第152話 和風イタリアンレストラン その3

 親友達との久しぶりの会話を終えた鈴音さん・稀子と合流して、再び散歩を続ける。

 俺達は時間を調整して散歩を楽しんで、レストランに戻る。

 今晩は真理江さん達のために、店を貸し切りにしてくれたらしく『本日は貸切り』と、入口のドアに紙が張られていた。えらい持て成しようだ!!


 店内に戻ると晩餐会と言うよりかは、ホームパーティー見たいな状態に成っており、先ほどは見えなかった、若い女性数人が準備を進めていた。アルバイトの人達かな?

 俺達は邪魔に成らないように、角のテーブル側椅子で座っていた、真理江さんの横に座る。真理江さんはずっと、この場に居たのだろうか?


「真理江さん。ただいま戻りました!」


「お帰りなさい」

「青柳さん達、どうでしたか? 久しぶりの波津音市はずねしは?」


「聞いて、おばさん!」

「さっき、学園の親友達と有ったよ♪」

「みんな元気だった!!」


「そうですか!」

「それは良かったですね。稀子さん…」


「うん!」


 晩餐会が始まるまで、俺達は雑談をしながら開始まで待つ……


 ……


 時刻も17時半を少し過ぎた所…。バイキング形式で晩餐会が始まる……

 テーブルの幾つかを中央に纏めて、そのテーブルにパスタやピザ、オードブル等が並んでいる。

 殆どの物が湯気を立てており、どれも出来たての感じで有る。

 イタリア料理店だが和風と言う事も有って、箸も準備されていた。


 みんなの軽い自己紹介の後、浅野さん夫婦や先ほどのアルバイト女性達も混じって、晩餐会が行われている。

 座席も、浅野さん夫婦を含むレストランスタッフと、真理江さん達と、席も自然と別れていた。

 俺に彼女が居なければチャンス到来だが、俺には鈴音さんが居るので、この女性達とは一期一会の関係に成るだろう……


「この牡蠣フライ美味しい~~♪」

「揚げ物なのにクドくなくて、幾らでも食べられそう♪」


 稀子は牡蠣フライを食べて歓声を上げている。


(牡蠣フライはイタリア料理に含まれるのか?)

(けど……和風イタリアンだから良いのか??)


 俺は少し疑問に感じながら、稀子が美味しいと言った牡蠣フライを取りに行き、食べてみる。

 ソースはタルタルソースでは無く、オリジナルのソースを付けて食べるようだ。


「サクッ♪」


(成る程!)

(サラダ油の代わりに、オリーブオイルを使って揚げているのか!!)

(ソースもトマトソースをベースにしており、イタリアンと言えばイタリアンだ!!)


 俺は感心しながら牡蠣フライを食べている。

 ピザとかパスタは言うまでも無い美味しさだが、牡蠣フライも調理方法やソースを変えるだけで、これほど変わるとは思わなかった……

 隣で食べている鈴音さんに、俺は声を掛ける。


「鈴音さん!」

「この牡蠣フライ美味しいですよ!!」

「牡蠣の味もしっかりしているし、イタリアンの味がします!!」


「へぇ~~、そんなに美味しいのですか。比叡さん♪」

「今度、お料理を取りに入った時に食べて見ます♪」


 鈴音さんはそう言ったが……人気の有る料理ほど早く無く成っていく。

 鈴音さんが取りに行く時は、もう無いかも知れない……


「鈴音さん!」

「俺のを、1つどうぞ!!」


 俺は箸で掴んで、鈴音さんのお皿に牡蠣フライを乗せる。

 恋人同士だ。間接キスなど問題無いだろう。


「わっ!❤」

「ありがとうございます! 比叡さん!!」

「では……早速頂きます♪」


 鈴音さんも間接キスを気にせずに、牡蠣フライを食べる。


「はい!」

「本当に美味しいですね~~♪」


「トマトソースで食べる牡蠣フライも新しい発見です♪」

「私も、今度試してみましょう!!」


 鈴音さんが嬉しそうに言う中……


「ちぇ……。見せつけちゃって!」


 稀子は羨むような愚痴を呟いていた。

 浅野さん夫婦は晩餐会を楽しみながら、間を使って、新たな料理が次々と出て来る。

 オーブンで作ったローストポークやオリジナルメニュー等、素晴らしい段取りで料理が出て来る!

 パスタやピザも有る程度冷めても、美味しく食べられるように工夫がして有り、流石料理人だと感じた。


 ……


 3時間位で晩餐会もお開きと成り、みんなで今日のお礼を言って、和風イタリアンレストランから出る。

 真理江さんと鈴音さんは、此処から歩いて行ける距離に有るそうなので、ここで別れる。


「それでは……みなさん。明後日の9時に、ここに集合でお願いします」


 真理江さんは別れ際にそう言う。

 ここからが、実質の自由時間の始まりだ。


「比叡さん!」

「明日の10時に、中町のバス停で待っていますから!!」

「それでは、みなさん。お休みなさい!!」


「じゃあ、みんな、バイバイ~~~」


 稀子はそう言うと、足早に夜の町に消えていった。

 駅に迎えに来る予定だった両親だが、場所を変えて、近くのコンビニまで来てくれたらしい。


「それでは、俺もホテルに戻ります」

「真理江さん。鈴音さん。お休みなさい!!」


 俺も別れの挨拶をして、今日の宿泊先で有るホテルに向かった……

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