第2話 何故か暇な爆炎本能寺
おはよう。今日も今日とて熱いですね。そらそうだこんな燃えてたら。でもなんか案外ぐっすり寝られたんだよな。なんかものすごい夢を見てたような気がするけど、内容はあんまり思い出せない。周りの爆煙が帰蝶になって爆熱ビンタしてくるとこから曖昧なんだよな。アイツなんであんな殴って来るんだマジで。夢でも鬼嫁かいな。マムシの血が滾ってたんかな。
目が覚めちゃったせいで、めちゃくちゃテンション下がった。だってもうやることないのが明白だからさ、絶望しかないわけよ。またあの退屈が続くんかぁ、というね。まぁ仕方ないわな、天命ってやつかな。私は第六天魔王だし。天も地獄も私なんか受け付けないなら、私が新たな冥府の長になるしかないっしょ。でもな、死者は増えるけど、この部屋は狭いままってのはかなりしんどいよ。どうしよう、頑張って壁ぶち破ってみようか。
この掛け軸のあるところとか、時間かかるかもしれんけど、いけるんちゃう?なんか道具あればやけど、あ、自害用の短刀があるやん。これでカリカリやってれば二十年後には外出れるんちゃう?掛け軸の裏でこっそりとやろうかな。なんか無実の罪で牢屋入れられた気分。最後は牢屋でできた何でも屋の友人と海辺で抱き合いそう。私友人とかいないけど。
友人か。いたかなそんなん。いたような気がするけど、そういう時ってこっちが一方的に友人と思ってるだけかもしれんしな。身分的にも私と対等なやつとかそうそういなかったし。だからあんまり遊びに誘ったりできんかったんよね。頑張って誘った結果、予定とかあって断られるのも結構しんどいし。あれ、なんか涙が。私もしかして泣いてるんか。この期に及んで泣いてるわ。この信長が孤独に泣いてるとかめちゃくちゃしんどくね。キャラ崩壊もいいところだわ。ファンに怒られそうだから泣くのはやめとこう。
え、これ見られてないよね。見られてたらめちゃくちゃ恥ずかしいんやけど。まぁ誰かいたらさすがにわかるか。なんか昨日からちょいちょいこの状況に助けられてるんよね。幸か不幸か。ていうか怪我の功名?
はい、というわけで壁を削り始めて数刻経ちました。えぇ進捗はですね、なんと、、、あります!いえーい!壁は削れてます意外と。凄い嬉しいです。いやね結構反応薄そうに見えるじゃないですか。内心かなり嬉しいですよ。外出られるかも!というのもあるにはあるんですが、それ以上に退屈しない!が大きいです。とは言ってもずっと壁を削っていくのも飽きるので、あくまで毎日ちょくちょく削る方針は変えないでおこうかと思います。というかもし壁の向こうが見えたとして、全く同じ空間が続いてた時の絶望が怖いんですね。それこそ精神燃え尽きちゃう。もうホント、燃えてるのは本能寺なのか私の心なのか分からんよね。希望は幻想だから輝くのであって、幻想から現実に変わっていくと、そこから絶望が顔を出し始めるから。これ結構真理よ。
天下統一とかまさにそんな感じやったもんね。うん。苦しいんだよそういうの。みんな仲良く暮らすためにやりたかっただけなんだけど、乱世だからさ、やっぱその過程には苦しみとか悲しみが溢れるんだよどうしても。血も汗も涙も全部出てさ。だからこそ「全ては天命じゃん?」ってある種の悟りみたいなので、誤魔化してきたけど。受け入れじゃなくて、諦めの言葉だからねアレ。私はそんなできた人間じゃないよ。それくらいじゃないと生きていけない世の中なんよ。
あかん、鬱思考になってきた。ほらね、退屈は人を殺すんですよ。退屈がもたらす絶望的思考は、結構簡単に人を殺すんだよな。
戦が始まる直前、休み明けとか結構毎回鬱だったわ。長期間の平和があったりして、仕事始まりますよってなる直前は一番しんどいよな。あぁ明日から人がいっぱい死ぬんかなとか、部下とか家族とか無事のまま終われるかなとか。そしたらさ、安土のテッペンからの眺めが、私をなんか呼んでるような気がして、そのまま飛び降りそうになるんだよ。綺麗な景色が受け止めてくれそうな気がするんよ。ふわっと。そんなわけないのにね。でもなんか楽になれそうな雰囲気が凄い無性に飛び降りをけしかけるんだわ。そいで一歩だけ出してみようかなって足を投げ出そうとする。そしたら左腕をがっと掴まれて、振り向くと帰蝶が泣いてるんよ。私の腕を必死に掴みながら。
「何勝手に逝こうとしてるんだ!仕事しろ!」
って毎回怒られて、泣きじゃくる帰蝶を抱きしめて何とか今日まで生きてるけど。いつも帰蝶に助けられてた。帰蝶のそういうところ可愛いんだよな。
あぁ帰蝶に会いたいな。今何してるんかな帰蝶。謀反されたって知ってるんかな。知ってたら、帰った時多分めちゃくちゃ怒られるな。怖いなそれ。結構ガチで殴ってきそう。痛いんだよアイツの拳。「おともだちパンチ」って知らんのかな。親指を外じゃなくて内側に入れて握ることで、その猫の手のような愛らしい見た目で満腔の憎しみが込められなくなり、世は調和と愛で溢れかえるとかなんとか。何で読んだか思い出せんけど。帰れたら帰蝶に教えてあげよう。
爆熱ビンタしてもいいからもう一回あの夢見たいな。
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