大学受験①
私は、所謂「高学歴」の部類に入るだろう、と自負しております。言うなれば「早慶」に毛が生えた「早慶上理ICU」。私はここのナカのいずれかに所属しています。まあ、イエズス会直系の大学、と言えば伝わるでしょうか。
ですが、人間性は高学歴ではありません。むしろ、底辺を這いずり回るべき人種であります。
受験勉強を始めたきっかけは、彼女にフラれたことであります。ここまでなら、ドラゴン桜の冒頭にもありそうな感じですが、私の場合は違います。
その女性(ここからはAとよびます)はMARCHと呼ばれる大学群の付属校にいました。超がつくほどのお嬢様で、川越市駅とかいうチンカスクソ田舎駅が最寄り駅の私にとって、その「吉祥寺住み」という破壊力は、浅間山荘を破壊した鉄球のように大きかったのです。
タワマンに住んでいました。違う人ですが、私もタワマンと呼ばれる、地上に君臨する居住型巨大ディルドに上がらせてもらいました。あまりにも家の標高が高すぎて正直恐怖感を覚えました。
そんなお嬢様と、川越の貧民である私の出会いは、井の頭公園でした。
「合コンで一人欠けたから入って」と言われ、バイト疲れの身体にムチを売って、夕方の吉祥寺駅に付き、私を呼んだ張本人である男と出会いました。
そして、その男と一緒にいたAに、私は一目惚れしてしまいました。 育ちの良さが垣間見えていたからであります。
私が猛アプローチをする前に、Aの方から来ました。女子校だから男を持つことをステータスとして見ているのでしょう、すぐにくっつきました。
そして何度かデートをし、私は川越にある自宅に誘おうとしました。その時の私は、少し必死でありました。
惨敗。仲が険悪になりました。 高校二年の春です。
そのまま別れました。
私はAを浴びるように慕っていました。なので、切られたときのダメージも大きいのであります。 そして九割九部私が悪いのです、誰かを殴ってやりたいが、殴るべき顔が私以外見当たらんのです。
私は見栄を張りました。「あっちが悪いんだ」と理論の構築をはじめましたが、無意味でありました。どう考えても、一時の性欲に身を任せてしまった私が悪い。
しかし、ある日、友人から一通の連絡が来ます。
「お前の彼女、お前と別れて1日後に他の男と付き合って遊んでるぞ」
私は恥辱にまみれ、人生で初めて人を恨みました。そこに「私は悪くない」という、釈明の感情はありません。今現在でも、私が悪いと思っています、この件に関しては。
しかし、この「男をステータスか何かとして見ていた」「私をステータス化された」「切り捨てられた」。この事実が悔しくて悔しくてたまりませんでした。
「ヤリモクだったんでしょう?」Aにはそう言われました。まったくもってその通りであります。
しかし、この私をコケにしたことだけは、どうしても許せないのでありました。
鞍替えした男は、都内でも有名な高校に通っていました。当然です。金持ちにはインテリは金持ちがひっついているのが自然体なのであります。奨学金に苦しむ川越貧民とくっつくべきではありません。
私は次に、親の年収を恨みました。しかし、そこからは何も出てきません、すぐに辞めました。
そして、壮大で空虚な自己批判の期間が始まります。
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