第3話 朝食




 買い食いの誘惑から辛くも逃れては家に帰って来て、手洗いうがい部屋着の着替えをささっと済ませたら、朝食の準備にとりかかる。




 食パンにチョコレートを五粒のせて、トースターで焼く。

 小さな湯呑に入れたヨーグルトの上に、ブルーベリージャムをのせる。

 ナッツ系を入れるか。

 ベリー系を入れるか。

 今日はなしの気分だな。


 部屋にチョコレートの匂いが充満して、お腹が限界だと騒ぎ出した。

 いさめながら、大きめのカップに野菜と果物べつべつのジュースを、大体、八対二の分量で入れて、焼けた食パンを丸い皿にのせる。

 用意したそれらをテーブルの上に持って行き、新聞も置いて、朝食の準備は終了。




 振り込め詐欺を店員が防ぐ。すごいなー。

 気象予報士資格に小学生が合格。すごいなー。

 紙袋も有料。ポイ捨てしても環境に負影響しないもんを作らんとだめだなー。


 お。母さま。お母さま。

 なに?

 お茶の産出額静岡が抜かれたって。

 へー。

 あ。今日のドラマ最終回だ。やだなー。絶対あっちの方に行くよあの子は。

 行かないって。

 いやいやいや、だって、この頃の番組は予想だにしない方向に行くからね。

 行かないよ。

 え、行くの。

 はいはいもう私は自室に行かせていただきます。

 えー。あ。奈良時代日本人が海外の試験受験して合格したんだって。誰だかわかる?

 知らない。誰?

 えー。答えは明日だって。

 もう忘れてるね。

 うん忘れてる。メモメモ。ま。あとでいいか。




 母は自室へと行き、新聞黙読を再開する。


 


 食パンかチョコレート。

 どちらのせいかわからないが、上顎に火傷を負ってしまった。


 あちゃー。

 






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