破壊王の冒険録 〜俺、回数制限なんて聞いてませんけど?〜

@Timeismoney01

第1話 どうやら異世界転生してしまったらしい。

いやー、何で俺はあんなことしたんだろうな……カツアゲされてたクラスメイトのぼっちなんて放っておけば良かったのに……たかがクラスメイトだろ?

「あ〜、つまんね〜な……大口叩いといてこの程度かよ(笑)」

「お、万札入ってるぜー! ゲーセンでパーッと使っちまうか?」

「いいねいいね〜! そんじゃ俺は酒持ってくるわ〜」

「あいよ〜」

「で、こいつどうすんの? 結構血出てるけど……サツに捕まるのは嫌だし」

「大丈夫大丈夫。屋上から落として自殺に見せかければ良いじゃん」

「お前天才かよ(笑)」

え、俺死ぬの? やだな〜……なんか手足の感覚とか痛みとかもう無いけど……確かに結構出血してんな……これもうマジでヤバい感じ?

…………神様、最後に一言だけ言わせて欲しい。

「もしも死んだとしたら、次は異世界に転生したいです……」

「あ? こいつなんか言ったか?」

「死にかけてるやつの戯言だろ? とっとと屋上に連れてかねーと見つかっちまうぞ?」

「お前ら何やってる!!」

「げ、サツじゃねーか……逃げるぞ!」

「おう!」

不良が慌てて去っていく。でもお巡りさん……あと10分早く来て欲しかったな……そしたら俺無傷で済んだのに……

「君! 大丈夫か!? おい! しっかりしろ!!!」

「ありがと……お巡りさん……」

もう声すらほとんど出ないな……視界もぼやけてきたし、そろそろタイムリミットみたいだな……

「必ず……犯人を捕まえてやる……すまない……助けられなくて……」

お巡りさん……良い奴だなぁ……

そんな感じで、俺の"一度目”の人生は、静かに幕を閉じた。


───────そんなこんなで、目が覚めると、俺の目の前に美少女がいた。

「……あんた誰?」

「神に向かって"あんた”とは失礼極まりないわね……全く……」

そうやって少し怒った様子で美少女は言った。

「神様って言うよりもただの美少女にしか……って喋れる!?」

「そりゃそうでしょ。君もう死んでるんだから」

「いや、死んでるなら尚更だろ……」

「とりあえず状況を軽く説明するね。君はあの二人組の不良のせいで死んじゃって、人生最後の願いによって、いわゆる"異世界”に転生することに決まりました〜! いぇーい! で、それにあたって君と面会しようと思ったの。いきなり異世界に転生して、何も知らないで簡単に死ぬなんてのは嫌でしょ?」

「まぁそうだな」

「で、どんな世界がいい?」

「美少女とヤりまくれる世界がいいです」

「却下。それじゃ適当に決めるね〜」

「ちょっと待って下さいもう一度だけチャンスを……」

「はぁ……仕方ないから一つだけ特殊能力あげる。それで我慢して」

「……なるべく強いのお願いします」

「それじゃ、ルーレットスタート! じゃらららら……じゃん! えーっと、君の能力は、『破壊者の王キング・オブ・デストロイ』ってやつみたいね」

「何それ強そう!」

「それじゃ、この説明書あげるから、後は自力で頑張ってね。貴方に神の御加護があらんことを……」

美少女がそう言った瞬間、俺の足元に穴が空いた。

「え? ……うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「私に会いたくなったらいつでも呼んでねー!」

そして、ここから俺の二度目の人生が始まった。


──────「あれ? 痛くないな……とりあえず持ち物の確認……って、死んだ時と全く変わってないじゃん……」

俺が持っていたのは、美少女が言っていた、能力の説明書と、親のくれた、合格祈願のお守り(中学生時代から愛用)と、家の鍵、生徒手帳……くらいだな。服装は学ランの上下。

えーっと……説明書はどんな感じかな……

「あなたの能力『破壊者の王キングオブデストロイ』は、体の一部に強力な分解魔法をかけることができる能力です。その部分で何かに触れた場合、実体のあるなしに関わらず、どんなものでも破壊できます。また、効力は一度で失われ、魔法がかかっている間、その箇所はダメージを受けません。初期の効果範囲は、触れた箇所と繋がっていて、かつ同じ材質で構成されている部分だけです。また、能力は経験を積むことで威力が強化されたり、効果範囲が広がったりするので、頑張りましょう。自身の体の発動する部分を思い浮かべながら念じると使えます」

か……普通にめっちゃ強いじゃん……って、ん? なんか注意書きがある……えーっと……「尚、この能力は一日に三回までしか使うことができません。ご了承ください」

……ん!? おいちょっと待て……一日に三回まで!? あの野郎……ちゃんと大事な部分伝えなかったぞ……絶対に訴えてやる……

「おい! そこのお前! 勝負だ!」

「……は? いきなり何言ってんだお前」

「何って……勝負しようぜって誘ってんだけど?」

「断る」

「はぁ!? 申し込まれた勝負は引き受けるのがこの国のルールだろ?」

「え?」

おいちょっと待て、そんなの聞いてないぞ……後であいつ神様もどきのこと絶対ぶん殴ってやる!

「それじゃ行くぜ! 『小さな火球ファイアボール』」

「っぶな……!!」

いきなり何だよ!! なんなんだよあの火の玉……ギリで避けたけど……凄い怖い!! 当たったら絶対火傷じゃ済まないだろ!!

「反射神経いいじゃん! まだまだいくぜ!!」

おいおい冗談だろ……? 俺、ここで死ぬの? こっち来てからまだ30分も経ってないぜ? 寿命短すぎだろおい……あ、これ避けれないやつだわ…………いや、まだ行ける! ここで死ぬわけにいかない……! 能力発動! 右腕に魔法をかける!

その瞬間、火の玉が右腕に触れた。しかし、全く熱くなく、次の瞬間火の玉が弾けて消えた。

「はぁ!?」

相手が驚いた隙に駆け寄って、顔面に思いっきり拳を叩きつけた。

「うっ……!」

相手が後ろに倒れた。起き上がったと思ったら、次の瞬間……

「……やられた。降参だ。俺は今からあんたの部下になる」

「え?」

「何驚いてんだ? 相手との勝負に負けたらそいつの部下になる。それがこの国のルールだろ」

「俺違う国から来た(嘘は言っていない)から知らないけど……」

「そ、そうか……まぁでも負けたのは事実だ。俺はあんたの部下になる」

「お、おう……そうか。とりあえず、この国について、色々と教えてくれ」

「任せろ! あんたの言うことならなんでも聞くからな!」

「はは……そりゃ頼もしいや……」

「まず、この国は………………」

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