離反

 アビスは三〇万機に及ぶ各種ドローンを自律AIと『エリゴール』にて管理していた。

 配下のカプセルドにも情報を伝えて今回の超規模作戦に一五〇〇名ほどが参加した。

 残りは静観か、離反ということになる。

 アビスの作戦はネオエデン社の管理する複数の宇宙ステーションに襲撃をかけるというものだった。

 アビスの処理機能を増大させ、また処刑装置にも変わる脳のインプラントだが、後者については『爆弾を解除』することに成功していた。

 『爆弾の解除』は大規模行軍の直前である。これをやると流石に本社などにバレるので、最後の判断となった。

 そして、それは始まりでもある。


 ネオ・エデン社とノア社の2ステーションが宇宙警察と戦闘に入ったところで、アビスは本社から大量のドローン戦線とカプセルドを移動させた。

「私の、アビス・ステーション本体に敵戦艦が来るまでが勝負だ」

 アビスはそう独り言を言った。自分の管理するステーションの防衛と、襲撃をかける敵戦力の撃滅。

 このためにカネと兵器、次いでヒトの流れを徹底的に洗っていたアビスである。

 アビスの頭脳も、インプラントのフェイトも、管制室のCPUも、エリゴールのAIも、全ては勝つために動いていた。

 勝つなら勝つで、それでいい。

 負けたら死ぬだけだ。

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