パージ作戦1ー尾行

 アビス・ステーションから発進した艦隊フリートは、3回のワープ航法を実行。

 戦線は、多数のドローンを最前線・進行方向に配置。

 さらに周辺に薄く戦闘艦が配置され、移動している。

 ごく常識的な布陣だと、アビスの主力部隊に接近しているアモルドはそう思った。

 使ってみると、凄まじいふねだというのはわかった。

 極めて高度なステルス・クローク技術があるのは知らされていたが、それを作動させるための電力源は核融合炉の最新型をさらに一、二段階推し進めた最新型だった。

 遮蔽しゃへい機能を使いながらの戦闘も行えるというのだから驚きで、さすがに電力消費量が多過ぎる荷電粒子砲かでんりゅうしほうは装備していないが、ミサイルや高初速のレールガンが備わっていた。

 小型核弾頭や核砲弾も虎の子として存在する。

「あれか。攻城戦艦だな」

 それは、身を隠す気もない巨大戦艦だった。

 全高は3キロメートル弱のまるで要塞だ。

 縦長のまま宇宙空間で推進している。

 攻城戦艦は、多数の砲身にミサイルランチャーを搭載し、レーザー等のエネルギー兵器による自動自衛・迎撃システムを搭載。

 攻城戦艦の両脇には縦長のつの、あるいはごてごてしたアンテナのようななにかがついており、なんらかの装置になっているのだろう。

 おそらくこの艦にアビス・ステーションの主――ノア・テクノロジーズの通例からすればアビスという名前の幹部が乗っている可能性が高い。

 200キロメートルの距離を維持し、アモルドの艦はその攻城戦艦に張り付いた。

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