第102話 意外な展開 その1
「比叡さん…?」
「比叡さん…?」
聞き慣れた声が俺の体を揺さぶる。
俺は椅子に座ったままの状態で、寝てしまった様だ…
「あっ、鈴音さん…」
「おはようございます☀」
「比叡さん!」
「お早う御座います!」
「鈴音さん、すいません…。何時の間にか寝てしまったようで…」
「いえ、いえ、私は大丈夫ですよ!」
俺は室内に有る壁時計を見ると、午前6時前で有った。
窓の方を見ると、完全に夜は明けていた。
「来ませんでしたね…。鈴音さん……」
「えぇ……、来られても困りますけど…」
鈴音さんは少し困った表情で言う。
「流石の敵さんも、早朝から襲う事は無いですよね!」
「普通の人ならそうですけど……」
俺は軽い冗談で言ったが、鈴音さんの顔はちっとも晴れなかった……
窓から見る限り、今日も天気が良さそうだ。
「鈴音さん…。昨日の寝汗も有りますし、朝風呂に入ってきます」
「そうですね…。結構、ひどい汗でしたからね…」
「鈴音さんはどうします?」
「私はそう、汗を掻いてないので大丈夫です」
幾ら何でも、明るい時間帯に襲撃を掛ける馬鹿は居ない筈だ。
このホテルが山本さんの息が掛かっていたとしても、宿泊客までは抑えきれない。
一応用心して、俺は朝風呂に行って、鈴音さんは部屋で留守番をして貰う。
……
普通にお風呂に入って、部屋に戻ってくるが、何も変化が起きている様子は無い。
あれは…、本当に只の悪夢だったのか?
部屋に戻ると鈴音さんはテレビを付けていて、ニュース番組を見ていた。
この地域のローカル番組を見ている様だ。
「鈴音さん。今戻りました…」
「さっぱりしましたか?」
「はい…。御陰様で…」
「比叡さん」
「このホテルの朝食は午前7時からでしたよね?」
「はい。午前7時に予約を取ってあります」
「比叡さん…」
「時間的に私の両親は起きていると思いますが、今日は日曜日です」
「朝から、急を要する件では有りますが……ホテル内ならまず、大丈夫な筈です!」
「朝の時間帯は少し外したいので、せめて朝食後に、連絡を取ろうと思っているのですが…?」
昨日は連絡が取れなかった、鈴音さんの両親に助けを求める電話を掛けるのだが、今の状況なら、山本さん達もまだ場所を知らないのか、探し疲れて寝ていると思う。
「そうですね。そうしましょう!!」
「休日の朝から、不吉の話は誰でも避けたいです!」
「比叡さん……。有り難う御座います!」
鈴音さんは微笑んで言ってくれる。
「鈴音さんはよく眠れましたか?」
「はい! 御陰様でよく眠れました!!」
「あっ、あの昨夜は、鈴音さんの寝間着を汚してごめんなさい///」
俺は昨夜…。鈴音さんにお願いして抱きつかせて貰ったが、調子に乗って鈴音さんの胸を寝間着の上から吸ってしまった!!
あの時は、謝って許して貰えたが、改めてもう1度謝る。
「気にはしてないですよ!」
「……は、嘘ですが……あれは緊急時で、やむを得ないで許します!」
「鈴音さん! ありがとうございます!!」
「でも、男の人は甘えん坊なんですね…」
「少し、びっくりです///」
鈴音さんも昨夜、俺のした行為を思い出して顔を赤める。
「男性にとって…、女性の胸は象徴だと俺は思うのです」
「一番、甘えやすい場所なのかも知れません……」
「真面目に回答されても困ります///」
「鈴音さん。何事も無く朝が迎えられて、良かったです!」
「そうですね。比叡さん……」
「比叡さんの夢が正夢なら……、私達は今頃2人仲良く、あの世の○役所に居ますかね?」
「縁起でも無い事を言わないで下さいよ///」
「○役所行っても、2人仲良くは成仏出来ないのですから!!」
「現世で、鈴音さんと仲良く生きたいです!」
「比叡さん!」
「この問題が無事に解決出来ましたら、また旅行に行きましょう♪」
「ぜひ、鈴音さんとは旅行がしたいです!!」
「その時は、鈴音さんの―――」
「ひっ、比叡さん。何度も言いますけど、私は学園生です///」
「それに、昨夜は特別でしたが、私はふしだらな女性では有りません!!」
「冗談ですよ! 冗談!!」
「鈴音さん! そろそろ朝食の時間ですし行きましょうか?」
「もぅ~~、比叡さんがスケベ過ぎてがっかりです///」
そんな事を言う鈴音さんだが2人仲良く、朝食を取るためにレストランに向かった!
……
『次のニュースです』
『昨夜、23:30分頃』
『
『警察はバイクを運転していた、
『山本容疑者は、知人の家に向かう途中だったと、―――』
……
俺と鈴音さんが知らない間に、事態は急変していた……
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