蜂の巣を突(つつ)く

 アモルドが攻城戦艦・カプセルドの仕様に慣れてきたころ、アビスもまた『エリゴール』の十分な操縦技能を身に着けていた。

 アビスは、時間差会議で社長と他幹部過半数の許諾きょだくを貰い、再度戦力を結集しつつある宇宙警察に奇襲攻撃を仕掛けにいった。

 無論、エリゴールの所在は隠したままだ。

「多少嫌がらせをする程度に留めます」

 念押しするように、そう言ったアビス。

 うそばかりいている気がするアビスも、今回は本当だった。

 カプセルドたちなどに居城を任せ、多数のドローンで戦線を構築した。

 ドローンは数は多いが、探知は容易。

 すぐに開戦となった。


『全迎撃艦に告ぐ! 敵を撃滅してこい!!』

 宇宙警察の支部の主軸である、艦載機母艦の艦長がステーションの停泊所で、そう宣言した。

「了解! カプセルド・アモルド、発進します!!」

 元はといえば今戦う敵組織の技術で迎撃作戦をしているのだ。

 奇妙な違和感と親近感を覚えながら、アモルドは戦艦を敵戦線に進めた。

「まだ不正確な情報だが、数万機程度のドローンだけか。

 おそらくはクローク艦、『カプセルド』も居ることだろう」

 アモルドは周囲を防護する味方艦に向け、そう言った。さらに、

「こちらの火力は絶大だ。空間ごと制圧する!!」と続ける。

 先日の大敗で、宇宙警察は核兵器を大量に採用していた。

 本来核を取り締まる側の宇宙警察が、その兵器を大量に持つことに反感を持つ者は居たが……、それだけ切羽せっぱ詰まっているのだった。

 艦載機母艦も大量の戦闘艦を発進させていった。

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