第13話
一方ブラウン家はあれからてんやわんやになっていた。
というのも、誕生会兼結婚式のはずの主人公のレイラは暴言を吐いて追放されたせいだ。
そこを他の客や、レイラの婚約者であるダニエル、それからユーリの婚約者であるウィリアムも、みんなそそくさと帰っていった。
「お父様、お母様、どうしましょう?」
ユーリはそう涙ながらに訴える。
「ユーリ、お前は何も心配などしなくていい。
全部悪いのはレイラなのだから」
そう父はユーリを宥める。
「ふん、明日にでもレイラのこの実態を暴露してやりましょう!」
そう母はまだ怒りが収まっていなかった。
「ですがお母様、私レイラお姉様が可哀想です。もう少し、世間に公表するのは控えてくれませんか?」
そうユーリはお願いした。
「ユーリ……何て優しい子なの。
分かったわ、世間にはまだ黙っていましょう」
そう母は優しくユーリを抱きしめた。
それからユーリは自室へと戻った。
「ちょっと来て」
そうメイドを1人指差して部屋に入れる。
「あ、あの、失礼します……」
メイドが戸惑いながら入ってきた。
ユーリはそのメイドに紅茶を投げかける。
「不味い、お茶汲みすらろくに出来ないの?」
「す、すみません!」
「早く新しい紅茶を入れてきて」
「は、はい!」
そうバタバタとメイドは去っていった。
「はあ、イライラする。
まさかレイラの奴、自らあんな行動取るなんて……!」
ユーリは親指の爪を思いっきり噛む。
「はあ、これからどうしよう?
折角増税させて遊びたい放題やってたのに、これじゃあそれが出来ないじゃない!」
私はひとしきり怒鳴った後にふう、と息を落ち着かせる。
きっとレイラの奴なんて、生活すらうまく出来ずにのたれ死ぬに決まってる。
もしくは、レイラの事を嫌っている民衆に殺されてたりして。
それなら、レイラの追放の事はまだ世間にバラさなくても大丈夫だ。
しかし、父と母は今までの我が儘を全部レイラのせいだと思っている。
レイラがいないなら昔の様に少ない税金に戻されるし、献上物だって無くなってしまう……!
何か策を練らねば。
ユーリはそう考え込んだ。
しかし、中々良い案が出てこない。
「うーん……何かいい方法……
そうだわ!」
そうユーリは何か思いついた。
「私がダニエルと付き合えば良いんだわ。
性格はちょっとヘタレてるけれど、金はあるし、私に惚れさせてがっつり貢がせればいいし」
レイラから本気でダニエルを奪う気はなかったが、レイラの居ない今ならそれも可能な筈。
そうと決まればと彼女は早速ダニエルの元へと向かう事にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます