第6話 絶対自画像消したい
五日目です。あれから頑張って、一回結界破れそうだったんですが、なんか途中から急に結界が強まって再生されちゃいました。何度か結界破り挑戦したんですが、できませんでした。にゃはは。
ただ、これは100%人為的なものであって偶発的なものでは無いんだろうなという気がしてきました。あれでしょどうせ、結界破れ始めたから焦って結界をもっと強化したんでしょ、外の「誰か」が。誰かは、まぁ大体見当ついてるけど。
仮に犯人があいつだとして、何故なのか。それも実は何となく分かるけど、あまりにもしょうもなさすぎる。「天命で動く」ということを理解していない証拠だ。あいつは弱いな、心が。いつかここから出た暁には、一発拳をお見舞してやらんとな。
しかしあれだな、そろそろ誰か救援に来てもいい気がするけどな。猿とかあの辺。なんで来ないんだろう。私意外と人望ないんかな。さみちい。
なんか今日「にゃはは」とは「さみちい」とかバブってんな私。もう産まれて半世紀は経つのに、大分しんどいな。まぁあれか、母上の乳首噛みちぎっちゃったせいで即離乳食なったから、そういうのも関係あるんかな。......ないわ。もうやめよ。セルフネガティブキャンペーンやめよ。私が私を貶してどうする。馬鹿か!我は第六天魔王である!あ、いいぞかっこいい。バブりの影もない。テンション上がってきた。
しかしまぁ、あれだな、大方この事件の真相が見えてきたから、なんか気が抜けてしまったな。ここで足掻いてもどうせ暫く経てば出られるだろうし。え、待って、出られるってことはこの壁の自画像とかバレるじゃん。やばいやばいそれは恥ずかしい!消そう!今うちに消しておこう。短刀は?あ、結界に刺しっぱじゃん。抜けるかな。おりゃ!お、抜けた。削ろう。壁を全面的に、証拠隠滅!是非もある!これはある。大あり、ありよりのあり!消しましょう!うおおおおおおおおおおおお!
ちょっと深く彫りすぎた!なかなか消えん!ちょっと全体見るか。うぉぉ、うっすらと消えない。消した痕跡がある方がキモイな!恥ずかしくなって消したってわかるのしんどいな!絶対全部消す。命に替えても消す。天命だ!おりゃああああああああぁぁぁ!!!
はぁ、はぁ、はぁ。消えた。跡形もない!すごいぞ。私はやり切ったのだ。武士の恥は、今ここに消滅した。やばいよね、あんなんデカデカと自画像描いてたことバレたら。「えぇ、殿って結構ナルシなんですかぁ?」とか絶対言われる。家康とか絶対言ってくるタイプ。アイツ調子いいから多分めちゃいじってくるタイプ。猿とかはめちゃ褒めてきそう。それはそれはものすごいビジネススマイルでくるよアイツは。私がそれに気づかんとでも思ってるんかな。アイツ変なとこで頭いいけど、基本ツメ甘いからな。光秀はあれだ、ガチ褒めするよ。アイツの態度見てるとすげぇむず痒いからしんどいんだよな。悪いことじゃないからなんとも言えんけど。
え、なにこれ、何この足元の円陣。紫色に光ってるんだが。え、え、何マジ。うわ、もっと光強くなった!何マジで、始まるのか!?今!?待って自画像ちょっと残ってる!隅の方残っちゃってる!消させて、あれだけ消させて!ああああああああぁぁぁ、待ってぇぇ!!!
足元に展開された紫色の魔法陣が織田信長を眩い光で包み込み、今まで延焼しなかった炎が一斉に信長目掛けて飛び込む。羞恥で顔を真っ赤にした信長の全身を炎が覆う。炎は再び熱を帯び、本能寺を今度こそ燃やし尽くし始める。崩壊していく御堂から一筋の光が天に向かって伸びた。果たして、信長はどうなるのか。
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