ふぁんやん朝に暮にと
藤泉都理
第1話 朝日
のそりと起き上がって、ジャージに着替えて、家から出る。
鼻歌の気分だったら河原へ。
大声で歌いたい気分だったら海原へ。
歌いたくない気分だったらひたすらに走り続ける。
今日は鼻歌の気分だな。
軽く走りながら河原へと向かう。
今日は特に身体が軽い。
十五分くらいで辿り着けるだろう。
月の匂いは、塩。
火の匂いは、柑橘系。
水の匂いは、レタス。
木の匂いは、ミント。
金の匂いは、鍋を洗ったあとの金たわし。
土の匂いは、ゴーヤ。
日の匂いは、綿菓子。
金の色鉛筆で描いたみたいに、ふちが光り輝いたかと思えば、真っ暗に書き換えられて、瞬く間に、すべてが光に包まれる。
建物も、木も、地面も、人もぜんぶぜんぶ。
今日は花の匂い。
うん、無事に過ごせそうだ。
横になるにはちょうどいい斜めぐあいの土手に寝転んで、目を眇める。
ああ、きれいだなあ。
いつもと変わらずに、感嘆し、合唱。
朝日に慣れてきたところで、左右どちらの瞼も同じ高さに持ち上げた。
いつもならば、相棒も一緒に見ているのだが、今日は珍しくも寝坊したようだ。
来るまで待ちましょうか。
ただし、お腹が限界を訴えるまで。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます