第3話 見られた!
私の名前は、山野なつ。
この世界での軍事産業の大手、ヤマノ重工の一族の娘です。
先日のスキルの儀式で、第5階位の支援錬金術師を授かりました。
プレイヤーと呼ばれる、前世の記憶もちとは違い、第5階位は純粋なこの世界の人間にしか宿らないらしいです。
ほとんどの人は知らない事らしいですが、ヤマノ重工はそのことを把握しています。色々と、裏の事情に詳しい一族らしいです。私は、まだ知らない事だらけなので、これから勉強をしなくてはいけません。
支援錬金術とは、支援に役立つものを作り出す事ができる存在です。
といっても、私はEQを生み出すだけです。
魔力との変換比率が良いので、ほぼ等価で生産できます。
ただ、私の魔力が少ないので、生産量は少しだけです。
他のスキルも、他の人と比べて低いと思います。
山野なつ 女 魔力 500
一般スキル
身体強化 L1 魔力制御 L2 情報処理 L3
特殊スキル
支援錬金術師 第5階位 L1
存在除去
固有スキル
魔力吸収 L1
運よく、魔力吸収という固有スキルがありました。はる兄上様がいうには、大当たりらしいです。
はる兄上様は、私のために色々としてくれる優しい兄様です。いろいろと、打算がるのは知っています。それでも、優しいから良いのです。
はる兄上様は、私のためにスキルオーブを用意してくれました。
これは、任意のスキルを作るこの出来るとても貴重なものです。迷宮で、低確率で入手できるものですが、取引価格は億単位と聞いています。
これは、はる兄上様が自分で迷宮で見つけたものらしいです。それを、私のためにくれるといいました。
スキル製作には、莫大な魔力が必要です。条件を付ける事で、必要な魔力を減らせます。
はる兄上様が私に望んだのは、存在を消すというスキルでした。
なぜかと聞くと、今年の新入生に関係する事らしいです。
ある筋からの情報で、今年の第1養成学校に、魔力回復のスキルを持った入学生がいるそうです。
これを上手く利用して、私の魔力吸収の糧にするように言われました、
存在除去というスキルが過去にあり、それを再現することになりました。
このスキルをつかうと、透明人間になります。他人から見えません。なぜか壁抜けも出来ます。
スキルとは、魔法よりも不可解な存在です。
魔法で再現できるスキルと、スキルでしか出来ない魔法があります。多くの人は、そのことに気づいていません。
存在除去だけを、スキルオーブで制限するのに必要な魔力は1億でした。
人間の魔力は、99999999が限界です。これを超えると、魔人と呼ばれる存在になるみたいです。
流石に、これでは再現できません。
ここから、条件を付ける事で、使用する魔力を減らせます。
まず、裸で無いと使用できないと条件をつけられました。恥ずかしいけど、誰にも見えないし、気づかれないなら、問題ないと、はる兄上様が言いました。
この条件で、必要魔力は5000000万まで減りました。
次の指示は、魔力が全快している相手には、存在除去が通用しないと言う物でした。
「見られない?」
「それが目的です」
はる兄様がいうには、魔力回復スキルを持つ相手を探す為の手段らしいです。
責任を取らせて、婿に迎えるって言ってるけど、本気なの?
スキルが有益なのは、解るけどそこまでの覚悟はまだ無いよ。
すぐに見つかるとは思えないから、その条件を追加した。必要な魔力は100000まで減りました。
ここで、魔力吸収で、はる兄上様の魔力を吸収します。
上限を超えても、すぐにつかうなら人間の限界まで保有できます。最前線で戦っている春兄上様の魔力は、人間の限界に近いです。
必要な量を吸収すのに、結構時間がかかりました。5000までは一瞬で吸収できるけど、流石に量が多すぎる。
そして作ったスキルを、私は装備しました。
スキルオーブで作ったスキルは、特殊スキルに分類されます。
このスキルは、レベルが無いスキルになりました。スキルによって、色々と変化するみたいです。
見られていないと解っていても、裸で歩くのは緊張するのです。
養成学校に入学して、少し過ぎました。
訓練が始まったので、作戦実行の時間です。
昼間、魔力をつかうので、寝るまでに回復する事はありません。基本的に、学校では残り2割になるまで魔力を消費します。
夕方から徐々に回復させ、朝には全快するように訓練します。実践になったら、夜間戦闘もあるので、そう言う訓練も後日行います。
だから、今がチャンスなのです。
色々考えて、この時間なら全員魔力を消費しているはずです。
この寮は、男女混合です。迷宮では、男女でチームを組む事がおおいです。お互いの存在になれていないと、色々と問題が起きるそうです。それを防ぐ為に、ある程度異性に触れあう環境を今のうちから作ったそうです。
意を決して、存在除去を発動して、壁をすり抜けます。
隣の部屋は、男の子がいました。まだ、話をした事ありません。
自分の姿を考えないように、慎重に進みます。
ここに来た目的は、魔力吸収の練習です。はる兄上様意外に、使った事ないので、寮を廻って練習をします。日々、トレーニングをする事を、この学校では推奨しています。泥棒みたいで心苦しいですが、固有スキルは秘密にする必要があります。
こっそりとするしかないのです。そして、私にはそれが出来ます。
出来るはずなのに・・・。
男の子と目が合いました。
一瞬、気のせいかと思ったけど、そのこの視線が動きます。
見てます、見られてます。しっかりと、私の小さな胸を確認しましたよ、この子!
「マジックドレイン!!」
とっさに、全力で魔力吸収を発動しました。
魔力を全部取られて、男の子が倒れます。
訓練をサボっていたのでしょう、この時間に魔力が減っていないなんて、怠惰な証拠です。
うがぁぁぁと、恥ずかしさと、怒りで、頭の中がいっぱいです。
悔しいので、このこの部屋の中を物色します。
何か、弱みでも見つけられたら幸運です。
何で、すぐに部屋に戻らなかったのか、今では後悔してますよ。
「動くなっ!」
「にゃ?」
声がしたので振り向くと、男の子が銃をこちらに構えています。
「エにゃジードレイン!!」
あわてて、もう一度魔力吸収。その子は倒れます。
何で?次魔力が回復するまで、目が覚める事はありません。魔力回復スキルがあっても、早すぎます。
それに、私が物色している所を、見られたかもしれないの?この格好で・・・。
「きゃっ!!」
呆然としていると、男の子が目を覚ましました。そして、背後に回り、抱きかかえられてしまいました。
「エナジードレインッ!」
「おかげで、魔力が上がったよ」
その子は、気絶しません。私が一瞬で発動できる魔力を、上回ってしまったみたいです。こめかみに、銃口を突きつけられました。引き金は、指にあります。
「無駄な抵抗は、しないほうが良い」
私の人生、これまでなの?
絶望が、やってきます。あぅ、これは不可抗力。嫌です、恥ずかしいです。
恐怖から、気絶する寸前、色々とやらかした気がするのです。
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