第196話 気遣い!?
駅近くで昼食を取った俺は、何処か寄り道をする気が起きなかったので、その後は真理江さんの家に戻る。
真理江さんの家に戻ると、玄関には真理江さんの履物しか無かった。
鈴音さんと稀子はまだ大学なのかも知れない。
俺は自室に戻る前に、居間に居る真理江さんに声を掛ける。
「ただいまです。真理江さん…」
「青柳さん。お帰りなさい…」
「……試験は、無事に出来ましたか?」
「はい……どうにか」
「……そうですか」
「合格出来ると良いですね…」
「ですね…」
真理江さんは、話しを掘り下げようとせずに淡々と話す。
これが稀子だったら…、根掘り葉掘りと聞きまくる筈で有る。
鈴音さんも、真理江さんと良く似ていると感じた。
「後は、自室でゆっくりしています」
「試験、お疲れさまでした」
俺は真理さんの言葉を聞いてから自室に戻る。
俺は普段着に着替えて、畳みに寝転がる。
(試験結果までは普通に過ごして、結果次第でどう動くかだな…)
今のアルバイトは、合格に成った時に備えて、退職の意思はもう伝えて有る。
予定では今月末で、今のアルバイトは終了で有る。
例え不合格に成っても、今のアルバイトは続ける気はもう無い。
(合格していれば御の字だが、不合格だったら……本当に真理江さんの家から出るしか無いよな)
真理江さん周辺地区は、俺が働けそうな場所が本当に無い。
車も無いから、自家用車通勤も出来ない。
不合格に成った時は寮付き仕事を見付けて、其処で働く道しか無いが、そう成ってしまうと……鈴音さんとは正式に別れる事に成る筈だ。
(もし、鈴音さんと別れるなら、その直前に抱かせてくれないかな?)
(鈴音さんの秘部に、俺の物を押し込みたい!)
そう俺は、考えてしまうが……
(愛想を尽かした異性と、性行為をしたがる女性は居ないよな…)
(特に鈴音さんは生真面目だ!)
(絶対に拒絶するに決まっている!!)
鈴音さんとは当然別れたくは無いが、俺は人生の失敗が多すぎた……
保育士養成学校、保育士試験。そして、今回の農業職業訓練。
『仏の顔も三度まで』と良く言うが、この試験まで不合格に成ったら言葉通りだろう。
鈴音さんは絶対に、俺を見限るに決まって居る!
『三度目の正直』に成れば良いが……
(鈴音さんと別れたからと言って、稀子が俺に付いて来る可能性も怪しいからな…)
(稀子は普段脳天気だが、真面目に考えて居る時だって有る)
(将来性の低い俺に、稀子が俺を選択する事は有りうるんだろうか??)
(やるべき事はやってしまったし、後は結果待ちだな)
(その後の事は、結果後に考えよう……)
俺はそう…、心の中で考えを纏めた。
……
時間も晩ご飯の時間に成るが、鈴音さんも稀子も、特に試験の事を聞いて来ようとはしなかった?
俺の事を気遣っているのだろうか??
俺は少しもやもやしながら晩ご飯を取って、その後は普段通りの団らんの時間を過ごすが、其処でも特に試験の話題は出て来なかった……
いっそ、俺から話せば良いのだが、負け戦に近い試験内容を話す気には成れなかった……
まさかと思うが……、鈴音さんや稀子もその部分を感ずいている!?
団らんの時間も終わり、俺は自室に戻るが、鈴音さんや稀子が来る気配は無かった……
(これはいよいよ、別れの時期が近付いている証か…)
思わずそう考えてしまうが……鈴音さんと稀子とは普通の会話はしていたし、表情も何時も通りで有った。
(気遣っているで、受け止めれば良いのだろうか?)
俺はもやもやしながら、眠りに就いた……
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