最終話 桜の季節


 季節は移り替わり。


 春になった。


 今日から俺は、高校三年生になる。


「クラスどうなるんだろうな」


「海斗一人だけ別のクラスとかにならないかなぁ」


「怜太⁈ お前言うようになったなぁ……なんか、嬉しいような悲しいような」


「怜太も海斗の扱い方が分かったんだね。うんうん、グッドグッド」


「流果⁈」


「遠慮しない方が逆にいいぞ」


「そ、壮也⁈ お前何言ってんの⁈」


 騒がしく新クラスを確認する。


 海斗が嬉しそうに言った。


「おっ、全員同じクラスじゃねぇか」


「ほんとだ。すごい確率だね」


「これも、俺の日頃の行いのおかげかなっ」


「「「…………」」」


「……俺、新学期早々帰りたくなってきたよ」


 海斗の言葉に、三人が笑う。


 すると海斗も、なぜだか笑い始めた。


「とにかく、三人とも。今年も……いや、これからも、よろしくね」


「うん、もちろんだよ」


「よろしくな」


「嫌って言われても、一緒にいてやるよ」


 ……やっぱり、この三人だよな。


「さてと、早く教室行くか!」


「そうだね。……暇だし、改めて自己紹介でもしちゃう?」


「悪くないな」


「海斗はもちろん、タイプは年上の女性(聡美さん)で」


「怜太⁈ それ実名出てない⁈」


「そういえば、こないだ聡美さん、駅前で男の人と歩いてたような……」


「えぇ⁈ ま、マジかよ……」


「まっ、冗談だけどねっ☆」


「て、てめぇ流果! だましたな⁈」


「騙されやすいのが悪いんだよ?」


「この野郎!」


 ……どうやら今年も、騒がしい一年になりそうだ。


 だが、それがいい。





    ▽




 

 沙希と買い物をした帰り。


「もう桜、満開ですね」


「そうだね」


 歩道橋の上から、桜並木を眺めた。

 

 桜の咲く季節は、やっぱり沙希の季節だな。


「せっかくですし、今度お花見でもしに行きません?」


「いいね! 桜を見ながら、沙希の手料理食べたいな」


「ご飯を食べたら、私の膝の上で寝てもいいかもしれませんね?」


「それ、最高だな」


「ふふっ、そうですね」


 歩道橋の階段を、一段ずつ降りる。


 すると、沙希が立ち止まった。


 

 ――あぁ、そうか。



 桜色の髪が揺れる。


 あの時に重なる。


 思い出さずには、いられない。


「怜太さん」


「ん?」





「私と一緒に、いてくれますか?」





 その答えは、もう決まっている。



                                  完



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


全51話、読んでいただきありがとうございました!

一か月も連載しませんでしたが、とても楽しい時間でした!!


少しでも、皆さんの日々に『しあわせのいろ』を与えられたら、生きててよかったなと思います


これからも誰かの心に寄り添えますように


                        4月11日 本町かまくら

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クラスの女子に使い捨てられた俺。もうどうにでもなれと思い不良の仲間入りを果たそうと思ったら……みんないい人過ぎたんですけど⁈ えっ? お前になら妹を任せられる? って、こないだ助けた子じゃん! 本町かまくら @mutukiiiti14

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