技術流出

 宇宙警察はノア社の支社である旧・ジレット・ステーションと調査と、ジレット当人から犯罪行為について取り調べを行っていた。

 人類発祥の惑星と同じ重力である1Gが保たれている宇宙ステーション内で、アモルド少佐はジレットの話を聞いていた。

 取調室には身柄を拘束された中年男のジレットのみ。

 脳波検出器具や体温や発汗などを検分する『高度な嘘発見器』を使っての遠隔取り調べだった。

「法律など、貴様ら宇宙警察を名乗るものが勝手に定めたものだ。

 守ってやる義理などない!!」

 ジレットはそう言った。

 アモルドは退屈そうに悪徳の人間の話を聞いていた。

「元気だな。

 我々は最低限の人道的な観点に立ち、貴殿に対し非道な振る舞いはしない」

「お優しいことだな」

 両手両足、腹部を拘束されているジレットは吐き捨てた。

「貴殿のステーション内で、幾つか違法なやり方で人体実験などが行われていたようだな。

 『プロジェクト・カプセルド』。

 有罪が確定すれば永久投獄は避けられないだろう」

「待て」

 白髪交じりのジレットは、多少は焦ったような声を出した。

「捜査を円滑に進めることに同意し、司法取引に応じるのなら、その成果に応じて刑罰を軽くできなくもない。

 上からの手配は済んでいる。

 わかったなら、知っていることを話してもらおう」

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