第209話 今後の対策!? その4

「稀子……」

「ちなみに戦う選択肢を採った場合の…、プラン見たいのは有るのか?」


「えっ!?」

「そんなの有る訳無いじゃん!!」


「それはこれから考えるのだよ。比叡君!」


 稀子はそう言う。

 只の思いつきか……


「比叡さん。稀子さん」

「この話はお母様を交えて、きちんと話し合いをしましょう」

「話の展開にも依りますが、みなさんの親の力も必要になるかも知れません」


「あ~~、たしかに!」

「私達の力では無理すぎるよね!!」


 鈴音さんの言葉で、稀子はそう言うが……


(俺の親は、当てに出来ないがな……)

(鈴音さんの事だってまだ紹介もしていないし、この町に引っ越した事も連絡していない)


(普通の親なら、近況を聞いてくる者だが俺の親はそれが一切無い)

(俺が波津音市はずねしに強行(引っ越し)した時に、お互いがほぼ縁を切った状態でも有るからな)


(これを機会に、俺は親子の関係を修復させるべきか)

(けど……人の人生を指図する親となんか、関係を修復させたいとは思わない)

(俺が早期に自立したのも、元々は親が原因だ……)


「比叡さん…?」

「急に悩んだ表情をし始めまして、どうしましたか?」


「あっ、いや、気にしないで///」

「少し…過去を思い出しただけだから」


「……そうですか」


「けど…、私達はこれからどうなるかね~~」

「私はりんちゃんや比叡君とは、離れ離れには成りたくは無いけど~~」


「稀子。俺だって、バラバラになるのは避けたいよ!」

「ねぇ、鈴音さん!」


「……はい。そうですね」

「色々な事が起きて、今の私達が有ります」

「いずれは離れてしまう者ですが…、時期がまだ早すぎます」


「……」


「……」


「……」


 みんな、次の言葉が出て来ないのだろう。

 静粛の時間が訪れる。


(何か、良い方法は無いかな)

(みんなが仲良く暮らせて且つ、山本さんに襲われない方法が……)


 俺は頭の中で考え始めようとした時に……


「みなさん!」

「お待たせしてしまい、申し訳有りません!!」


 話か事情聴取を終えた、真理江さんがロビーに戻って来た。

 表情は特に泣いている訳でも無く、普通の表情に見えるが……


「……細かい話は、家に戻ってからにしましょう」

「此処で話すのは気が引けます…」


 真理江さんはそう言って、玄関の方に歩き出す!

 俺達は顔を見合わせて、慌てて真理江さんの後を追い掛けた……


 ……


 真理江さんの家に戻る間、会話らしい会話は無かった。

 鈴音さんが真理江さんに話し掛けても上の空だし、何とも言えない空気が俺達を覆っていた。


 今日の晩ご飯の担当は稀子では有るが、真理江さんの家に戻るのはほぼ夜の時間帯に成るだろう。

 大体15時前に山本さんに襲われて、現場から警察署に移動して、其処で取調べを受けて、真理江さんも警察から事情を聞かれて、警察署を出たのが夕方で有るからだ。

 稀子が今晩、何を作るのかは聞いては無いが、こんな状態でも稀子は晩ご飯を作るのだろうか?


 どうにか真理江さんの家に到着して、玄関で履き物を脱いだ所で……


「鈴音さん…。今から話をよろしいですか?」

「今後の事を色々と……」


「はい…。私は大丈夫ですが……」


 真理江さんは鈴音さんと話をする様だが、何故か俺には声が掛らない?


「では。早速、居間で話をしましょう!」


「はい…」


 鈴音さんも俺には断りを入れずに、真理江さんと居間に向かってしまう。

 玄関に取り残される、俺と稀子……


「おばさん…。真剣な表情をしていたね」


 稀子は呟く様に言う。


「真剣にも成るさ…。息子が再犯を犯したのだから」

「けど……何で、俺も交えないのだ!?」

「俺も当事者なのに……」


 俺は稀子に、愚痴をこぼす様に言うが……


「だって、比叡君…。鈴ちゃんとは恋人関係だけど、親戚関係には成ってはいない」

「山本さんの話は、比叡君には勿論関係有るけど親戚同士の話は、比叡君は部外者に成ってしまう」


「……それは、稀子の言う通りだけど、俺だって此から親戚関係に成るのだし」


「比叡君」

「私の予想だけど、鈴ちゃんとおばさん次第では、本家と言うのが真剣に動くのでは無い?」

「本家にお願い事が出来るのは比叡君では無く、鈴ちゃんとからしか言えないから」


「けど……」


 俺はそれ以上、稀子には言えなかった。俺はまだ、鈴音さんとは婚姻はしていない。

 山本さんの今後の対応はあくまで、真理江さんとそれを含む親族の問題だ。

 疎外感を感じるが、今の状態ではどうしようも無かった……

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