第2話 プレイヤー その2

「ここが、新しい部屋ですか・・・」

 スキル授与を終えた僕は、スキルの効果が有効とされて、最前線の育成機関へと行くことになった。

 プレイヤーと呼ばれる、戦士の育成を目的とした学校。

 国立第1養成学校。

 全寮制で、初級の迷宮を実戦で攻略しながら学ぶ場所。卒業率50%。在学期間は6年で、その間に半分が死ぬといわれる恐ろしい場所。

「死にたくは、ありません」

 その為に、訓練は欠かせません。カリキュラムで、やるべき事はある程度決まっています。

 個人の能力が、スキル授与から変化するので、合同の授業は減ります。

 自分のスキルになった講座を選択して、選んでいく形式です。

 配給された備品を確認して、選択する授業を確認します。

 携帯端末と、戦闘強化服が支給されています。

 戦闘強化服は、魔力を流す事で、動きをアシストてくれる防護服です。魔力バッテリーを使用する事で、本人の魔力を節約できる画期的な装備です。

 子供用があるとは思っていなかったので嬉しいです。

 携帯端末は、色々な情報ツールと、身分証を兼ねていました。国から支給されたお金も、ここに入っているみたいです。確認すると、100万円ありました。

 子供に、この金額と思いましたが、使用する武器に関しては、ここから資金をはらう必要があるみたいです。

 収入に関して、授業の半分以上が、迷宮での実戦になっていました。ここでの戦果を、現金で支給してくれるみたいです。

 これは、気をつけないと駄目です。戦闘強化服も、バッテリーが必要なので、EQを確保しなければいけません。

 魔物を倒すと、魔石という物質を残します。これを、錬金術師が加工して、EQエネルギーキューブと言う物にします。

 これは、電池みたいに使用でき、この世界のエネルギーを支えています。

 人の魔力からでも、EQに加工できるみたいですが、返還率は魔石よりもかなり悪いので、あまり使われていません。

 大型の兵器の登場で、EQの需要は高まっています。子供でも迷宮に送ろうとする国の方針は、この辺にあるのかもしれません。


「疲れた・・・」

 ここに来て、1週間が過ぎました。

 訓練は、かなりハードです。

 とにかく走る。

 魔力で、身体強化しても、疲労はあります。体を動かす事を、とにかくやらされました。

 魔力のコントロールも、色々と教えられました。

 魔力は使い切ると、気絶します。そして、完全回復すまで起きる事が出来ません。

 普通の人は、10時間は起きられない計算です。

 戦闘中に、気絶は出来ないので、常時自分の魔力の残量を意識するように教えられています。

 魔力回復のスキルがあるので、僕の場合は寝る前に使い切るように指示が出ています。

 使い切ると、最大値が上昇する傾向があります。結構、ランダムなので確実に上がる保証がないのがつらいです。気絶する時、結構気持ち悪いです。あまり。経験したいとは思いません。

 それでも、強くなる為にはと、毎日1度は気絶しています。

 おかげで、魔力は最初の倍になりました。

 加速魔法に関しても、色々と準備が出来ました。

 この魔法、次の行動を加速させるという効果が判明しました。

 物体に限るという制限があります。

 色々と、ご都合主義な場面がありまり増すが、それが魔法と言う物らしいです。

 単純に言えば、次に投げる石の速度を倍にする事ができました。

 予め、石にかけておけば、次に投げた石の速度が倍になりました。

 スキルレベルの倍の速度まで選べます。今のレベルは1なので、2倍まで加速できます。

 100キロで投げた石が、200キロとなって飛ぶことになります。

 速度が上がれば、威力も上がります。

 魔物との戦いを、投石だけは厳しいです。投げナイフも、数を用意するのが難しいです。

 弓矢は、ボウガンも含めて、複数の敵を相手にするには厳しいです。

 単純に、銃を選びました。

 弾丸に、魔法をかけておけば、それだけで普通につかうよりも強力になります。

 嬉しい事に、反動が強くなるという副作用はありません。


 子供なので、大型の銃は手に入れる事は出来ません。ただ、プレイヤー専用の、子供向けのハンドガンがあるので、それを入手しました。

 レーザーポインターも付いているので、使いやすいです。射撃訓練を受けたので、射撃スキルL1を入手しました。基礎スキルなので、手順を守れば邯鄲に入手できます。

 問題は、実弾。

 マガジンを収納する魔道具は高いです。弾丸も、その都度購入しないといけません。

 第1養成学校にある迷宮では、効率よく戦闘をしないと赤字になりそうです。

 空間収納の魔道具は、最低でも100万円はするので、現状購入できません。

 弾丸は、安いと言っても消耗品です。1マガジン10発入りで1000円でした。

 安いとは思いますが、銃本体で40万円使っています。2丁購入したので、この値段です。

 生活費を考えると、無理が出来ません。

 色々と、厳しいです、この養成学校。食費と、光熱費は国から支給されているけど、色々とほしいお年頃ですよ?

 先のことを考えると、色々と不安になります。

 そのせいでしょうか?

 日課となった、魔力を使い切る為の練習の直前、部屋の中に女の子が出現しました。

 少し小柄ですが、一目でかわいいと感じる女の子です。

 一瞬だけ、目があいました。向こうも驚いています。

 こちらも、驚いています。

 女の子が現れた事もですが、彼女は全裸でした。小さな胸が、一瞬だけ目に入りました。

 それ以外は、みる余裕は無かったです。

 次の瞬間、僕の意識は途切れました、女の子が、何かをしたみたいです。

 この感覚は、魔力切れです。僕がトレーニングをする前なので、彼女が何かしたのでしょう。

 いつもなら、嫌な感覚なのですが、安らかに闇の中に落ちました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る