第4話 惨劇の後始末

 意識が戻り、目に入ったのはお尻だった。

 なぜ?

 小さなお尻の持ち主は、僕の部屋の中を色々と調べている。泥棒なのだろうか?

 全裸なのが気になるけど、レオタード姿の怪盗もアニメの中にはいたから、全裸の泥棒がいても不思議ではないかもしれない。


 泥棒なら、遠慮する必要は無い。銃を構える。流石に、殺すわけにはいかない。警告をしたら、また意識が途切れてしまった。

 意識が途絶える感覚が、マイルドなのがせめてもの救いです。

 魔力の回復早いので、すぐに目が覚めます。女の子は、なぜか呆然としています。

 動かないなら、チャンスです。魔力で身体能力を強化します。一瞬、女の子が消えました。

 だけど、すぐに元に戻ります。この子、魔力が最大の時にしか見えないかもしれません。

 見えないだけかもしれません。距離を取らなければ良いはずです。

 素早く動いて、背後に廻ります。ここで、失敗に気づきます。この子、裸です。どうしよう?

 とりあえず、後ろから触らないように注意しながら、動きを止めます。

「エナジードレイン!」

 この子がやっているたことが判明しました。魔力吸収です。レアな能力の持ち主です。

 体から、魔力が抜けますが、気絶までいきません。回復を繰り返した結果、この子の吸収する量よりも、僕の魔力の方が多くなったみたいです。何となく、1万近くまで魔力が上がった気がします。これは、恐ろしいペースです。

 姿は見えないけど、手の中に感触があります。

 およその見当をつけて、銃を突きつけます。

「無駄な抵抗は、しないほうが良い」

 魔力を、連続で吸収されたら厄介です。これで大人しくしてくれると良いですが・・・。

 ですが、自体は最悪の結果を招いてしまいました。

 この子なぜか、気絶してしまいました。その直前に、失禁しています。足元に、水溜りができています。僕のズボンも、ぬれてます。


「どうしよう?」


 現実逃避気味に、自分のステータスを確認します。


 仙石仁 男 レベル11 魔力12000

 一般スキル

・身体強化 L3 魔力制御 L2 遠見 L2 気配探知 L2

・無属性魔法 L5 威圧 L1

 特殊スキル

・加速魔法 第1階位 L1

・魔力回復 L2 1秒ごとに2%魔力回復

 固有スキル

・スキル編集 1文字 残り0


 今まで無かった威圧というスキルを覚えています。これは魔力が1万を超えたので覚えたスキルみたいです。この影響で、この子は失禁したみたいです。

 良く見ると、この子危険人物です。

 寮の中の、要注意人物の1人、山野なつ。ヤマノ重工のお嬢様です。この子に危害を加えたと知られると、シスコンで有名な兄弟に何をされるかわかりません。

 ヤマノ重工に、はるとあきという二人の人間がいます。共に、迷宮攻略の最前線で活躍する人材です。彼らには、溺愛する妹達がいて、その1人がこの子です。

 この状況、どうすれば良いのでしょう?

 ベットにで横にするとしても、この状態では無理です。

 仕方ないので、ソファーにタオルをかけて、その上に寝かせます。

 簡単に、タオルでふき取りました。極力、見ないように気をつけましたが、弱冠好奇心に負けたかもしれませんん。

 精神は、大人のはずですが、心は子供の体に引き寄せられているのかも知れません。

 塗れたズボンは、洗濯機に放り込みます。床を拭いた雑巾は、処分です。とりあえずゴミ箱に。

 落ち着いたので、寝ている子を確認します。

 間違いなく、山野なつさんです。かなりの美少女です。幼い感じは歳相応です。

 訓練とか、結構激しいですが傷一つ無いきれいな肌をしていましたよ。アフターケアが優秀な証拠です。

 どうやってこの部屋に入ってきたのか、その目的は、色々と不可解なことが多いです。

 それよりも、深刻な問題はこれからどうするか。

 色々と、危険な状況にあります。選択を間違えると、命を失う状況です。


 少し考えましたが、まずは自分のことを優先しましょう。ズボンは洗濯機に入れましたが、足は汚れたままです。

 各部屋に、ユニットバスがあって助かります。大浴場もあるけれど、個室も色々助かります。

 換気ののために、窓を開けます。

 外の空気は、まだ少し冷たいです。寝ている子が、風邪をひくといけないけど、窓は開けたままにします。バスタオルの予備を、かけておきましょう。

 色々とあったので、長めにシャワーを浴びました。湯船をはる時間は無かったので、これで我慢です。

 部屋に戻ると、彼女は消えていました。

 こちらの、思惑通りなので一安心です。おそらく、護衛か監視している存在がいるのではと思ったので、窓を開けて起きました。

 一応、監視カメラをセットしたのですが、破壊されています。これは、僕の失敗です。下手をしたら、裸を撮影されたと思われたかもしれません。

 ゴミ箱のタオルも、消えていました。あと、洗濯機の中のズボンも無かったです。他の洗濯物も無かったです。証拠を、完全に消すひつようがったのかもしれません。それか、怪しい趣味の持ち主と思われたのでしょうか?


 今後の事が心配です。僕の、魔力回復スキルの事、知られてしまいました。ヤマノ重工にとって、必要なスキルかもしれません。良いように使われるのはごめんですが、逆らえるほどの力は僕にはありません。

 相手の出方を見るしかないのが、辛いです。

 ただ、彼女の持つ魔力吸収は、使い方によっては僕に力をくれます。今日だけで、今まで無い量の魔力の増加が出来ています。

 出来れば、良好な関係を結びたいです。

 色々と考えて、寝るのが遅くなってしまいました。気絶した時に、体力と気力も回復しているので眠気は無いですが、頭が冴えていません。


 だからでしょうか?


 学校へ行くために扉を開けると、そのなつさんがいる事に、気づきませんでした。


「お、おはようおございます」

「ん~~?」

「これ、洗濯物です、お返しします」

「洗濯物?」

「あと、これ部屋の鍵です」

「鍵?」

「末永く、お願いします」

「はい?」

 何を言われたのか、理解できません。ただ、にっこりとわらうなつさんは、物凄く可愛かったです。

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