大学受験②
高校二年の4月から9月は、私の壮大にして空虚な自己批判生活であります。
私はAのと別れ、怒りや責任の矛先がすべて私に向けられていたことを知り、それを受け止めきれずに薄いベールの皮に閉じこもったのであります。
社交はするひ、友人とも遊びに行く。でも私の心の奥深くでは、何かアンタッチャブルなものを抱えていたのです。
それは、責任。
それは、批判。
それは、自責。
それは、侮蔑。
私は、これらに向き合えず、皮に閉じこもりました。しかし、皮といえどベールなので、すぐに破れてしまいます。
そこで私は、女性との交友を絶ちました。大学に行ってからこれは確実に公開しそうですが。
こうして私はベールの中で、日々攻撃を続ける神槍との説得を試みていました。
結論に至りました。 私は、性欲をほとんど表に出さなくなりました。
私の何がいけなかったか。性欲です。これさえなければ、Aとはうまくいけたはず。
私は仏僧のような生活を試みましたが、断念。性欲との折衷に乗り出し、現在に至ります。一部の人間を除いて、私は性欲を感じさせるような言動を一切しません。おかげで秋葉原へ美少女キャラを買うオタクを嫌悪し、アイドルオタクを嫌悪し、クラスの女子顔面番付も嫌悪し、男児高校生にありがちな性生活の暴露も嫌悪しました。性欲を嫌悪したのです。
3月。新型コロナウイルスの流行が始まろうとしていた時。私は、実家の広島へ戻ることにしました。
私の姓は関東の下剋上武士のそれを丸々継いでいるのですが、生まれは広島県呉市。戦艦大和の街です。
私は呉市をノスタルジックな感傷に浸りながら観光し、広島市のホテルに行こうとしました。
広島市は路面電車が通っていて、市民の足となっています。原子爆弾が落ちてもすぐに運転再開した、由緒正しき路面電車なのであります。
その路面電車で、私は衝撃的なポスターを見ます。
河合塾、広島校。
そのポスターのモデルに、Aが起用されているじゃないか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます