第72話 再スタート!
俺はその日の内に通信講座、保育士講座にWeb申し込みを行った。
一括で代金を支払うと、多少は受講料が安くなるため一括で申し込む。
代金に関しては振込用紙が同封される。
筆記試験対策に関してはテキストも有るし、添削問題も有るのでどうにか成りそうだが、実技試験対策に関しては、山本さん親子や鈴音さんの力を借りなければならない……
俺の事を許してくれた山本(孝明)さんだが、山本さん自身が許した訳では無い。
鈴音さんや山本さんの母親が、俺の味方に付いてくれたから、渋々許したので有る。
本当に山本さんが俺を支援してくれるかは、今の状態では判らなかった……
俺が学童保育をクビにされた時も、誰かが助けていてくれたら、俺のクビは回避されたのだろうか?
……
数日後……
宅配便で保育士講座のテキスト類が届く。
今夜から、いよいよ保育士資格取得に向けた勉強が始まる。
今のアルバイト時間は、午前8時から午後5時までだが、近日中に社長に事情を話して、午後5時までの勤務を、午後4時に変更して貰うつもりだ。
保育士養成学校に通う必要性も無く成ってしまったので、当初ほど働かなくても良いし、少しでも勉強時間に
晩ご飯に関しては、今まで通り山本さんの家で頂くが、毎夜晩酌をするのは難しくなるだろう……。酒を飲んでしまったら勉強が出来なくなるからだ。
そんなにお酒が好きな訳では無いが、誰かが飲んでいると、つい飲みたく成ってしまう。
でも……しばらくは週末を除いては、自主的な飲酒は控えなくては成らない……
……
…
・
しばらく時が過ぎて……
俺が保育士の資格取得に向けて、本格的に勉強を始めてからは、稀子は俺の家に来る様に成ったし、鈴音さんも差し入れを持って来てくれる様に成った。
簡単な夜食も用意してくれる様に成って、俺は本当に応援されているんだと実感した。
夜食の追加料金は支払ってないが、酒代に充てた部分が相殺されているのかも知れない?
保育士の筆記試験は今年の10月に有るが、今回は間に合わないので、来年の4月に行われる筆記試験の予定に成るが、覚える事も大量に有るし、また頭を全然使っていなかったので、法律用語なんかは本当に苦労させられる!
今の状態では非常に厳しいが、山本さんが『近いうちに、現役の男性保育士が君に協力してくれるらしいから、基本的な部分だけは特に勉強しておけ!』と言われた。
それも、有償では無く無償で協力してくれる……。山本さんは俺の事をきちんと手助けしてくれた!
無事に合格できたときは、一斗樽の日本酒を山本さんに贈らなければ成らない!?
一時……険悪な関係に成ったが、俺の頑張り具合や稀子や鈴音さんが、俺に協力をする姿を見て、山本さんは態度を軟化させた。
こうして今……俺は保育士資格取得に向けて頑張っている……。これだけの助けを借りて、俺は今、ここに居る。
『必ず合格するぞ!』と意気込んで今夜も勉学に励んだ!!
……
有る週末の休日……
今日は稀子が『息抜きとの日』と言って、朝から遊びに来ている。
俺がプレゼントした腕時計も付けてくれている。今日も勉強の予定で有ったが、急遽休みと成った。
稀子ご自慢のツナサンドと稀子が作った玉子サンド、ミルクティーも持ってきて、俺のアパートで過ごしている。
玉子サンドのレシピは鈴音さんのだが、稀子曰わく『私が作れば、私の手作り♪』と言っていた。
午前中は稀子の学園話や、俺の仕事話を中心に雑談をしている。
俗に言う、お家デートだ!
「ところで比叡君!」
「勉強の方は順調?」
「……順調では無いけど、頑張っている!」
「まだ、全体の10分の1位だし……もう少し、アルバイト時間を減らさないと厳しい…」
「……そうだよね」
「本当だったら、2年間の時間を掛けて学校に行って、勉強するからね!」
「俺も1日、3時間位勉強しているが、思ったよりも進んでない」
「1人だと集中力が途切れるからね…」
「うん、うん」
稀子はそう言って、ミルクティーを飲む。
2人の時間が流れているが、俺は少しモヤモヤしていた……
「なぁ……稀子…」
「俺達の関係…、もう少し深めないか?」
俺は稀子との関係を深めたくて、思わずそう言ってしまうが……
「もう深いじゃん!」
稀子は満面の笑顔で答える。
「えっ?」
「比叡君は私にプレゼントもくれたし、保育士さんに成るための勉強も頑張っている!」
「私は私なりに、比叡君を認めているのだよ!!」
「比叡君の家に行く様に成った時から、私は比叡君を1人の男として見ているよ!」
「稀子……」
稀子は笑顔でそう言うが、急にジト目に変わる!
「でも…、大人の関係はまだダメ!」
「
「山本さんも以外に、奥手だった見たいだね!」
「だから、私達も健全なお付き合い~♪」
稀子は無邪気に言う。
この子を見ていると、性的な行為も考えるが……本当に子どもを……の気持ちに成ってしまいそうだ!
「もし、比叡君が強引に来たら、山本さんに直ぐ言うから気を付けてね♪」
稀子は、俺に釘を刺す事も忘れなかった!?
「さて、比叡君!」
「お昼を食べて、昼からは鈴ちゃんもこっちに呼んで、ボードゲームでしようか!」
稀子はお昼のサンドイッチと一緒にボードゲームも持って来ていた。
今日は1日、お家デートだと思ったが、昼からは鈴音さんも加わるのか?
「負けたら、罰ゲーム付きだよ!」
「ちゃんと、罰ゲームの書いた紙も作ってきたよ♪」
相変わらず小学生見たいな稀子だ……。でも、俺はその稀子が大好きだ。
……
稀子とは恋人関係(一応)に成れて、保育士に成るために、沢山の周りの人達が俺を助けてくれている。
保育士養成学校に落ちたのは残念だったが……却ってこっちの方が良かったのかも知れない。
俺が保育士の資格を取得して、この町で保育士さんとして働く事が、最大の恩返しに成るかも知れない……
これからも、困難は待ち受けているだろうし、音痴・不器用で有る俺は、実技試験対策も稀子や鈴音さん。山本さん親子の力。そして、それを支援してくれる人達によって、俺は助けられる……
俺はあの時……。駅のコンコースで困っていた稀子に、声を掛けて本当に良かったと感じる。
あの時、声を掛けなければ、俺にはこんな恵まれる人生は待っていない筈だ!
俺は心の中で稀子に『出会いをありがとう!』と言いながら、稀子手作りサンドイッチを食べる準備をした。
……
☆偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!☆
☆稀子編☆
おわり
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