第142話 クリスマス・イブと言えば…… その2

 晩ご飯の時間……だが、今晩は違う!

 俺にとっても、久しぶりのクリスマスメニューとクリスマスパーティー!!


 去年のこの時期は……、一人空しくコンビニ弁当と缶ビールをむさぼっていた……。ケーキも一応食べたが、美味しいとは感じ無かった。

 あの時と比べれば、本当に地獄から天国だ!!


 食卓で有る台所のテーブルには、クリスマスメニューが並んでいた。

 鈴音さんお手製のクリームシチュー。稀子が得意とする鶏の唐揚げ!

 玉子サラダやフライドポテトも有って、和風の台所テーブルには似つかないメニューでも有った。


 俺は久しぶりに、この時間帯に飲むビールだが、真理江さん達は定番のシャンメリーで有る。

 パーティー始まりを告げる乾杯の音頭は、真理江さんが取る事に成った。


「みなさん…。お疲れ様です!」

「明後日からは、二泊三日の波津音市はずねしへの旅行も有りますが、今夜は楽しみましょう!」


「では、乾杯!」


『乾杯~~♪』


 みんなでグラスを鳴らし合って乾杯をする。乾杯の後、俺は直ぐビールを飲む!!

 普段は晩ご飯後に、保育士資格取得の勉強をしているから、晩ご飯時に飲みたくても飲めない。


「ゴク、ゴク、……」


「ふぅ~~」

「冬でもビールが旨い!!」


 俺はビール一気に飲み干し、ビール瓶を持って、コップに注ごうとすると……


「比叡さん!」

「私がやります!!」


 何と、鈴音さんがビールを注いでくれる!?

 山本さんの時には……やって無かったのに!?


 しかし……注ぎ成れてない鈴音さんだから、当然コップは泡だらけのビールが完成する。


「あらら///」

「結構……難しいのですね!」


「俺は、全然平気ですよ!」


 俺はそう言って、鈴音さんが注いでくれたビールを飲む!

 泡だらけのビールだが、鈴音さんの気持ちが入っているから、さっきよりも美味しく感じる!


「比叡君!」

「ビールには唐揚げだよ~♪」


 稀子は俺の取り皿に唐揚げを乗せてくれるが……、稀子の箸で掴んでいるため、思いっきり間接キスをしている!?


(稀子は、気にしてないのか?)

(それとも、ワザとか??)


 稀子ともキスをした仲だ。鈴音さんも気付いてないし、深くは考えないで置こう!

 そんな感じで、クリスマスパーティーの時間も過ぎていく……


 ☆


 クリスマスパーティーだからと言っても、あくまで晩ご飯だから、特別にはしないが、みんながみんな何時もより陽気で有った。

 普段、口数の少ない真理江さんも、会話の輪に積極的に入ってくるし、鈴音さんや稀子も何時もより元気で有った……


 鈴音さんや稀子は冬休みに入ったが、俺は明日まではアルバイトを入れて有る。

 明後日からは、波津音市への旅行も有るし、其処から戻って来てもアルバイト先が年末年始休暇に入る。俺にとっては、明日が仕事納めでも有る。


 何時もより長めの晩ご飯も終わって、みんなで後片付けをして、後は解散と成るのだが、俺はまだメインイベントを行っていない。


(流石に、真理江さんや稀子の目の前で、クリスマスプレゼントを渡す訳には行かないからな…)

(後で、こっそりとRailで呼び出すか!!)


 ……


 みんな、お風呂にも入り終わり、それぞれが自分の時間を過ごしている時、俺はRailを使って鈴音さんを呼び出す。


「こんばんは🌙」

「鈴音さん! 渡したい物が有ります!!」


「稀子に気付かれない様に来て下さい!」


 俺はその様に打ち込んで、鈴音さん宛に送信する。

 しばらくすると……


「分かりました♪」


 鈴音さんからの、簡潔なメッセージが表示された。


(やっぱり、プレゼント用意して置いて良かったな!)

(鈴音さんも女性なんだな…)


 文面から読み取っても、俺の送信した内容と今日の日を理解すれば、俺がしたい行動が判るからだ。

 俺は鈴音さんが、部屋にやって来るのを静かに待っていた……

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