第12話 2年生の天使

 支援錬金術、意外と知られていないスキルです。

 ポーションを作る技術と思われがちですが、ポーションも作れるスキルです。

 魔道具製作が、メインのスキルです。魔力を圧縮して、魔術回路に加工する技術の補正がかかります。

 山野家には、色々な情報が集まっているので、作りたい物が多すぎて困ります。

「出来ました!」

 新しく作ったのは、制御回路。

 この回路を搭載すれば、反応速度が5%上昇します。

 多足歩行支援機チャウス。私の愛機です。改良を加えて、性能は最初の頃からかなり上昇しました。

 装甲の部品も、最初から取り替えられ、防御力が改善されています。

 通常の装甲ではなく、魔術回路で防御力が増加しています。これも、仁君のおかげです。

 彼の魔力、半端なく多いです。濃厚で、なんともいえない美味なのです。

 思い出すと、じゅるりと、よだれが出そうになるぐらいですよ。

 兄上様たちから、何度か注意されてます。気をつけないと・・・。

 プレイヤーと呼ばれる人たちは、前世の記憶をあいまいに持っているので、子供の間は色恋沙汰に発展しないという傾向があるみたいです。

 私が見られてはずかしい思いをしてるに、気にしてない態度は酷いです。

 確かに子供ですが、仁君は親の視線で子供を見ている感じがするのですよ。

 一緒に寝ていても、子供をあやしている感じです。惨いです、毎日どんな気持ちで、潜り込んでいると思っているのですか、むっきーですよ。

 それでも、一緒に行動しているので、周りからはそう言う関係に見られているみたいです。外堀から埋めてます。


 思考が横道にそれましたが、今はチャウスの強化作業中です。

 蓄えた魔力を使って、強引に魔術回路を書き込みます。仁君から吸収した魔力は、仮想倉庫に保管されています。EQへの返還は最近していません。全てチャウスに強化作業に使用しています。

 一つのエリアに、通常なら書き込める術式は一つ。それを、魔力で強引に圧縮して複数の術式を書き込みます。そうやって、強化した装甲を使用して、防御力上げ、同じ方法で出力を上げたりします。

 後ろに、仁君専用の補助シートを取り付けてあります。蜘蛛見たいな外見になっていますが、性能は向上しているので問題ありません。

 せっかくなので、偵察用のドローンも、蜘蛛形にしました。空も飛べる優れものです。

 平行思考をスキルオーブで習得したので、色々と作業がはかどります。これは、人格が出来るものではありません。極端に言えば、右を見ながら左を見ることが出来るのです。

 3つの演算を同時にこなして、その結果をまとめながら、次の演算をする。魔術回路の書き込みも、色々と制御しながら、複雑な術式が使えるので色々と作れて嬉しいです。

 仁君の武器も作りました。現在は防具も製作中。

 防具に関しては、データが必要です。

 色々な場面でのデータが必要なので、家に協力してもらっています。使えるもものはつかう主義です。

 それは、同級生も同じです。

 仁君は、自分の訓練に必死で、あまり同級生と繋がりがありません。

 現状を理解しているので、必死に強くなろうとしている仁君は良いのです。

 不足している分は、私が補助すれば良いのですよ。同級生との繋がりは、私が作るのです。

 試作している防具を、同級生に貸し出しています。

 基本的に、プレイヤーは前衛志向が強いです。無双というのを好むみたいで、突っ込んで死ぬケースが多いです。

 防具の貸し出しをして、死亡率が弱冠下がりました。仁君、攻撃をほとんど受けていないので、実戦データが取れないから助かります。

 戦闘強化服、改良の余地が色々とあるので、データが集まると嬉しいです。

 このデータを吟味して、色々と改良を加えます。これからも、仁君のために役に立って欲しいです。

 

「かなり動きやすくなってるよ」

「本当?」

「流石なつ様」

「にへへへへ」

 僕が褒めると、なつ様は嬉しそうに笑います。彼女が改良した戦闘強化服は、凄いです。

 学校から支給されたものですが、動きのアシストの効果が上昇しています。それ以外にも、魔術回路の強度から防御力も上がっているみたいです。VRリンクシステムの感度も良いです。

「VRリンクシステム、改良したので、テストしますね」

「了解」

 このシステム、VR技術の応用で、現実の視野の中に仮想空間を重ねて表示するシステムです。

 ターゲットアイコン、ミニマップなど、VRゲームの感覚を、実際の場面で利用できます。

「これは?」

「背後霊のミニなつです」

 視界の隅に、二頭身にデフォルメされた巫女姿の小さななつ様がいます。

「後ろにいませんが?」

「せっかくなので、サポートキャラを作ってみました」

「何がせっかくなのですか?」

「仁君、たまに1人の世界にはいり込んで、なつのこと忘れてますよね?」

「そんな事は、無いとおもうけど?」

「戦場でも、なつの事を忘れない為に、アピールしておきます。ちなみに、仁君がダメージを受けると、ミニなつの衣装が飛び散る仕様なので注意してください」

「りょ、了解・・・」

 これは、気をつけよう。なつ様、色々とアピールしてきます。

 僕の本心は、子ども相手にという微妙にある前世の記憶が邪魔をしています。理性を保てるというか、邪魔をしていると考えるべきか、悩みます。

 もう少し時間が過ぎれば、記憶が混じってその辺の事は気にしない様になるでしょう。

 好き嫌いかで言えば、大好きなんですけどね、なつ様のこと。

 最近では、同級生相手に色々と商売をしているみたいです。

 2年生の天使と、呼ばれるようになっています。先日の行いで、僕は2年生の悪魔ですけどね。

 色々と、小悪魔なのはなつ様なのにと、納得いかない今日この頃です。

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