第37話 先輩は寝取りたい
そういう趣味ってなんだよ。
先輩の無邪気な表情が今や蠱惑的なものに見える。
話の雰囲気とプールという場所がやたらエロく感じさせる。
「しゅ……しゅみ?」
「率直にいうとせーへき、性癖です」
2回言い切ってからペロッっと舌を出す先輩。
後ろから殺気がする。
ノートのことを聞きたいんだけどそれよりも早く立ち去りたい。ヤバい感じがする。
「へ、へぇ……」
「寝取られたいんです。ガッツリ」
ガッツリって……。
もうなんかあっけらかんとしすぎだよな。
ここまで来ると逆に対応できそうだ。
「どうでした? はは、ガッツリ寝取られました……? てか恋人さんは……」
「ええ、勿論。私の最愛の人は寝取られが性癖なのです」
「完全にWin-Winですね」
「吉野くんも一度、私を抱いてみませんか?」
先輩は前屈みなり、黒い水着の胸元を人差し指で摘むと俺に中が見えるようした。
見え…………てない。
水着も黒いし影と分からない。
だけどまた、ムクリと立ってしまった。
一旦、深呼吸してから。
「じょ、冗談はやめてくださいよ」
「もう大きいじゃないですか」
「ちょ……!」
先輩は膝を抱えるようにしゃがみこみ、俺の腰をガン見する。
「困りましたね……。私は吉野君に寝取られないと駄目なんですよ」
「はいっ!?」
「一度寝てくれたら、それでいいですから、ね?」
なんという甘美なお誘いだろうか。
しかし、絶対にしてはいけない。
「ダメダメっ、俺には好きな人が、っていうかそれもう寝取ろうとしてませんか!」
「はいっ! そっちも好きなんです。ノートの力は寝取り役を一人選ぶんです。ふぅ~〜」
水着の上から息をかけられた。
無茶苦茶だ。泥沼の権化みたいな性癖をしているし、その寝取り役が選ばれるのもノートの効果だって言うのか。
手の付けようがないコンビネーションだ。
「──ゔ、寝なかったらどうなっちゃうんですか!」
「敏感ですねー。なぜか寝れるヒントや情報を知れます。今日、このプールに来ることもそれで知りました。勝手に知れるので刷り込み的に寝取りたくなちゃうんですよ」
ということは、山田先輩も夏樹さんの寝取り役だったのか。
他にも沢山聞きたいことはあるが、今一番気になって仕方がないのは……。
「あ、有菜の寝取り役もそうなんですか?」
「そうだと思いますよ。でも彼女の場合は───」
先輩が言いかけたその瞬間、
「勇緒〜、随分先輩と仲良さそうじゃん。何してんの?」
有菜が後ろからひょこっと顔を覗かせる。
振り向くと、一人だけだ。
夏樹さんは置いてきたみたい。
そして、有菜に腰を見られてしまった。
先輩はまだ、しゃがみこんでソコをガン見している。
終わった、俺の時間は止まった。
「こんにちは、先咲さん」
「……来栖先輩……こんにちは。まず立ちませんか?」
「いいんですか? 吉野君の隠せませんよ」
何言ってるんだ……。
まるで顔で隠してあげると言いたげだけど、注目を浴びてしかない。
有菜は舌打ちしてから、強引に先輩の腕を掴んで後ろにどける。
「わ、私が隠しますから」
「ちょ……有菜おま」
言う前に俺と先輩の前に仁王立ちした。
ツンと綺麗なヒップラインを強調する白い下着にナニかが当たりそうだった。
後ろに少しだけ後ずさるが……。
「それじゃ隠せないでしょうが」
俺が後ずさった分以上に有菜が詰めてきた。
完全に腰が密着してしまった。
「「────あっ」」
堪能的な感触に、頭が吹っ飛びそうになる。
体勢的に有菜の顔は見えないが、その向こうの先輩はくすくすと笑っている。
プールにいる人達全員からの視線を集めている。
羨ましがられているのかな……。
「……勇緒、昔より……これ」
昔ってマジでどこまでしてたんだよ。
そりゃ、少しは大きくなってると思うが……。
うん? というか有菜は処女だって言ってたよな。
むしろヴァージンしか守ってないレベルとかなのか。
膨らむ妄想にまた息子も膨らませてしまった。
「……こら、早く治してよっ! 恥ずかしいんだって私も!」
「む、無理だって! プールはい、ろうぜ」
提案してからゆっくりとプールの方に一緒に体をスライドさせていく。
「仲が良いですね。すっごくゾクゾクします。ああ──どんなネタで寝取れるんでしょうか」
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