パージ作戦2―挨拶代わり

 ノア・テクノロジーズ内で内紛が起きているのは、アモルドたち宇宙警察にも周知の事実だった

 一つのステーションがまるごと反旗を翻した。

 その戦力は決して小さくないはずだろう。

 ノア社は宇宙警察とも海賊とも折り合いが良くない。

 奇妙かつ凶悪な技術を専有している会社で、その幹部ステーション周辺はまるで一つの小国家(現在は歴史にしか存在しない概念になる)である。

 ノア社は膨大な金の流れがあり、ここ最近の資本主義の隆盛りゅうせいでのし上がった、やや歴史はあるもののまだ新興の企業である。

 とにかく秘密主義で、黒い噂は絶えない。

 奴隷貿易で一儲けをしたかと思えば、ステーションの管理事業を行い、また最初期から技術廠テクノスとして一貫・継続した収益を上げている。

 アモルドがノア社への考えにふける。

 アビス・ステーションの攻城戦艦をいつでも攻撃できるようにはしていた(無論、電磁波を放射してのロックオンはしていない)。

 しかし、アビスの部隊に先に攻撃を仕掛けたのは先鋒せんぽうのドローン部隊に対してならず者の傭兵部隊か、あるいは海賊だった。

 斥候せっこうかもしれないが、戦いが始まったのは事実だった。

「高みの見物、だな」

 アモルドはそう言った。

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