第11話

 それから警察官はレイラに当てを聞く。


「それで?結局どう街を立て直すつもりなんだ?」


 レイラはんー、と答える。


「先ずは警備を整えて、それから孤児院を作ったり、後は病院とか役場とかはどうなってるのかしら?後1番は税金ね。

人を雇っても給料が払えないんじゃ駄目だし」


 私はそう提案する。本当はもっと色々改善するべき所は沢山あるのだろうけれど。


「税金ったって、それこそレイラお嬢様がどうにか出来るんじゃねーのかよ?」


 そう刺々しくアンドリューが突っかかる。


「だから、私は追放されて今はお嬢様じゃないわ。」


 そう私がアンドリューに言うと、警察官は不思議そうな顔をする。


「あんた追放されたのか?

ニュースにはなってないぞ」


「え?」


 レイラはびっくりした。

 てっきり今日にでも特大スクープとして発表されてるものだと思ったのだが。


「もしかして……」


 私が追放されたとして公表すると、今の政治を変えないと今度はブラウン家自体が叩かれてしまうのは目に見えている。


 かと言ってあの我が儘なユーリが今の生活を手放す筈がない。


 つまり、私の存在はブラウン家には目隠しの為に必要なのだ。


「私を追放したのを隠蔽しようとしている?」


「は?それはどういうことだ?」


 アンドリューが眉間に皺を寄せて聞いてくる。

 警察官も何とも不思議そうな顔をしている。


「いや、まだ世に公表されてないだけかもだし、様子を見ましょう」


 私は隠蔽の可能性も視野に入れつつ動く事にした。


「まず人材の確保は、アンドリュー、他にごろつきの仲間とか、働いていない人とか知らない?」


「あ?まあ、何人か知り合いはいるけど、まさかそいつらに警察になれって言うのか?」


「そのまさかよ」


 私はふふっと笑っていった。


「いやいや、ごろつきの中には過去に犯罪を犯した奴ら、というか今も現在進行形でやらかしてる様な奴もいるんだぞ!

それが警察なんてなれる訳ないだろ!?」


 そうアンドリューは否定する。

 というかそんな話を聞いても何も動じない警察官の方に私はびっくりするが、そんな人を見るのは慣れているのだろう。


「あら、なら尚更適役じゃない。

犯罪者なら同じ犯罪者の思考や動き方が分かるわよね?」


「いや、まあそれは、そうだけど。

でもあいつらが警察何かに収まる様なたまじゃねーし」


「でもそういう人は生きる為に犯罪を犯してるのでしょう?

そのやり方が変わって生きる為に犯罪者を捕まえるって思わせればいいのよね?

例えば、1人犯罪者を逮捕したら報酬が100ペール貰える、みたいに」


「うーん、確かに人襲って小銭稼ぐよりは得かもしれんけど……

はあ、まあ取り敢えず聞きに行ってやってもいいけど」


 そうアンドリューは折れた。


「ありがとう!

後警察官さんも誰か知らないかしら?

あ、後この警察署の工事を出来る業者さんとか」


 警察官はふむと考える。


「まあ、親戚に大工がいるな、後他の連中にも聞いて見てもいいが」


「ならそれをお願いします。

見積もりを出してくれればお金は出すわ。

それじゃあ、人を集めるのでまた後で!」


 そう言ってレイラは警察署を後にした。

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