第136話 海釣り公園 その2

 海釣り公園の受付で、入場料・貸し竿・エサ(オキアミ)の料金を各自支払い、貸し出されたライフジャケットを着てから、釣りをする場所に向かう。

 俺はそれ以外に、魚をすくう網とバケツもレンタルする。網とバケツは1つ有れば十分だからだ!


(最初のデート予定から大幅に狂ってきたが、まぁ、これは良しとしよう…)


 俺達は釣りをする場所に到着すると、稀子は手際よく準備を始める。

 見た感じ……かなりの経験が有ると見た!


 稀子は鈴音さんが使う釣竿に、エサのオキアミを釣り針に付けてから、鈴音さんに渡す。


「はい! りんちゃん!!」


「ありがとうございます。稀子さん!」


「いえ、いえ♪」


 鈴音さんの準備を終えた稀子は、自分の用意を始めるが……


「稀子…。俺の竿にもエサを付けてくれないか?」


「んっ…、比叡君も未経験?」


「いや、そうでは無いが……」


「じゃあ、比叡君自身でエサを付ける!!」

「男の子でしょ!!」


「……」


 稀子にあっさりと、笑顔で拒否をされる。

 俺は活きエサを使ってでの、釣りはした事は無い。

 練りエサを付けてでの、経験しか無い……


 俺は稀子がエサを付ける様子を見ながら、見様見真似みようみまねで釣り針にオキアミを付ける。


「鈴ちゃん!」

「竿の投げ方はね、―――」


 稀子は、鈴音さんに釣りのレクチャーを始めるので、俺もそれ聞く。

 俺が最後に釣りをしたのは、魚で無くザリガニだった!?


 今日は本格的な釣りをしに来た訳では無いので、稀子が鈴音さん釣り針を海に投げ込んで、有る程度調整してから鈴音さんに手渡す。


「糸がし出したら、ゆっくりリールで巻き上げてね!」

「急ぐと、糸が切れちゃうから!」


「鈴ちゃん。今日は魚を釣るのが目的で無く、釣りを楽しむ事だから!!」


 稀子は、何処かの指導員見たいな感じで言う。


「分かりました。稀子さん!」


「……さて、私もやりますか♪」


 稀子も海に向かって、エサの付いた釣り針を投げ込んで釣りを始める。


(……まぁ最悪、釣れなくても仕方無いよな)


 俺も不慣れながら、釣りを始めた……


 十数分後……


 休日だけ有って魚も休みなのか、俺達の釣り針に魚が食いつきには来ない……

 時間帯も、釣りに適した時間とは良いにくし、釣りをしているのでは無く、海を眺めていると言った方が適切だろうか?


「……」


 鈴音さんは一言も喋らずに、真剣に釣りをしている。

 のんびり派の鈴音さんだから、釣りは意外に適しているのだろうか?


「う~ん、釣れないね…」


 稀子は餌の付いた釣り針をリールで巻き上げて、色々な場所を試している感じだ。

 この場合、どちらが良いのだろうか?


 俺の場合、糸が反応する時が有るが、餌の付け方が悪い所為か、エサだけが無く成る事が多かった……


「稀子!」

「俺と場所変わらない?」


「俺の所は何かがいる!」


「えっ! そうなの!!」

「なら、代わろう、代わろう!!」


 稀子は糸を素早くリールで巻き上げて、竿を持って笑顔でやって来る。

 俺と稀子は場所の交代をして、本当にのんびりと釣りの時間を楽しんでいる……

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