第2話 相棒




 よお、野原相棒様。

 よう。のーあー様。

 今日はどうした?

 なんか寝つきが悪くて、何度も起きては眠ってたら間に合わなかった。

 紬着物をお召しになっておいでですが、普段なら出向かないどこぞにおでかけですか?

 どこぞに連れて行ってくれるそうなんですよ。

 おやおや。秘密ですか?

 そうなんですよ。

 わざわざ待ち合わせをして?

 そうなんですよ。

 いいですねえ。

 素直に同意はできませんねえ。

 まあ。そうですねえ。

 日差しが和らいけど。今日は健やかに過ごせそうかしら?

 ええ、花の匂いですから。

 それはよかった。晴れやかなままで過ごしたいから。どこに連れていかれてもね。あら。

 あらあら。朝からカレーの匂いが。これはこれは朝ご飯を食べてない身にはこたえますねえ。

 もう少しで家に着くでしょう。買い食いするんじゃないですよ。

 頑張ります。




 じゃあ。

 河原から一本道を進み、商店街を通って、北西と北東に分かれる道へとさしかかったので、互いに少しだけ手を上げて、別れの挨拶を告げて、別々の道に進む。




 みんな朝からカレーか。

 疑うくらいにその匂いが刻み付けられて、ぐうぐうお腹が鳴る。

 飲食店は通り抜けたんだ。

 我慢我慢。




 言い聞かせて、でも、ゆったりと歩く。

 


 




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