第131話 両手に花!? その2

(稀子にも早く、彼氏が出来れば良いのだが、あのタイプは相手をお互い選ぶからな)


 稀子の様な性格だと有る意味、大きな子どもで有った。

 体型もグラマーでは無いし…、一緒にいれば楽しい子では有るが……


(今、身近な異性は俺しか居ないし、それに稀子は元カノだったな…)


 すっかり記憶から抜けていたが、稀子とは一応、恋人関係が有った事を思い出す。


(稀子とはキスをして、俺が服の上から稀子の体を擦り付けて、それだけで終わってしまったな…)


 きっとあの時から稀子は、山本さん(孝明)が忘れられなかったのだろう。

 あの後……直ぐに、俺を裏切る行為に走り出したし……


(そんな事、思いだしても仕方無いか…。俺は稀子を許してしまったし、稀子も山本さんを諦めた)


(稀子は俺を親友として見て居ると言うが、本当なのかは分からない)

(けど……今度同じ様に、稀子が俺にを掛けてきたら、鈴音さんは稀子を絶対に許さないだろう!?)


「比叡君まだ~~~」

りんちゃんも準備終わって、比叡君の部屋の前に居るよ~~?」


(おっと……ちょっと考え事をしていたら、手が止まっていた!!)


「今行くよ~~」


 俺はドア向こうに居る、鈴音さんと稀子に返事をして、急いで準備を済ませた……


 ……


 天気も良くて、絶好の行楽日和で有る。

 もう冬は間近だが、今日は日差しも有って暖かい日に成るそうだ。

 今から向かう水族館は家から車だったら、30分も掛からない場所に有るが、俺は車を持ってないし、レンタカー屋さんも近くに無い。

 家から水族館に向かうには、家近くのバス停からバスに乗って、九尾きゅうお駅に向かい、九尾駅から水族館に直通しているバスに乗り換える。

 文面で書くとこう成る訳だが、実際は大回りをして俺達は行く事に成る。


 普段から三人で動いて居るから、特に会話が盛り上がる事も無く、俺達は水族館に到着する。

 ちなみに、水族館のチケット料金や飲食費は各自で有る。

 鈴音さんは元々割勘派だし、稀子は親友だからと言って驕る必要は無い。

 各自チケットを買って水族館内に入る。


「なんか……比叡君と、みなと水族館に来た時を思い出したよ♪」

「あの時も、楽しかったね♪」


 館内に入った直後、稀子が嬉しそうに声を掛けてきた。


「あ~、有ったね!」

「懐かしいね!!」


「あの時…。比叡君とは水族館に行って、その後は遊園地で遊んだんだよね♪」

「あの時食べた、ハンバーグ。本当に美味しかった~~~😋」


 稀子は俺と、みなと水族館デートをした時の事を、楽しそうに思い出している。


(…稀子の表情はあの頃から、変わってないよな…)

(あの時俺は……観覧車内で稀子とキスをするつもりだったが、稀子の子ども見たいな性格に驚いて、あの時は出来なかったな…)


 俺は稀子との、みなと水族館デートを思い出していると……、鈴音さんが不満げに声を掛けてきた!


「比叡さん!」

「稀子さんとの楽しい思い出も有るかも知れませんが、私達はこの水族館に来たのです!!」

「早く、行きましょう!!」


 鈴音さんは、俺と稀子の思い出話に、水を差してきた!?


(鈴音さん……焼いている!?)


「あっ、うん。ごめん。鈴ちゃん!」

「比叡君、今は鈴ちゃんの者だからね///」


「私も、うっかりさんだよ//////」


 稀子は困った笑顔をして、鈴音さんに謝っている。


「けど……稀子さんが見せてくれた、ハンバーグは食べてみたかったです…」


 鈴音さんは何故か、ここでハンバーグを言い出す!?

 その言葉聞いた稀子は、鈴音さんをフォローする。


「そうだ! 比叡君!!」

「お昼はハンバーグ食べようよ!!」

「ここも、レストラン有るでしょ!!」


 稀子は此処での昼食に、ハンバーグを提案するが……


「……俺も、それを何気なく考えていて、色々事前に調べたのだけど、此処のレストランは特にハンバーグを名物にしている感じは無いのだよね…」

「それに此処は、レストラン以外にもフードコートが有るから、期待通りの物が出て来るとは限らないよ…」


「あ~~、そっか~~」

「それは残念だね……」


 稀子がその言葉を聞いて、しょんぼりすると……


「稀子さん!」

「私は大丈夫ですから、館内を見て回りましょう!!」


「それにハンバーグは、稀子さんが作る方が、美味しいに決まっています♪」


「鈴ちゃん//////」


(何だかんだで、仲が良いのだな。この二人……)


 俺は素直にそう思った!

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