大学受験③
河合塾。私は受験期間を通して予備校や塾に行っていませんでしたが、河合塾の名前は知っています。模試でお世話になり、友人がお世話になったところです。
余談ですが、私は高校3年生の時、すべての模試で校内一位を取っていました。構内二位は僕の高校一年からの友人で(以後、Bと呼びます)、そいつも予備校や塾に通っていませんでした。私とBはふたりとも家庭の経済状況が芳しくなく、私の家は元からこんな感じでしたが、Bはコロナ禍で父親が失職したそうです。二人はよく「予備校不要論」を唱えていました。予備校に行けていた人々が羨ましかったのです。
そんな思い出がある河合塾の広島校に、Aがデカデカと乗っていたのです。無論、Aは東京・吉祥寺住み。恐らく全国版のポスターであったのでしょう。
私は嫉妬しました。というのも、AはMARCHの付属校であったため、大学受験に関しては余裕だったのです。そんなAが河合塾のポスターをやっている、ということに、私は一種の恥辱を覚えました。
悔しくて悔しくて、私は路面電車の中で、そのポスターと睨み合っていました。
私とAとのプリクラ。そして、私と別れた一日後に付き合った男とのプリクラ。そしてポスター。
そんな私に、一筋の光明が差しました。
「んじゃあ、Aよりもランクの高い大学に行けばいいんじゃないか?」
嫉妬に狂った大学受験が始まりました。最初は早稲田大学の文学部を目指しましたが、模試の結果が芳しく無く、断念。次に、上智大学の外国語学部、フランス語学科を目指しましたが、ここも模試の結果が芳しく無く、断念。最終的に、上智大学の文学部に志望を変更しました。8月くらいの頃です。
己の弱さに絶望しました。嫉妬に狂って受験をはじめたのに、その結果がこのザマだ、もう自分が嫌になってくるのです。
目の前は真っ暗。通ってきた道も真っ暗。所持品は懐中電灯だけ。予備校に行っている人たちはもっと良い装備を揃えているのに。
私は考えました。
あぁこうなったら、おとなしくMARCH路線に切り替えて、嫉妬もやめよう。既存の鎖から開放されて、もっと自由になろう。
私は、他でもない私自身。誰かとのしがらみに苦しむ理由はない。もっと視野を広くして、もっと朗らかに行こう。
もっとやさしく……
「んなわけあるかァ!!!!!!!!!!!」
俺は上野国関東武士の子孫!先祖は下剋上したのに俺はここで脱落かァ!?ふざけんじゃねェ!先祖が泣くぞ!!!
「やってやらぁ!!!!」
叩き殺してやる!この俺の腐った根性も!あの女も!俺のことうだうだ言ってきたボケナス共も!
学歴で殴れ!全員学歴で殺せ!
武士の本懐は「ナメられたら殺す」!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます