第20話
「こ、こんな高級そうなの食べていいのか……?」
私とアンドリューはあれから夕食に呼ばれて来たのだが。
アンドリューは出された料理にびっくりしている。
「警戒せずとも毒なんて入ってないから安心してください。何なら目の前で毒味させてもいいですが」
そうウィリアムは微笑みながら言った。
というのもアンドリューは目を輝かせて料理を見ているが、中々手を付けないからであろう。
「あの、どうして私たちにここまでしてくれるんですか?」
罠では無いと思いつつも、やはり理由は聞いておきたい。
「それは……
あなたに興味があるから、ですかね?」
そう笑顔で返される。
「私に興味?」
「前々から気になっていまして、それに、あなたの演説には感銘を受けましたし」
私は顔が赤くなる。
頼むからあの演説の話はしないでくれ、今となっては黒歴史だから!
「……」
そんなレイラの様子を、アンドリューは横目で眺めていた。
そんなこんなで一晩経ち、レイラ達は朝早くアンダーソン宅を出る準備をしていた。
因みに私のボロボロだったドレスは綺麗に洗って貰い、アンドリューは新しい服を貰ったらしい。
「折角なら朝食も食べていかれては?」
そうウィリアムに促されるも、私は断った。
「ごめんなさい、色々とやりたい事がありまして」
「そうですか、またいつでも遊びにいらして下さい。
貴女なら歓迎いたしますので」
そうニコリと微笑まれた。
あまり話したことなかったけれど、ウィリアムって優しい人なんだなと思う。
妹のユーリには勿体ないくらいの殿方だ。
「さて、それじゃあ一旦警察署に戻りましょうか」
私がそう言って歩き出すと、アンドリューは私が持っていたトランクを取り上げた。
「え?どうしたの?」
そう私が尋ねると、背中越しに返事が返ってくる。
「別に盗った訳じゃねーよ。
重いだろうと思って」
「でも、それだとアンドリューが二つトランクを持ってしまうから、私の手を掴めないのでは?」
「逃げる気ないなら掴む必要も無いだろ」
つまり、信用しているという事だろうか?
手を繋げないの、ちょっと残念だな……
なんて、何を思ってるんだろう、私は。
それから、私たちが警察署に着いたのはお昼頃だった。
警察署に行くと、何やら大工の方達が集まっている。
それに、アンドリューが呼んでくれたごろつき達もいて、何だか沢山人が居た。
「あ、アンドリュー、早速三人ほど盗人捕まえたから、金寄越せよな?」
「分かってるよ、もう早速警察やってんのかよ」
「おいお嬢様!めちゃくちゃ人は増えたけど、こんなん全部給料払えるのか?」
そう警察官のおじさんに尋ねられる。
「大丈夫だと思うわ。それと修繕費っていくらかかりそうなのかしら?」
私がそう尋ねると、どうやら大工のリーダーらしき男が答えた。
「ざっと50万ルーペくらいですかね?」
そう男はうっすら笑う。
「あら、そうなの。じゃあ……」
と私がお金を渡そうとしたらアンドリューが私の手を掴んだ。
「お嬢様からぼったくるのはやめろ。
50万って、あんた大豪邸でも建てる気かよ?」
「チッ……」
アンドリューにそう言われて、男は舌打ちした。
そうか、私が全く相場を知らないから、高くふっかけてきたということか。
「あんたも分からずにポンとお金を渡そうとするな」
「分かったわ、ごめんなさい」
怒られてしまった。
やはり私はまだまだ世間知らずだ。
そうしょんぼりしてると、アンドリューが少し慌てだした。
「いや、まあ仕方ないよな?
その、別にあんたが悪い訳じゃないし」
励ましてくれているのだろうか?
「ありがとうアンドリュー。
これからはアンドリューの意見を聞きながらにするわね」
そう私はニコリと微笑んだ。
「お、おう」
そう言ってアンドリューはすぐそっぽを向いた。
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