第14話 学園の外の世界

 世界は、危機に満ちている。

 滅亡の危機が、間近にある。

 大陸には、魔物が溢れそれを駆除する余力は無い。

 巨大な、龍という悪夢が存在しているから。巨大な龍から、小型自動車サイズの龍まで、数多くの龍が地上を蹂躙しました。

 人類は、抵抗したのですが大敗。その原因の多くは、各地のプレイヤーの存在でした。

 一人ひとりが、英雄と呼ばれるにふさわしい技量を持ち、次々と魔物を駆逐していました。

 ただ、連携は取れていなく、個人で突撃したり、手柄を求めて勝手な行動をする人が多かったそうです。

 彼らに共通していたのは、前世の記憶のせいで、死んでもやり直せるみたいな感情があったのでは?という研究結果があります。

 前世のしがらみを、この世界でも引き継いで、無意味に対立した組織もあったみたいです。

 崩壊する世界の中、プレイヤーに対して危機意識を持った人たちは、自衛のために立ち上がりました。

 プレイヤーと対立する組織も出来上がり、人類の敵がいるのに、人類同士の戦いが起こる直前まで行きました。

 それを良しとしなかった、システムにより、大規模な戦闘は回避されましたが、見えない傷は残りました。

 今でも、水面下で問題は続いています。


「これが、龍・・・」

 なつ様から、色々と教えてもらい外のことを学んでいます。

 今は、龍にまつわる映像を見ています。

「これ、倒せるのかな?」

「今までに討伐の記録はあります。はる兄上様も、5匹ほど討伐していますよ」

 それは、誇らしげになつ様は胸いう。

「どうやって?」

「戦闘強化装甲の特殊部隊を編成して、ごり押し?」

「戦闘強化装甲?」

「簡単に言えば、10メートルサイズのロボットです」

「強いの?」

「ピンきりですね。家のは、強いですが燃料消費が問題になってます」

「EQ不足、改善の兆しは無いの?」

「消費の方が、多すぎて追いついていないです」

「何に消費してるの?」

「基本的に戦闘。プレイヤー以外の兵士は、戦闘強化服の使用でもEQをかなり消費する。現状、龍が出現しそうな迷宮があるから、その攻略に必死なの」

「龍が出現?」

「迷宮は、放置しておくと危険度が上がって、中から魔物があふれるのは知ってます?」

「学園で、そう習った」

「迷宮の規模によって、出現する魔物はちがうの。最近発見された迷宮が、既に危険状態だったの」

「何で、そうなるまで気づかなかったんだ?」

「攻略中の組織が、情報を改竄していたの」

「プレイヤー関係?」

「自由冒険組合なの・・・」

 自由冒険組はいは、プレイヤーが運営する組織。国に属さず、自由に活動するという理念の下、運営されている。大陸奪回を目標に掲げているので、大陸系の人間の生き残りが背後にいると言う噂が耐えません。

 プレイヤーを、色々と優遇しているので、学園の卒業生の多くがそこに所属しています。

「あの組織、最近失敗続きで。その迷宮も新人の育成に使っていた場所でした」

「新人?」

 嫌な予感です。

「一度お世話になった矢等先輩、先日の戦闘でお亡くなりになりました」

「先輩たちが、大勢死んだということか・・・」

 矢藤先輩の同級生も、大勢所属していたはずです。

「迷宮内で、人が死ぬと、迷宮の危険度が上昇します。大勢、一度に死ねば更に上昇します」

「なぜ?」

「死者の怨念が、迷宮に吸収されるからと言われてます」

「そう言えば、魔物は怨念から生まれた存在なんだよね?」

「伝承では、そうなっています」

「お経、効くのかな?」

「お経?」

「そう言えば、この世界宗教って、システム神だけ?」

「一応、色々な宗教ありますけど、システム様が一番崇められてるね」

「お経というのがあって、死者の霊を沈めるというか、成仏させるというか、そう言う話もあったんだ」

「効いたこと無いですね。魔物は、攻撃して倒すだけです」

「機会があったら、実験してみるかな・・・」

 俺は人を殺さない、その怨念だけをとかいう事もを、やってみたい。

「先輩達の事は残念だけど、今はチャウスの改良をしますよ」

 なつ様、意外とこの辺はドライです。この世界の基準がこれなのでしょう。

「強化と言っても、何をする予定?」

「接近された時に、何か欲しいです」

「僕がいる限り、敵を接近させるつもりは無い」

「仁君の事は、信用してるけど、何が起こるかわからないのがこの世の常。チャウスの装甲は、正直核攻撃を防ぐ事が出来るくらい、強化されてますよ」

「核兵器、あるんだ・・・」

「学園の中だと、この辺の情報ないですからね。核兵器は、龍に対して難度も使用されています」

「結果は?」

「効果なし。環境汚染に関しては、逆に龍が浄化しています」

「そんな龍を、なつ様のお兄さんは倒しているんだよね?」

「戦い方によりけりみたいですよ。過去の討伐の例を見れば、プレイヤーもかなり貢献しています」

「特化型なんだよね、プレイヤー」

「だから、全部を切れないみたいです」

「そうなったら、僕も困るから」

「私もです」

 現在、チャウスの改良のために、ヤマノ重工の研究所に来ています。

 そのついでに、学園の外の事を勉強中なのです。

 まだまだ、知らない事が多すぎます。

「これ、核攻撃に耐えられるとは知らなかった・・・」

 最初の頃と比べて、動きがスムーズになっているのは、実感しています。なつ様が、魔術回路を刻んで、防御力をあげている事は知っていましたが、そこまで強化できるとは驚きです。

「仁君のおかげです」

 僕から吸収している魔力は、ここに使われているみたいです。結果として、なつ様を守る事に繋がるなら、こちらとしても嬉しいです。

「色々と、計画を考えて見ました」

 なつ様が、チャウスの改良計画書を色々と見せてくれます。

 相談しながら、改良します。色々と、試作したので、実戦テストをする事になりました。

 学園以外で先頭は初めてなので、少し緊張します。

 

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