というダメな生き物なのだ。

 だからこの二つの目標が達成できたら、少しは自信が持てるかもしれない。

 趣味は何ですかと聞かれたら、小説を書くことですと言っても良いのではないか。そんな風に考えている。恥ずかしいから言わないけど。


 そして書いた。内容は置いておいて、初めて小説を完成させて公開した。

 文章は荒く、酷いものだ。時間も限られていて推敲不足で誤字脱字も山だらけ。表現だっておかしい。だがやり切った。完成した作品を公開した実績! これが欲しかった!

 一度公開すると、「走る」「直観」「ホラーorミステリー」「スマホ」と続けて完成させることができた。内容は置いておいてね。

 時間に余裕がない日もあった。次の日が仕事なのに、深夜2時半まで徹夜して作品を書いていた。

 小説を書き、それを完成させて公開することに満足感が得られた。


 ただ残念ながら読者の反応はお察しである。

 最初は何度も更新すれば誰かの目に止まり、PVの数字は増えていくと都合良く考えていた。だが現実は無情で、4作品公開してもPVは1、多くて3。

 ジャンルは違えど同じお題で作品が500近くある中で、一体誰が私の作品を読んでくれるのか。

 偶然目に留まり、読んで、面白いと思った作品が、また誰かの目に留まる。誰かの琴線に触れた作品がレビューされ、また誰かの目に留まる。それが集計されて公式にピックアップされ、ランキングとなり私のような大多数の読者の目に触れるようになるのだ。

 あぁ、そうなのか。あの長い題名は、なんとかして読者の興味を引いて、目を通して貰いたいがための作者の懸命な叫びなのかと気が付いた。


 ならばこのエッセイを読んでもらうためには、少し長めの作品名にしておくべきだろうか。

「KACの運営が出すお題で短編小説を書いてみたけどPVが全然伸びなくて少し寂しいです——でも最後まで頑張ります」と書けば、誰かの目に留まるかもしれない。

 気になって読んでくれたなら、それはとても嬉しいことだ。

 だがそんな都合の良い話はないだろう。妄想はここまでにしておこう。

 きっとこのエッセイは読者の目に止まることなく、皆勤賞のためだけにダッシュボードの隅に存在し続けるそんな作品になるだろう。

 

 さてこんな初心者が書いた小説に、星やハートマークをつけてくれた人がお二方もいらした。

 一体どんな方なのか。気になって名前をクリックしてみた。

 するとどうだろう。ついこの間お題に悩み、皆はどんな小説を書いているのかと、検索一覧に表示された小説の中で、私、気になりますとクリックした作者の方であった。

 わざわざ私の小説を読むために執筆する時間を割いてくださったのかと、感慨深い気持ちになった。

 ハートマークではリンクが付かず、そういえばカクヨムには名前を検索する機能もあったことを思い出し、ストーカーのように検索してみるとやはりその方もKAC2021に参加している書き手の方であった。

 この悩みや寂しさを共有してくださる先輩方に違いない。そして私も読者ではなく書き手として仲間入りを果たしていたことに気が付いたのだ。

 あと、いま気付いたことがもう一つ。この作品が2000文字を超えていた。そろそろ筆を置こうと思う。次のお題まで少し時間ができそうだ。

 なら再び読者に戻ろうではないか。苦楽を共にする仲間たちを応援するために。

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KACの運営が出すお題で短編小説を書いてみたけどPVが全然伸びなくて少し寂しいです——でも最後まで頑張ります どこかのサトウ @sahiri

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