第144話 クリスマスプレゼント その2

「……鈴音さん」

「今。聞こえましたよね?」


「はい…。あれは……稀子さんのですね…」


「鈴音さん。どうします……?」


「これは……難しいですね。稀子さんの気持ちも判りますから…!」


 俺と鈴音さんが静かに話して居るが、ドアから逃げて行く足音は聞こえないし、犯人は稀子と、の音で分かり切っている。

 これが真理江さんと共にだったら、びっくり仰天だが!?


「稀子~~」

「そこに居るんだろ!」

「大人しく…、返事をしなさい!!」


 俺はドア向こうに居る稀子に、刑事ドラマ見たいに応答を呼びかける。


「……はい///」


 稀子はバツが悪そうに、返事をしてきた。


「鈴音さん…。稀子を部屋に入れても良いですか?」

「事情聴取をしたいし…」


「……理由は聞かなくても判りますけど、稀子さんに入って貰いましょう…」


「稀子!」

「こっち来て!!」

「少し、理由わけを聞きたい」


 俺がドア向こうの稀子に声を掛けると、静かに扉が開いて、桃色系のパジャマ姿の稀子が、恥ずかしそうに部屋に入ってきた。


「えへへ♪」

「バレちゃった~~♪」


「今晩は寒いね!///」


 稀子は悪そびれなく、困った笑顔で入って来た。

 稀子のクッションは用意してないので、稀子は畳にそのまま座って貰う。

 俺の部屋は和室で有る。稀子をどう叱るべきか?


「さて……どうしますか。鈴音さん…?」


「そうですね…。宜しい行為では無いですよね…?」


 俺と鈴音さんは、稀子をどう叱ろうかと相談している。

 稀子の方も俺達が真剣に相談し始めたので、落ち込んだ表情に成ってしまった!

 俺は本気で怒るつもりは無かったが……鈴音さんは、静かな口調で言い始める。


「稀子さん…」

「稀子さんも私と同じ年頃の子ですから…、異性に興味を持つのは当たり前ですけど、聞き耳を立てる行為だけは、ご遠慮願いたいと…」


 鈴音さんが稀子に軽いお説教を始め出すと、……稀子はやはり弁解を始める!


「私だって、最初はそんな気無かったよ!」

「誰かが、静かに階段を上ってくる音に気付いて、少しドアを開けて様子を覗っていたら、りんちゃんがと比叡君の部屋に入って行ったから、それで、何をしているのかと見ていたら、の現象が起きてそれで……」


「ふぅ~」


 鈴音さんは、諦めた感じのため息をする。


「比叡さん……。稀子さんをこれ以上は責めるのは止めましょう!」

「この年頃子達は、性に興味を持つのが当然ですから!!」


 鈴音さんは仕方が無いと汲み取ったのだろう。


「俺は最初から、怒る気は無いよ…」

「稀子とは恋人関係まで発展しかけた時期が有るし、親友の鈴音さんを思いやる、気持ちだって有るだろうから……」


 俺がそう言うと稀子は……


「でしょ!」

「私は2人を実は心配していたんだよ!!」

「クリスマス・イブだからと言って、羽目を外さないか!?」


(稀子……それは今、咄嗟に付けた理由だろ?)

(けど、此処で稀子がしてくれたから、良かったと言うべきか?)


 稀子の覗き見は別にして、あの時をしなければ、俺と鈴音さんの体の関係はかなり進展したと思う。

 俺はそれでも良かったが、お子ちゃまの稀子には刺激が強すぎるはずだ。


 俺のを出して、鈴音さんに触って貰う等をしていたら、稀子は鼻血ブーに成るか、ドア向こうで自慰を始めるかも知れなかった!?

 そう成ってくると、流石に真理江さんも異変に気付き始めるし、幾ら恋人関係とは言え、鈴音さんが学園生で有る以上、性行為が本当に適した年齢とは言いにくいからだ。


「稀子…。怒りはしないが、聞き耳や覗きだけは勘弁してくれ!」

「人の行為が気に成るのは、俺も理解は出来るが、1人の人として……」


「あはは……。そうだね///」

「私なりにも2人の展開は気に成っていたけど、比叡君、鈴ちゃん。ごめんね///」


 稀子は俺と鈴音さんに謝る。

 今回はこれで俺は許すが、次回も同じ事をしたら、お仕置きが必要かも知れない?


「稀子さんも……1人の女性なんですね」

「でも……聞き耳を立てるのは宜しく無いです///」


 鈴音さんも、これで許すそうだ。

 鈴音さんとのラブラブタイムを邪魔されたには違いないが、俺も少し焦りすぎかと思った……

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