正統調理

「さて、どこから動いてく~?

 幸い、海賊はまだステーションには襲撃してきていないようだれど」

 アビスの脳内に滞在する愛猫あいびょうのフェイトがそう言った。

「例のカプセル搭載艦の操縦者、『カプセルド』というようだけど、一隻一隻が強力だし、分散配置させようと思う」

 アビスがそう言い、フェイトが空中を跳ねて飛び、一回転をした。

「演算中……。脳と管制室のCPUを借りるよ。」

 フェイトが勝手にアビスの脳などを使用。

 脳にやや強い負荷が掛かかり、アビスはもたげた頭を支える。

「演算終了」

 フェイトが演算の終了を宣言し、アビス・ステーション管制室の中心部に存在する情報処理用の立体光学映像ホロ投影装置に各種の情報が表示される。

 主たる経済の動きや指標がメイン、次に宇宙警察に海賊の動きなどだ。

 アビスがインプラント脳と関連付けて重要事項を整理する。

 大きな金銭の流れに敵の危険度を、配分を測ったスパイス料理のように『調理』していくのだ。

「『カプセルド』たちは強力な駒だ。

 今回の動きに変則さはおおむね、要らない」

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