第138話 夜食 その1

 今日の晩ご飯後も……、俺は保育士資格取得の勉強を頑張っているが……


「う~~ん!!」

「そろそろ終わるか…?」


 俺は伸びをしながらスマートフォンで時刻を見ると、あと少しで深夜に入る時間だった…


「……」


「何か……急に腹が減ってきたな!」


 今夜は勉強を相当頑張って、エネルギーの消費量が多かったのか、それとも……


(今晩の担当は、真理江さんだったからな……)


 真理江さんは和食が好みらしく、真理江さんが担当の時は、ず和食で有った。

 ちなみに今日の晩ご飯は、地元魚の煮魚、カボチャと鶏肉の煮物、ほうれん草の和え物、味噌汁で有った。


 山本(真理江)さんの家は煮物類を大鉢に入れて、みんなの箸でつつくスタイルでは無い。煮物や和え物も、一人一人の小鉢で提供される。

 これが別に悪い事では無いが、真理江さんは盛り切りにするので、お代わりはご飯以外出来ないし、真理江さんのお腹基準で料理を作るため、俺には何時も物足り無かった……


(山本(孝明)さんが居た時は、もう少し量が多かった気がするが、俺以外は女性だし、煮物とか和え物なら、別に余っても良いような気がするが……)


 山本さんも体力を使う仕事だった所為か、あの時は真理江さんが作る時でもボリュームは有った。

 今は山本さんが居ないため、完全に真理江さんの基準に成っているのだろう?


 真理江さん基準にするから、俺達が料理を作っても豚汁やカレー、揚げ物類を除けば、基本盛り切りだが、鈴音さんや稀子が作る時は、俺の方には大盛りでおかず類が盛り付けて有る。

 その点……真理江さんは、本当の平等主義派なのかも?


 食べ盛りの(?)稀子は、真理江さんに一言言いそうな気もするが、それはせずに、上手におかずを調整してご飯を食べている。鈴音さんは稀子程は食べてないので満足している感じだ。

 料理を作る時、人それぞれの考え方が有るから仕方無いが……


(夜食も……俺が勉強をサボった時に、俺から進言して中止してしまったからな!)


 毎日では無かったが、鈴音さんや稀子が夜食を持ってくる日が有った。

 しかし、勉強をサボっている場面に夜食を持って来られると、稀子は嫌みを言ってくるし、鈴音さんも不安の顔をする。


 それに幾ら昼間はアルバイトをしているとは言え、勉強で使うカロリーと夜食で得るカロリーを計算すると、プラスに成る事が多かった。

 特に稀子が持ってくる夜食なんかは、レトルトカレーに冷凍食品を乗せた、などを持ってくるので、もはや夜食では無かった…… 


 そのため、俺は二人の負担に成るし、最近体重が増えて来たと理由を作って、夜食は中止にしてしまった!


(普段は我慢してこのまま眠るのだが……今晩は我慢出来ないな…!)


 明日は幸い俺は休暇だし、鈴音さん達も休みで有る。朝食の時間も何時もより遅い。

 そのため今から夜食を食べても、明日への大きな影響は無いと俺は判断する。


(みんな眠っている時間だし、静かに夜食を作りに行くか…)


 俺は静かに部屋から出て、台所に向かった……


 ……


「さて……台所に来たは良いが、何を作って食べるべきか?」


 俺は冷蔵庫を見て、直ぐに食べられそうな食材を探す……


(冷蔵庫は……ロースハムが有るけど、これは朝食用かも知れないな…?)


 明日(今日)の朝食担当は稀子だ。

 稀子は朝食でも、結構油系を攻めてくる。これは稀子が使う食材と俺は判断した!


(冷凍庫も……簡単冷凍食品類は、綺麗に無くなってしまったな。これは俺が悪いから仕方無いか……)


 真理江さんや鈴音さんは、冷凍食品類を好んでは使わない。チルド品で沢山の種類が有る餃子でも、鈴音さんは、わざわざ手作りをしてくれる!

 稀子はその点、冷凍食品を上手に活用するが、電子レンジで調理して、簡単に食べられる系では無く、油で揚げる冷凍のフライ品や冷凍野菜類が中心で有った。


(参ったな…。食べる物が無いぞ!!)

(近所にコンビニは無いし…)


 波津音市はずねしの時だったら、徒歩10分位でコンビニが有ったが、この町では徒歩圏内にコンビニは無い。徒歩圏内で行けるのは直売所位だ……


「……!」


 俺は有る事を思いだした。


(そう言えば…、スーパーの特売でカップ焼きそばを、まとめ買いした時が有ったよな!)


 稀子を含めて、三人でスーパーに買い物に行った時、お一人様3個までだったが、カップ焼きそばの特売品を買った事を思い出す。

 俺はそれを仕舞って有る戸棚に向かった……

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