第41話 稀子と鈴音 その2

 テーブルの上には大きいタッパーが2つと、それぞれの場所にはミルクティーが置かれている。コップ類も稀子達が用意してきてくれた。

 サンドイッチの具材は定番の玉子サンド。ハムとキュウリのハムサンド。ツナマヨサンド。スライスチーズが挟んで有る野菜サンドとバリエーション豊かだった!


 食事前の挨拶をしてから、俺は早速玉子サンドから頂く。


「うぁ!」

「コンビニの玉子サンドと全然違う!!」

「ゆで卵本来の味と食感を感じて、マヨネーズのくどさも全く感じない!!」

「こんなに美味しい玉子サンドは初めてだよ!!」


「稀子ちゃん、鈴音さん。凄く美味しいよ!」


 玉子サンドの感想をグルメレポーター見たいに思わず俺は言ってしまう。


「有り難う御座います」

「玉子サンドを作ったのは私(鈴音)ですわ!」

「そんなに褒めてくれると、恥ずかしいです///」


 俺がそう言うと鈴音さんは、と微笑みながら嬉しく話してくれる。

 鈴音さんの笑顔は天使の笑顔だ! 相手が山本さんで無ければNTRねとられしたく成る位だ!?


 玉子サンドを直ぐに食べ終えて、次のを選ぼうとすると稀子が話し掛けてくる。


「比叡君!!」

「ツナマヨサンドは、私だよ!!」

「私が作ったんだよ!!」

「自慢の1品だよ!!」


 稀子が『私が作った!』を強調しながら俺に言う。

 もしかして……、鈴音さんに対抗心燃やしている…?

 ツナマヨサンドも俺の好きなサンドイッチなので、次はツナマヨサンドを頂く事にする。


 ツナマヨサンドには、ツナ、刻みタマネギ、パセリが入っていて、タマネギのシャキシャキ感も有って、普通に美味しいが……先ほど程の玉子サンドと比べれば感激は薄い。


「どう? 比叡君!!」

「お味の方は!?」


 稀子はツナマヨサンドの感想を聞きたくて、身を乗り出して聞いてくる。


「美味しいよ!」

「ツナと刻みタマネギの食感が良いね!」


 俺は素直に感想を述べるが……稀子の笑顔が何故か薄れていく。


「鈴ちゃんと比べて、私の感想はあっさりだね…」

「鈴ちゃんの時は、あんなに大げさに言ったのにさ……」


 稀子は少し真面目な表情をして言ってくる。


(あれ……?)

(稀子…。俺にやきもち焼いている?)


「そっ、そんな事無いよ!!」

「パセリも入っていて見た目も良いし美味しいよ!!」


「……無理して、言わなくても良いよ…」


 稀子は少し拗ねてしまった。

 稀子は俺の言葉が予想と違ったのだろう……もっと、褒めてあげるべきだった。


 鈴音さんはあの年頃でも、大人顔負けの性格と包容力が有る。

 もう少し身長が有れば、鈴音さんは無敵の女性に成ったに違いない……

 それに対し稀子は山本さんの言う通り、仕草は子どもみたいに可愛いが、心がまだ成長仕切っていない部分も有る……。無邪気が駄目だとは言わないが、やはり年齢相応の成長はして欲しい……


「まぁ、まぁ、稀子さん…」

「比叡さんは普通に美味しいと言ってくれて居るのですから…」


「う~~。鈴ちゃんはベタ褒めだったのに……私のは評価が甘い!!」


 稀子はそう言うと、ツナマヨサンドをパクパク食べ出した!


「ツナマヨサンドはみんな私が食べてやる!!」


「めっ、稀子さん!!」

「そんなに急いで食べたら、喉に詰まりますよ!!」


 本当に拗ねた子どもが取る行動をそのまま取る稀子。

 鈴音さんが定番の言葉を言った矢先に……


「うっ!!」


 案の定というか稀子はツナマヨサンドを喉に詰まらせたらしい……

 稀子はコップを取って、ミルクティーを一気に飲む。


「ふぅ~~」

「危なかった~~」


「もう! 稀子さんったら!!」

「だから言ったでしょ!!」


「うっ……ごめん」


 鈴音さんは、少しきつい口調で言うと稀子は謝る。


「稀子ちゃん……ツナマヨサンドは好きだから、少し残して欲しいな…」


「……好きなの? ツナマヨサンド…」


「うん。好き、好き!」

「稀子ちゃんの次に好き!!」


「……玉子サンドよりも…?」


 稀子は覗う表情で聞いてくる。

 玉子サンドの方がもちろん好きだが、ここは稀子をおだてるため、ツナマヨサンドを言う。


「玉子サンドも美味しいけど、ツナマヨサンドが一番好き!!」


「……しょうが無いな……。比叡君のためにも、これは残しておこう!」


 稀子は困った笑いをしながら言う。


「比叡君の好きな、ツナマヨサンドなら仕方ないね♪」

「私の次に好きだからね~~♪」


 稀子は機嫌を直して、ハムサンドを取って食べ始める。


(稀子……。意外に嫉妬深い子なのかな?)

(2人で居た時は気には成らなかったけど、鈴音さんが稀子より、全て上回ってるからな…)

(山本さんも、鈴音さんが居なければ稀子と関係を深めていただろうし…)


 何とも言えないが……、俺は稀子が好きだし、稀子も俺に好意を持っている。

 稀子が山本さんを完全に断ち切ったかと言えば、断ち切れていないはずだし、鈴音さんも彼氏の山本さんが居る割には、俺との距離が少し近すぎる気がする……


 今後の生活は稀子と鈴音さん、山本さん一家を含む実質、集団生活に成るはずだ。

 そうで無ければ、稀子を含む山本さん達がここまでの手助けは絶対にしない!

 距離が近すぎる事で、新たな問題が起きなければ良いが……


 楽しい昼食にアクシデントが起きてしまった。

 今回は小言で済んだが今後は分からない……

 美味しいサンドイッチだったが、新たな問題も発見してしまった様だ……

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