第81話 気付かれてないはずだが…… その2

 数日後……


 数日前に申し込んだ通信講座。保育士講座の教材が無事に届く。

 中身の確認をしたが…、やはりと言うか、険しい道のりに成りそうだ。

 当面の間は、保育士資格取得を目指すWebサイトを参考にして、勉学に励まなくては成らない……


 稀子の関係は完全に途切れてしまった……

 山本さんの家には行けないし、電話も着信拒否、RailもID削除。

 どうしようも無かったが……、鈴音さんと関係が出来てしまったので、このまま俺も関係を断とうとした。


 そして遂に、俺の新しい住処が無事に決まった。

 新しい住処を探してくれたのは、山本さんのお母さんで有った。


 今度の物件はやはり隣の市に成るが、間取りも今とほぼ同じで有って、家賃も今とほぼ同額で有った。

 駅からの距離は大分有るし、築年数や内装は家賃相応だが、贅沢は言ってられない。

 只、引っ越し業者は山本さん知人の所は使えないから、隣の市と言っても、有る程度の引っ越し料金は覚悟しなくては成らなかった……

 ここから引っ越すと、鈴音さんとは頻繁に会えなくなる。


 新しい住処が決まった夜。

 今晩も俺は鈴音さんと通話をしている。鈴音さんの優しい声と丁寧な口調が俺の心と体をくすぐる。俺の下腹部に有るも元気で有った。

 もうすぐ離ればなれに成るんだし、俺は有る事を思いながら鈴音さんと通話していた。

 キリの良いタイミングで俺は切り出す!


「ねぇ、鈴音さん!」

「今週の週末、デートしない!」


「えっ、デートですか///」

「急にどうしてですか?」


「今月末には引っ越しだし、そうなると今まで見たいに、鈴音さんには会えない」

「だから、鈴音さんと誰の目を気にしない日が…、欲しいと思って!」


「……」


 鈴音さんから、直ぐには返事が来なかった。

 しばらくの無言の後、鈴音さんが話し出す。


「遊びに行くのですよね?」

「ちなみに、どちら行く予定で?」


「今の予定は、隣の県に有る騒丘そうおか市の予定です」

「食べる物や観光名所も有るので良いかと…」


「騒丘市ですか……。それは日帰りで?」


「出来れば……。1泊したいと…」

「日帰りでも良いのですが、ホテルで鈴音さんと夜の時間を過ごしたいと…」


「ふふっ♪」

「……比叡さん。私を本当に者にしたいのですね♪」


「あっ……はい」


「そうですね……。稀子さんと孝明さんの関係は深まるばかりだし、私もそろそろ別れ話を切り出すべきかもですね…」


「孝明さんのこの頃の態度で、山本鞄店に対する気持ちも薄れてきました…」

「山本さんのお母様も『馬鹿息子が迷惑を掛けて、本当に鈴音さんには済まない。無理をして孝明と関係を続けなくても良い』と言われてしまいました!」


「私も比叡さんと一緒に旅行をして、考えを纏める時が来たのかも知れません!」


「じゃあ、大丈夫なんだね。鈴音さん!」

「実はもう……ホテルの予約入れてしまって///」


「まぁ、気が早いですね♪」

「もし、私が断わっていたら、どうするおつもりでしたか!?」


「断わられたら、人数の変更をして1人で行くだけだったよ」

「折角この地域に来たのに、旅行も全然していなかったし…」


「じゃあ、鈴音さん!」

「2人で旅行(デート)を楽しみましょう!」


「そうですね!」

「私から孝明さんを忘れさせて下さい!」


 鈴音さんは素で言ったのか、冗談なのかは分からないが、これは期待しても良いのか?

 旅行の夜の時間に、鈴音さんの初めて(?)が頂けるかも知れない!!


「じゃあ、私も騒丘市の観光名所を調べますので、明日の夜に打ち合わせをしましょう!」

「明日の夜は理由を付けて、上手に抜け出してきます!」


 鈴音さんは嬉しそうな声で言う。


「俺の方も気に成った場所は、調べて置くからそうしましょう」


「でも……大丈夫ですかね?」


「比叡さん。何か問題でも有りますか?」


「鈴音さんと1泊旅行をして、バレなければ良いのですが…」


「その辺はお任せ下さい!」

「親友の子達と朝から遊びに行って、その夜は親友の家に泊まると言いますから、安心して下さい!」


「稀子に感づかれない?」


「稀子さんの親友と私の親友は違いますし、不思議な事に共通の親友が居ないのですよ!」


「そうなの? 意外……」


「私の親友は大人しい人が多いですから、稀子さんを気に入る人が少ないのです」

「逆に稀子さんの親友も、活発的な人多いから、私も深くは付き合っていないのです」


「……良く。稀子と一緒に下宿する気に成りましたね?」


「言われて見ればそうですが、学園に入る前までは、稀子さんと一番気が有っていたのです!」

「それまで住んでいた地域が今みたいな市街地では無く、自然豊かな郊外だった事も有るかも知れません」


「人はどうしても、都会に集まりやすいからね」


「そうですよね!」

「私も学園に入ってから、色々と考え方や好みが変わって来ています。異性に対しても……」


「鈴音さん……」


「ですから、今週の週末は思いっきり楽しみましょう!」

「比叡さん!!」


「そうしましょう! 鈴音さん!!」

「良い思い出を沢山作って、新しい命も授かりましょう!!」


「そっ、それは……私はまだ学園生だし///」


「言葉の綾と言う事で!!」


「もぅ///」

「今回の旅行は、健全旅行です!」

「もし、そんな事をしたら警察に電話です!!」


「冗談ですよ! 冗談!!」


 鈴音さんが急にしぼんだ声で話す。


「まだ、山本さんとの関係が、完全に切れた訳では無いですから…」


「そうですね……気を付けます」


 ……


 今週の週末は、鈴音さんと1泊旅行に行ける~~!!

 鈴音さんの中では『健全旅行』だが、俺の中では鈴音さんを愛したくて溜まらなかった。コンドームの用意もして置かなければ!?

 早く、週末が来い!!

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